「仕事をするなら、安い保険でいいから自分で話を聞いて加入しておきなさい。」
母からのこの言葉が、私が初めて、自分の稼いだお金で保険に加入するきっかけでした。
高校卒業後、就職と同時にそのまま上京することになった私は、当時勤めていた会社に来ていた2社の保険営業の女性からそれぞれ話を聞き、ザックリと比較したうえで「医療保険」への加入を決めました。
決め手は、母からの「安い保険でいいから…」という言葉と、「入院手術なら割と可能性も高そうだ…」という考え。そして「広告でよく見かける会社だし…」といった具合でした。今思い返して、典型的な過ちを犯していたのだと考えさせられます。
そこで今回は、なぜそれが典型的な過ちなのか、自分自身の経験を踏まえ、
- 「新社会人が考えるべき視点はどこなのか」
- 「そもそも保険の特徴は何なのか」
などについて、詳しくお話しをさせていただければと思います。
1、新社会人でも会社の健康保険は手厚く保障が付いている?
健康保険の話をする前に、「社会保険完備」という言葉についてどこかで見たことはありませんか?
ほとんどの方は、会社の求人票を見た際に目にされたのではないでしょうか。いわゆる働く上で重要になる条件の一つですが、実は「社会保険完備」だけでなく、「労働保険完備」「雇用保険完備」「労災保険完備」など、表記は会社によってまちまちです。
もしかしたらこれらの違いを理解せずに求人を出している会社があるかもしれません。まずはこちらについて解説致します。
そもそも社会保険には「広義」と「狭義」で示される2種類の社会保険があります。広義であれば、「雇用保険」「労災保険」「健康保険」「厚生年金」などの保険全般を指した言葉であり、狭義であればその内の「健康保険」「厚生年金」を指す言葉となります。
なお、各保険について詳しくは下記記事を参照にしてみてください。
きちんと社会保険の内容を理解した上で、ご自身に足りない保障はないかを考えるといいでしょう。
2、保険は貯蓄に適してない?保険の本質を理解する
「「保障」と「貯蓄」が一石二鳥、この保険一つで賄うことができますよ」
と保険屋さんからお話を聞いたことがある方、最近は特に多いのではないでしょうか?実はこの提案、非常にナンセンスな提案です。なぜならば、それは保険の特性を理解していないからです。
「資産形成」や「資産保全」を行うにあたって最も大切なことは、それぞれ金融商品の強みを活かすことです。疑問に思う方が多いかもしれませんが、保険の強みは「保障が持てる」ことであり、「貯蓄性」ではありません。
例えば、外貨建て保険の中には積立利率が3%前後のものもありますが、お客様が支払った保険料の内、保障部分や保険会社の経費にあたる付加保険料の部分にこの利回りは適用されません。結果、積立利率1%前後がせいぜいであり、そこに+αで為替リスクが掛かることを考えれば決して有利とは言えません。
つまり、保険は「貯蓄」ではなく、あくまで「保障」として持たれることをおすすめします。
新社会人から貯蓄することはもちろん大切なことで、たとえ月1万円でも年間では10万円以上の貯金ができます。しかし、保険は貯蓄に適していないので、貯蓄を検討されている方はぜひ一度プロに相談して、別の投資商品を検討するといいでしょう。
3、資産形成のプランニングを立てることが大切
導入部分にて「典型的な過ちを犯していた」と書かせていただきましたが、実は「資産形成」をされている方や、「保険」に加入されている方のほとんどが、プランニングに関してきちんと行えていないのが現状です。いわゆる「ゴール」が決まっていないままに「スタート」を切っているということです。
例えると、ひたすらに360度地平線が広がる大草原にA君、B君、C君がいたとして、
- A君「位置について用意、ドン!」
- B君「うおりゃ!」※走り出す
- C君「ちょっと待って、どこに行くの?!」
- B君「え、分からない!」
このような感じです。とりあえず走り出したけど、ゴールが全く決まっていないのです。
ではもっと鮮明に、今の日本と照らし合わせながらそれを登場人物に当てはめていくと
- A君=日本政府
- B君=国民
- C君=金融マン
といった形でしょうか。
資産形成を始められるのであれば、まず初めにスタートとゴールの位置を明確にした上で、それに見合った道筋を立てていくことがより重要になります。
また、5年10年先のことは誰にも予測できないからこそ、様々な状況変化にも柔軟に対応することができるよう、幅広い金融の知識を持ち合わせた方からお話を聞き、様々な金融商品を組み合わせながら設計をしていただくことをお勧めします。