こちらの記事をお読みの方の中で、現在依頼している管理会社の見直しを検討されている方も多いのではないでしょうか。
「不動産は管理から買いなさい」という言葉があるように、不動産投資には管理が非常に大切な役割を担っています。従って、少しでも今の管理会社の対応に不安を感じていたら、見直しをすることをオススメします。
こちらの記事では、見直しをする時のポイントをまとめましたので、管理会社の見直しを検討されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1、管理会社の見直しは必要?
自身の財産である物件の運用を任せる管理会社選びは非常に重要です。
既に賃貸運用をされているオーナーは、委託している管理業務は適正か、費用は妥当なものか、少しでも不安を感じているのであれば、今一度確認してみてはいかがでしょうか。
以下にて賃貸運用をする上での重点と、委託する管理会社によってどのような差が出てくるのか説明していきます。
主に管理会社の比較という点に焦点をおいて説明しますが、これから賃貸運用を始められる方もぜひ参考にしてみてください。
2、賃貸運用における管理業務とは
まずは管理会社の役割について簡単に説明します。
(1)入居者の募集活動
募集広告や物件案内、入居希望者の適正審査や条件折衝など
(2)契約業務
書類の作成、契約説明・締結、契約・更新手続など
(3)入居後の入居者対応
365日24時間の問合せ対応、クレーム処理、家賃集金など
(4)専有部の管理
室内の設備不良の修繕対応や業者手配、退去時の内装工事の見積もり発注など
(5)共有部の管理
共用部の定期清掃、設備点検、建物全体の保守・点検など
業務内容は多岐に渡り、オーナー自身で全て行うとすると大変な工数と費用がかかってしまいます。そこで専門の不動産会社が管理業務を委託されて行うという手法が一般的になっています。
続いて、管理会社の比較を具体的に見ていきます。
3、管理手数料の観点
賃貸物件の管理手数料の相場は1部屋あたり賃料の5%が一つの目安だそうです。一棟での管理委託の場合は戸数や賃料の総額によって変動があると思いますが、基本的に1部屋だけを委託するよりも安くなるケースが多いです。ここでは一旦、1部屋の管理を委託する事を想定してお話します。
管理会社を比較する際に管理手数料が5%より高い場合は、なぜ相場よりも高いのか確認した方が良いでしょう。
- 他の会社に比べて手厚いサービス内容なのか
- ただ会社としての設定が高いだけなのか
また、管理手数料以外の名目での費用請求にも気をつけましょう。
これはオーナーより相談を受ける事が多々あるのですが、管理手数料は安いが
- システム利用料
- 契約手続き費用
- 緊急出動費
などの名目で費用請求される事があり、結果として委託管理にかかる費用が多額になってしまうという事です。
毎月の管理手数料の金額、他に支払いが想定される費用についてよく確認をしましょう。今現在、よく分からない費用を請求されている方は、一度見直しをしてみてください。
4、業務(サービス)内容の観点
前述した通り、管理業務は多岐に渡ります。これら全てが重要な業務にはなりますが、会社によって、また金額によって業務の範囲が変わってきます。現在、そして将来的に収支を安定させていく上で管理業務は非常に重要ですので、しっかり管理してくれているのかぜひ確認してみてください。
以下その確認ポイントを詳しく見ていきます。
(1)入居者の募集活動、契約更新業務、入居後の入居者基本対応
この辺はどんな会社でも業務範囲に入っているでしょう。会社によってさほど差が出る内容ではないのですが、更新手続きの漏れ(更新料の集金漏れ)や問合せ窓口を外部委託(もはや管理会社の役割を放棄している)するなどはたまに見られます。
(2)入居者の夜間緊急時対応、設備や共有部の保守点検、収支計画の立案
この辺りが会社や手数料によって多少変動してくる業務内容だと思います。この辺は通常業務範囲外としている会社も見られますが、正直全て大事な管理業務です。
賃料設定や管理会社の評判、入居者の質といった内容が中長期の運用を考えた時に、非常に重要なファクターとなってきます。また、物件の資産価値をできる限り保ち、将来に渡って収支を安定させる為、そして設備不良や事故を防ぐ為に設備の保守点検や日常清掃は欠かせないものとなります。
管理手数料はさほど変わらず、上記の管理業務を包括的に行っている会社は沢山あります。しっかりとサービス内容を確認した上で管理の委託をするようにしましょう。
(3)入居者募集の観点
入居者募集は厳密にいうと「管理業務」ではないのですが、管理会社が入居者募集の窓口をする事が一般的なので、ここでは管理業務の一環として話をします。
これは意外と重要なポイントです。なぜならば、入居者が入るスピードと設定賃料とが結局のところ収支に直接の影響を与えるからです。
- ①入居者が絶え間なく入る
- ②相場よりも少し高い家賃で契約が決まる
という状態が一番良いわけです。上記2項目についてそれぞれ説明してきます。
①入居者が絶え間なく入る
入居者が絶え間なく入れば理想ですよね。これは会社の規模や特色によって変わると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、結論、ほとんど変わらないです。なぜかというと一昔前と違い、今のユーザーはもとより、不動産業者同士もインターネット上で連携を取っている為です。
通常、物件の募集を出す際は正規の不動産業者であれば誰でも閲覧のできるデータベースに募集情報を掲載します。その情報を基に全国の不動産業者がそれぞれのお客さんに物件の紹介をするのです。その為、会社の大小は入居者の入るスピードにほとんど影響を及ぼさないのです。
「いかに一生懸命売り込むか」という点において、紹介する不動産会社の心情が変わる事はあるので、やる気のある会社かどうかという心象が大事かもしれません。また、実際に紹介する店舗(仲介店舗)を持っている会社は自身で集めたお客さんに積極的に紹介するので決定率が上がってくると思います。
②相場よりも高い家賃で契約する
例えば、10年間の収支を予想する際の要素として「スピード×家賃」となります。スピードはどの会社でもさほど差がでないとすると、重要なのは家賃設定に他なりません。
この設定家賃とは表面上のいわゆる「家賃-管理費」だけを指す訳ではありません。「礼金」「更新料」といった収益も含めて少なくとも1年単位くらいで見た収支を考えたものになります。家賃が高くて礼金が0の時と家賃が普通で礼金が1の時ではどっちの方が収益として高いのか、その辺に詳細も含めた収支計算が重要です。
具体的に次の事例を見てみましょう。
具体的な事例
事例A)
- 家賃:10万円
- 礼金:0円
- 2年間の家賃収入:240万円
事例B)
- 家賃:9.6万円
- 礼金:9.6万円(1か月)
- 2年間の家賃収入:240万円
上記2つを比較した場合、2年間の家賃収入は同じく「240万円」になります。ここで重要なのは、どっちの方が早く入居者が決まるのかという点です。また、入った入居者が長く住むのかすぐ退去してしまうのかもポイントになってきます。
上記観点でいうと、私の経験上では、初期費用を安く済ませたい人の方が入居期間は短くなりがちです。なぜならば、「初期費用を安く済ませたい人は、部屋自体の条件よりも費用を優先してしまうので、また引越しを近いうちにするかもしれない」という入居者の思考だからです。
上記の例だと、2年以上住む場合は、10万円の募集の方が収益が増えていくのですが、長く住む確率が高いのは礼金1か月で決定した場合です。退去が早いという事は入替時に空室期間が出て、家賃収入が得られない時期が発生するという事です。従って、オススメしたいのは礼金1か月以上での契約となります。(可能であれば礼金2か月での契約を目指したいものです。)
とは言え、礼金0だけど相場よりも異常に高い家賃で決まるという場合もなくはないので、ケースバイケースです。そういった意味では提案の幅や将来的な収支バランスを考えてくれる会社を選択するのが良いでしょう。
■管理会社の見直しポイントまとめ
上記を踏まえて、管理会社の見直しをするかどうかのポイントをまとめます。
①料金
相場の5%より明らかに高くないか、他の名目での費用請求がないか。
②サービス内容
賃貸運営における包括的な管理業務になっているか。将来的な話も込みで安心して任せられそうか。
③設定賃料、入居率
提案される募集家賃が相場より低いという事はないか?家賃が適正でも入居者の入替の度に2か月以上空室が続くなどの事態が発生してないか。
5、担当者の観点
管理会社の比較検討をする際は前述したポイントを抑えておけば大丈夫かと思いますが、最後にお伝えしたいのは相対する「人」も見極める事も大事という事です。
賃貸管理業の実務・手数料などの比較についてはこれまで説明した内容を抑えていれば問題ないですが、最後は担当する「人」という要素も重要です。
- 何かあった際しっかりと問題解決に奔走してくれるのか
- 収支を含めた将来に向かって一緒に歩んでくれるのか
など、要は信頼できるのかという話です。