コロナウイルスの影響による、給付金や個人の貯蓄、企業の倒産等で、お金について連日多くの識者が議論を戦わせておりますが、先日こんなニュースを耳にすることがありました。
「NISA口座開設数が3倍、2020年4月に大手ネット証券5社の口座開設数がおよそ11万件、前年同月の2.8倍となった。」
新型コロナウイルスの蔓延による経済の停滞で3月に株式市場が急落。安値を資産形成の好機と見た、若い世代の個人投資家が流入しているのではないでしょうか。
さて、今回は、証券、株式などを活用した投資も一つの方法ではありますが、同じ金融商品である「生命保険」について、収益性に特化して話をしたいと思います。
自分自身で、将来起こりうるリスクに備える。様々な金融商品がある中で、生命保険を活用するのも、一つの方法として挙げられます。しかし、結論から申し上げますと、
- 「生命保険の強みは保障であって収益性ではない」
- 「生命保険は掛け捨てで安く持って、浮いたお金は運用に回す」
と、生命保険の本質はそこにあると思っています。
日頃から多くの方に生命保険の提案、そして資産形成の提案をさせて頂いている私が、これから生命保険の活用方法、資産形成の考え方なども併せてお伝えしていきます。
生命保険で資産形成を検討されている方には、非常にお役に立てる話になっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
1、生命保険の収益性は低い?保険会社の運用の仕組みについて
生命保険を収益目的で加入されている方、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
「年金保険」「終身保険」「ドル建終身保険」「養老保険」…など様々な種類がありますが、いずれも時間を掛けることで収益を期待できる生命保険になります。
ですが、結論からお伝えしますと、生命保険の収益性は非常に低いです。
(1)生命保険で投資した場合の収益性
例えば実際に、30歳の男性が収益性の高い生命保険に加入して、毎月10,000円を10年間積み立てて、その後60歳までの20年間据え置く計算をした場合、10年間の合計で120万円を積み立てて、年3%の利回りで運用されると考えれば、60歳時点で147.1%の解約返戻率、換算すると176.52万円になります。すなわち56.52万円が増えて返ってくる計算になります。
結果は一目瞭然、銀行に比べて圧倒的に優秀な結果となります。
(2)他の金融商品に投資した場合の収益性
では確認も含めて、同じ条件で他の金融商品に投資した場合の収益を計算してみましょう。
運用利回りを同じ年3%で設定し、毎月10,000円を10年間積み立てて、20年間据え置くとした場合、60歳時点で317万円。すなわち、264%の解約返戻率となり、生命保険と比べ約140万円の差が発生します。
(3)収益の差は生命保険の「責任準備金」にある
では、一体なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
その答えは、生命保険の「責任準備金」にあります。
例えば保険金を請求したタイミングで生命保険会社から「今年は全額運用に失敗したので、保険金の支払いができません…」と連絡が来たら、どうでしょうか?
「もしもの為に加入しておいた保険が使い物にならない。」そう思われている方がほとんどでしょう。
実は生命保険ではそうならないように、お客様から預かった資産の内、一部を運用に回して、その残りは、ほぼほぼ置いているだけ、という形になっています。いわゆる預かった資産の全額が運用に回っているわけではないということです。
つまり、生命保険の仕組みは収益ではなく、保障に重きがあるのです。
2、保険に加入している方のほとんどが満足ができてない?
実は今現在、日本人の約9割が生命保険へ加入している現状にあるのですが、そのほとんどが、自身で満足のできる内容へ加入できていないという結果が出ています。
この理由は大きく2つです。
(1)生命保険会社同士で比較検討しないまま加入している
一つ目の理由は「生命保険会社同士で比較検討しないまま加入している」ということです。
日本には約40社の生命保険会社と約1,000種類の生命保険があると言われています。そんな中でも、多くの方が比較検討をしないまま加入してしまっている現状があります。
加入の経緯が、会社に来る保険屋さん、たまたま耳にした生命保険、親、知り合いに言われたから。この3つに該当する方は多いのではないでしょうか。
(2)金融商品同士で比較検討しないまま加入している
二つ目の理由は「金融商品同士で比較検討しないまま加入している」ことです。
あくまでも可能性の話ではありますが、もしかしたら現在、生命保険に加入されている方のニーズに対して、生命保険は合っていなかった。そんなこともあり得るということです。
改めて、全額が運用に回ることのない生命保険と、全額が運用に回る金融商品とがあった際に、投資する目的が収益性であれば、皆様はどちらを選ぶのでしょうか?
その答えは後者であることが明確でしょう。
つまり、保険商品は他の金融商品と比較して
- 強み→「保障」
- 弱み→「収益性」「流動性」
となります。
次の章では生命保険の弱みである「流動性」について書いていきます。
3、保険は流動性も低い!元本割れに注意
生命保険の強みとして、「保障」を挙げましたが、反対に、「流動性」が弱いという現状もあります。それは、貯蓄目的で生命保険に加入した場合、もちろん払込期間にもよりますが、収益を求めると最短でも10年間は引き出すことができません。その前に引き出す選択をした場合、元本割れを引き起こします。
また途中での一部取り崩しができないのも大きなリスクとなります。
生命保険は、基本的には解約する以外で積み立てたお金を引き出すことができないので、生命保険の収益性を利用して貯蓄を開始する場合には、教育費用や老後費用といった一つの目標に絞って契約内容を決定していく必要があります。
4、生命保険を最大限に活用するには?
そんな生命保険を最大限利用していくためには、やはり「強みを活かした加入」がより重要となります。
生命保険の最も大きな強みは「保障が持てること」であり、「収益性」ではありません。
従って、生命保険を最大限に活用するには、やはり収益性を比較検討するのではなく、保障を第一に考えるべきです。万が一自分になにかあったら、家族が生活できるように最低限の保障をかけることこそが最大の活用方法ではないでしょうか。
一方、収益性を考えた場合は冒頭でもお伝えをさせていただきましたが、
- 「生命保険は掛け捨てで安く持って、浮いたお金は運用に回す」
この考え方が鉄則になると言えます。
5、分散投資が鉄則!ポートフォリオの組み方
生命保険だけでなく、金融商品にはそれぞれメリットとデメリットのその両方が共存しています。そのため、リスクを軽減させるために投資先を分散させることは鉄則となります。
とは言え、人によって得意、不得意がありますので、投資する商品のバランスが異なります。また、全体のバランスを把握するには、ポートフォリオを組むことが重要です。
「いやでも、どうポートフォリオ(資産配分)を組んでいけばいいの?」
初心者の方は、ご自身でポートフォリオを組むのはなかなか難しいでしょう。
その場合はやはり金融のプロに相談されることをオススメします。ご自身で生命保険の仕組みを学習したり、その他金融商品ぞれぞれの強みを分析したり、収入と支出を細かく書き出したり、それぞれに合った商品を選定していきながら、金額の配分を決めていくなど、初心者の方にとってそれは非常にハードルが高いと言えます。
当サイトには、生命保険以外にも様々な金融商品の知識を兼ね備えたコンサルタントが多数登録していますので、これから資産形成を検討されている方はぜひ相談をされてみてください。より的確なアドバイスをさせて頂きます。