2016年に実施したマイナス金利の影響で、史上最低金利と言われてきました。その中で、金融機関の融資を活用して「他人資本」で区分マンション投資を検討されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、
- 自分には投資ローンは受けられるのか
- いくらの融資が受けられるのか
など、投資ローンについて知らないことが多い方も少なくないでしょう。
そこで今回は、3,000人以上区分マンション投資ローンをサポートしてきた私が、区分マンション投資のローンについて詳しく解説していきます。これから区分マンション投資を検討していて、ローンに不安がある方はぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
目次
1、区分マンション投資ローンがチャンス?
昨年の2重契約などの金融機関の不祥事を受け、金融庁の介入により一棟投資物件の融資が非常に厳しくなりました。
一棟物件に関しては、基本的に積算評価の高い物件にしか融資がでないなど、かなり物件に対する評価基準が厳しくなった上に、1〜3割の頭金を出すことを条件にする金融機関も多くなりました。つまり、たとえ積算価格が高い物件に出会えたとしても、自己資金がないと買えないのです。
その中で、今まで一棟投資物件の融資を行っていた金融機関は、一棟投資物件への融資を縮小して、区分マンション投資に対する融資を積極的に行うようになりました。
もちろん融資の基準に満たすことが前提条件になりますが、今だからこそ有利な条件で区分マンション投資の融資を受けられるタイミングと言えるでしょう。
2、いくらまで融資できる?融資枠の考え方
自分はいくらまで融資ができるの?と知りたい方も多いでしょう。
一般的には区分マンション投資の融資枠は、ご年収の7〜10倍前後が一つの目安になります。自宅ローンとは別で考えていいでしょう。
例えば、ご年収500万円がある方は、大体3,500〜5,000万円が融資枠の目安になります。
もちろん、上記はあくまでも一般的な目安になっていて、車のローンがあった場合、少し融資額が減る可能性もあるし、逆に金融資産をお持ちの場合、融資額が増える可能性も十分に考えられます。
なお、まずは1物件からスタートして、その後買い増しして物件を購入する場合、既に不動産投資をやっているという条件で、融資枠の交渉ができる可能性もあります。
また、ご自身で金融機関に交渉するのか、不動産投資会社の提携ローンを利用するかによっても条件が異なってくる可能性がありますので、詳しくは「6、自分で金融機関と交渉する?それとも提携ローンを受ける?」を参照にしてみてください。
3、区分マンション投資ローンの金利は?
数年前までの区分マンション投資ローンの金利は、3〜4%と非常に高かったのですが、冒頭にも書いたようにマイナス金利実施により、今は史上最低と言われているほど金利が低いです。
もちろん金融機関によって多少の差はありますが、ご自身の属性によって1%台から受けられる金融機関もあります。
4、融資を審査する5つの項目
では、金融機関は融資の審査で、どのような審査基準を設けているのでしょうか?
大きく下記5つの項目を審査しています。
- (1)収入
- (2)勤務先
- (3)金融資産
- (4)借入状況
- (5)家族構成
では、それぞれについて書いていきます。
(1)収入
まずは返済能力の「収入」です。
上記「2、いくらまで融資できる?融資枠の考え方」にも書きましたが、融資枠は年収の7〜10倍を目安にしています。ここに幅があるのは、年収がいくらあるのか、きちんと返済能力があるのかどうかで判断しています。
わかりやすく言えば、年収が高ければ高いほど良いです。とは言え、ベンチャー企業で勤続年数3年の700万円の方よりも、上場企業で勤続年数10年の年収500万円の方は金融機関が好みます。なぜならば、大手企業勤続の方は収入が安定する、返済を滞るリスクが少ないと金融機関が判断するからです。
なお、物件価格にもよりますが、区分マンション投資ローンを受けるには、大体年収500万円が一つの目安と挙げられます。
(2)勤務先
2つ目は収入の安定性を判断する「勤務先」です。
金融機関は上場企業、医者、弁護士などの方を好みます。その理由はわかりやすく、収入が安定するからです。
金融機関は会社のHP、帝国データバンクなどから勤務先の情報を収集します。そこから情報をきちんと得られない場合、勤務先の事業説明、決算書の提出を要求される場合もあるので、認識しておきましょう。
(3)金融資産
3つ目は「金融資産」です。
金融機関が融資の審査をする時に、必ずその人の金融資産を調べています。全く金融資産がない人よりは、やはりある程度金融資産を持っている方を好みます。もちろん、その資産は多ければ多い方がいいです。
金融機関は「負債」と「資産」のバランスを見て審査しています。つまり、不動産の価値と持っている金融資産は負債を上回るべきだと考えています。従って、金融資産が多い方は選べる金融機関も増え、より有利な条件で融資を受けられます。
(4)借入状況
4つ目は返済枠を判断する「借入状況」です。
融資を受ける時は、可能な限り借入がないのは望ましいです。他に借入がある場合、金融機関は今ある収入の中から、その借入への返済もあるということで、区分マンション投資ローンへの返済枠が減ってしまうという判断をします。
他の借入があると融資がおりないわけではないですが、融資枠への影響やタイミングなどについてはぜひ専門家に相談してみてください。
(5)家族構成
5つ目は「家族構成」です。
金融機関は独身の方よりは既婚の方を高く評価しています。その理由は、既婚者はすでに家族を持っていることから、引っ越し、転職、結婚式の費用、出産費用などこれからのライフスタイルの変更による収入に大きく影響する変数が少ないと考えているからです。
また、配偶者もきちんと働いているのであれば、万が一本人が返済できなくなった場合、配偶者から返済してもらえるなどの理由から、家族構成も一つの審査基準にしています。
5、融資を通しやすくするには?
融資をスムーズに通したい、複数の物件を同時購入したいから融資枠を増やしたいなど、融資を通しやすくしたいと考えている方も多いでしょう。
融資を通しやすくするには、大きく以下のようなポイントが挙げられます。
- (1)自己資金を多くして、融資額を減らす
- (2)最も有利なタイミングで申し込む
- (3)カードローンなどの返済を完了させる
(1)自己資金を多くして、融資額を減らす
融資額を減らせばその分金融機関はお金を貸すリスクが小さくなるので、融資が受けやすくなります。
しかし、区分マンション投資の最も大きなメリットは、融資を活用して「他人資本」でスタートさせることなので、自己資金を増やすことによって、そのメリットを最大限に享受することができなくなり、自己資金による他の商品への投資ができなくなるのは本末転倒なので、他人資本と自己資金のバランスを明確にする必要があります。
(2)最も有利なタイミングで申し込む
上記「4、融資を審査する5つの項目」にて金融機関が融資を審査する5つの基準を紹介しましたが、要は上記基準に満たした時は融資に最も有利なタイミングと言えます。
今年は昇進して収入が上がったから、この人は将来有望と金融機関が判断するので、本来の融資枠より多く受けられる可能性があります。来年転職することを考えているのであれば、転職したばかりのタイミングだと融資がおりない可能性があるため、今年のうちに融資を受けておいた方がいいでしょう。
人によってタイミングが異なりますので、上記のようにご自身にとって最も良いタイミングを逃さないことが大切です。
(3)カードローンなどの返済を完了させる
カードローンなどの融資があると、金融機関からはその分の返済能力が少なくなると判断されるので、カードローンなどの返済が残っている場合、基本的に融資は厳しいでしょう。
なお、自宅ローンは投資ローンと別に判断するケースが一般的ですが、自宅ローンの返済額があまりに大きい場合、専門家に一度相談するようにしましょう。
6、自分で金融機関と交渉する?それとも提携ローンを受ける?
投資ローンを受ける際に、ご自身で交渉するか、不動産投資会社の提携ローンを利用するかと大きく2つの選択肢が挙げられます。それぞれにメリットとデメリットがありますので、参考にしてみてください。
(1)ご自身で交渉するケース
投資ローンをご自身で交渉する方は、やはり不動産投資のプロが多く、高属性の方が多いです。
- 金融資産を多く所有し、深く付き合いがある金融機関がある
- 既に不動産投資をやっている
- ご自身で事業計画書を用意して、担当と交渉できる
- 高属性である
上記のような条件に該当する方は、ご自身で交渉した方がより有利な条件で融資を受けられる可能性が高いです。
(2)不動産投資会社の提携ローンを利用するケース
不動産投資会社は様々な金融機関と提携しています。金融機関はその会社の取引実績などで金利を決めていますので、同じ金融機関でも経由する不動産投資会社が違えば、金利などの融資条件も異なります。
つまり、きちんとした不動産投資会社であれば、提携されている金融機関も多く、より有利な条件で融資が受けられます。また、担当者は全て手続きをしてくれますので、ご自身で交渉する必要もないのがメリットです。
一方、その不動産投資会社が立ち上げが浅い、提携先が少ない場合、他社より高い金利になるなど、不利な条件になるデメリットがあります。そのため、きちんと不動産投資会社を選ぶことが非常に重要です。