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金融広報中央委員会が実施した調査によると、金融資産の平均保有額は単身世帯744万円、2人以上世帯1,430万円です。なお、中央値は単身世帯50万円、2人以上世帯609万円となっています。 

公益財団法人生命保険文化センターの調査データをみると、金融商品の種類別にみると、単身世帯は「預貯金」が最も多く全体の約4割を占め、次いで「株式」、「生命保険」となっています。また、2人以上世帯でも「預貯金」が5割以上と最も多く、以下「生命保険」、「株式」となっています。

また種類別金融商品保有額を見ると、全資産の単身世帯であれば約10%2世帯以上世帯であれば約18%を生命保険として保有していることになります。しかし、これはあくまでも「保有額」です。

現金を所有していてもあまり税金について気にされることないですが、保険を所有することによって、実際に税金はどのようになるのでしょうか?仮に生命保険で保険金や給付金を受け取った際、税金は掛かってくるのでしょうか?

今回の記事では、保険に関する税金についてまとめました。保険を税金について知りたい方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

1、生命保険を受け取る時に必ず税金がかかるの?受取る保険金の種類によって違う

日本人の最も多くの方は生命保険に加入しています。生命保険を受取る時にいくらの税金がかかるかについて気にされている方も多いでしょう。

具体的にはどのような税金がかかるのか、税金がかかる生命保険などについて書いていきます。

(1)税金がかかる保険金

保険金や給付金を受け取る際に税金は掛かるのでしょうか。

結論をお伝えすると、「死亡保険金」、「解約返戻金」、「満期保険金」には税金が掛かります

①死亡保険金

被保険者が亡くなってしまった場合に受け取ることができるお金です。

②解約返戻金

保険を解約した場合に受け取ることができるお金です。 

③満期保険金

契約満期時に受け取ることができるお金です。

それぞれについて後ほど解説します。 

(2)税金がかからない保険金

反対に、「入院給付金」や「手術給付金」、「通院給付金」など、生存していてケガや病気が原因で受け取るお金については税金が掛かりません。ちなみに、こちらの保険金は非課税であること「所得税法施工例第30条第1号」で決められている為、商品による違いはありません。 

  • 入院給付金…入院時に受け取ることができるお金
  • 手術給付金…手術時に受け取ることができるお金
  • 通院給付金…通院時に受け取ることができるお金
  • 就業不能給付金…介護や障害など、働くことができなくなってしまった場合に受け取ることができるお金

2、保険金を受取る人によって税金の種類が変わる

保険金を受け取る際に税金が掛かるとお話ししましたが、実際に「死亡保険金」や「満期保険金」などを受け取る場合「契約者」、「被保険者」、「保険金受取人」の組み合わせによって、実際にかかる税金の種類が異なります

(1)死亡保険金の場合

まずは死亡保険金からみてみましょう。

①契約者=被保険者の場合「相続税」

契約者も被保険者も夫で、保険金の受取人が妻という形が挙げられます。

保険契約者である被保険者が死亡した場合、その死亡保険金は相続税の課税対象となります。ですがこの場合、死亡保険金が遺された家族(妻や子供)の生活を保障する役割を担う為、受取人が法定相続人の場合は一定の死亡保険金が非課税とされており、税負担が少なく設定されています。

②契約者=受取人の場合「所得税」

夫が妻や子供の万が一に備えて契約した場合などが考えられます。この場合、夫が契約者であり受取人も夫の場合、「所得税」の課税対象となり、支払った保険料を差し引いて税金を計算することとなります。
原則、保険料を支払った本人が保険金を受け取る場合は「所得税」の課税対象となります。

③契約者≠受取人≠被保険者の場合「贈与税」

夫が妻の万が一に備えて保険を契約し、その受取人を子供に設定した場合、子供が保険金を受取るとなった場合「贈与税」の課税対象となります。 

保険料を支払った人ではなく、他人がお金を受け取る為、贈与とみなされるわけです。 

(2)満期保険金の場合

続きまして、満期保険金の場合をみてみましょう。

①契約者=受取人の場合「所得税」

死亡保険金と同じく、契約者と受取人が同じ人の場合、「所得税」の課税対象となります。

②契約者≠受取人の場合「贈与税」

こちらも死亡保険金と同じく、受取人は「贈与税」の課税対象となります。

3、実際にいくらの税金かかるの?生命保険の税金対策は?

保険金の受け取り方によって「相続税」「所得税」「贈与税」と課税対象が変わります。実際にいくら税金がかかるのか、またその税金それぞれに設けられた「控除枠」を解説しながら税金への対策を説明していきます。

(1)「相続税」の場合 

相続税の場合は、下記計算式にて算出することができます。

  • 非課税限度額×(受け取った保険金額÷受け取った総保険金額) 

が課税対象金額となります。ですが、先ほどもお話ししたとおり、相続税は大きく控除枠が設けられています。それが以下の

  • 500万円×法定相続人数

という計算式になりますので、保険金の総額は控除枠を利用することがより効率的といえるでしょう。ですが現在、様々な金融商品がある中、保険だけで全てを賄うという考え方はナンセンスだといえます。

様々な金融商品を組み合わせながら相続について考えてみてはいかがでしょうか。 

例えば5,000万円の死亡保険金が発生し、法定相続人が3人(妻と子供2人)の場合

  • 500万円×3人=1,500万円
  • 5,000万円-1,500万円=3,500万円

となり、1,500万円までが非課税で相続されることになります。

(2)「所得税」の場合

所得税の場合、受け取り方によって課税方法が2つに分かれます。 

  • 一括受け取り…一時所得
  • 年金受け取り…雑所得

一括受け取りの場合は、「一時所得」扱いとされ、

⦅受け取った保険金―これまでに支払った総保険料―特別控除(50万円)⦆×所得税率

という計算によって納税額が決定します。金利の高い時期に保険に加入された場合は納税額に注意が必要です。

一方、年金受け取りの場合は、雑所得の課税対象となり、

総収入金額⦅基本年金+増額年金+年金受け取り開始後の配当金による増加年金)―必要経費(払込総保険料÷(年金金額×支給期間)⦆×雑所得税率
※総収入金額の一年目は基本年金+増額年金

となりますが、20万円以下の場合は申告する必要がありません。納税も不要です。 

(3)「贈与税」の場合

贈与税の場合、納税額が

受け取った保険金―110万円(基礎控除額)

によって計算することができます。その為、子供や孫に贈与することを考えている場合、年間の贈与額は110万円を一つの目安にすると良いでしょう。

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まとめ

保険金に関して、果たして税金が掛かるのか掛からないのか、掛かるとなればどれくらい掛かるのかとお話しをさせていただきましたがいかがだったでしょうか。

国に税金を納めたいと思って保険や貯蓄をされる方は少ないでしょう。その為、多額の保険金や遺産を受け取ったのにも関わらず、制度を最大限利用せず納税額が膨大にかかってしまえばそもそもの目的がずれてくる為、本末転倒な話です。保険や貯蓄を始める際は、税金の控除枠から逆算して保険金、贈与のタイミングを設定されるのがベストであるといえます。

複雑な計算式が多く、相続は特に「争う×相続=あらそうぞく」なんて呼ばれているのが現状です。お困りの際は、ぜひ一度金融のプロにお話を聞かれてみてはいかがでしょうか?

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