今回は様々な金融商品がある中で、日本人にとって最も身近なものであり、世帯のほとんどの方が加入している現状にある「生命保険」について、なぜここまでイメージが悪いのか考えてみたいと思います。
目次
1、生命保険のイメージが悪い3つの理由
生命保険のイメージが悪い理由は大きく3つに分けられます。
(1)押売り
一つ目は「押売り」です。
今回のお客様の実例にもありますが、多くの方が生命保険営業を嫌がる理由としての大きな要因はここにあるのではないかと思います。
例えば、車が欲しいと言っている方に車を提案する。これを押売りと表現される方はいるでしょうか?では次に、時計が欲しい方に車を提案したらどうでしょう。「要らないのに…」と不愉快な思いされるかもしれません。
営業とは本来、お客様によって様々なニーズがある中で、求められているものやお客様の不平不満を解決する為に解決策を投げ出すことこそが仕事です。時計が欲しい方に車を売るからこそ、押売りと言われるのです。
生命保険ではどうでしょうか?「保険なんて必要ないよ」と言っている方に何度も電話を繰り返したり、アプローチし続けたりするからこそイメージの悪化に繋がっているのです。
(2)担当者の提案レベル
もう一つが「担当者の提案レベル」です。
保険だけに限らず、不動産や投資信託、銀行預金や日常の生活費など、金融の幅広い知識を持った人間がお客様のポートフォリオ全体を見た際に、「この商品はどういった目的で、誰のために加入されているのですか?」とお聞きすると多くの方は、「担当者に任せているからわからない」というような意見が多く感じます。
生命保険に多くの場合として、無駄に死亡保障が高く設定されてあったり、自動更新型で保険料払込期間、保険期間共に短く設定されてあったりと、お客様に負担を強いらせる場合が数多くあります。
担当者に任せっきりにしているから悪いと言っているわけではなく、担当者がきちんと責任を持って良いプランを提案してくれればそれはそれで問題ありませんが、問題は担当者が自分の数字の欲しさに、お客様に合っていないプランを提案しているから生命保険のイメージが悪いのです。
(3)自分に合っていない商品である
最後の一つは「自分に合っていない商品である」です。
こちらも上記に繋がりますが、お客様が万が一亡くなってしまった場合や、入院や手術を受ける場合など、保険金を請求する機会は多岐にわたりますが、そのタイミングでお客様自身が納得した金額を受領できない場合、
「この保険は使いものにならないじゃないか…」
もしくは
「言われたことと内容が違う…」
となってしまい、イメージの悪化に繋がるのです。
いかがでしょうか。上記に書いた3つの理由に該当されている方は意外と多いのではないでしょうか。
今回は上記にある「押売り」が原因で保険に加入してしまい、貯蓄に回す余裕も、プライベートにも余裕がないとご相談をいただきました実例をまとめました。
2、押売りにより保険に加入したS様の見直し相談
S様は外資系生命保険会社から4つの生命保険に加入をしていらっしゃいました。まずは既に加入した保険内容を解説していきます。
(1)現在加入している保険内容
①医療保険
保険期間10年・保険料払込期間10年・保険料1,547円/月
- 入院日額:7,000円
- 災害入院・疾病入院:7,000円×入院日数
- 手術・放射線治療:7,000円×約款所定の倍率
- 骨髄・末髄血幹細胞採取:7,000円×20日
- がん診断;500,000円
- 特定損傷:50,000円
②死亡保険
保険期間15年・保険料払込期間15年・保険料3,656円/月
- 死亡・高度障害:20,000,000円
- 災害死亡:6,000,000円
③死亡保険
保険期間65歳・保険料払込期間65歳・保険料57.77ドル/月(6,389円)
- 死亡:20,000,000ドル(約2,201,600円)
④死亡保険
保険期間:終身・保険料払込期間15年・保険料97.41ドル/月(10,773円)
- 死亡:30,000,000ドル(3,330,240円)
⑤保険料金
- 合計22,365円/月
S様は死亡保障をかなり手厚くかけていました。今の日本の現状として65歳以下で亡くなられる方の割合は4%を切っています。その上で、65歳以前に4,000万円もの死亡保障は必要なのでしょうか。つまり、本来お金を掛けるべきポイントは65歳以後であるにもかかわらず、その保障はほとんどなかったということになります。
例えばカジノへ行き100万円を握りしめ、ルーレットに挑むとしましょう。赤が97マス、黒が3マスあったとしてどちらにお金を掛けますか?現状、この生命保険では黒にお金を投下しているようなものです。
また医療保険に関しては、10年の保険期間だと更新されることが予測できますが、更新の際に保険料が上がってしまい、お客様が不利益を被ることになってしまいます。
つまり、生命保険の加入の際に大切なことは「見直しをしなくてもよいプラン」を早い段階で確立することです。
終身雇用と年功序列が崩壊し、昇給のスピードも急速に落ちてしまった現状で保険料が年齢を重ねるごとに増加することはいかがなものでしょうか。今後ご家族を築かれることも視野に入れればそれはかなり大きな負担となります。
(2)見直したプラン
続きまして、以上を踏まえてご提案させていただいた内容の解説に移ります。
私からS様が必要とされる保障を計算し、下記プランに見直ししました。
①死亡保険
保険期間:終身・保険料払込期間:60歳・保険料72.65ドル/月(7,840円)
- 死亡:50,000ドル(約5,390,000円)
- 高度障害:50,000ドル(約5,390,000円)
- 余命6か月以内:50,000ドル(約5,390,000円)
- がん・急性心筋梗塞・脳卒中:50,000ドル(約5,390,000円)
- 3級以上の身体障害者手帳の交付:50,000ドル(約5,390,000円)
- 要介護2~5:50,000ドル(約5,390,000円)
②医療保険
保険期間:終身・保険料払込期間:終身:保険料1,847円
- 入院日額:3,000円
- 入院手術:25,000円
- 外来手術:50,000円
- 入院一時金:100,000円
- 先進医療:2,000万円
③収入保障保険
保険期間55歳:保険料払込期間55歳・保険料2,520円/月
- 死亡:10万円/月
④保険料金
- 合計12,207円
死亡保障は死亡整理金に加え三大疾病の保障も視野に50,000ドルを、医療保険は短期化している現状がある為に一時金の100,000円で対応し、収入保障の面ではお子様が社会人として自立されるまでの期間の55歳までで保障を持てるようにしました。
結果として毎月の保険料が約1万円抑えられる形となり、銀行への預貯金枠を設けることができました。
担当者からの一言
いかがだったでしょうか。今回は生命保険の見直しをさせていただきましたが、結果として保障内容も充実しプライベート費や銀行への貯蓄の枠を設けることにも繋がりました。今の保険の加入状況に不安がありましたら、ぜひ一度ご相談くださいませ。