「賃貸率99%!!100%も達成!(当社調べ2018年3月)」
このような数字を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
不動産投資において、入居率99%を維持できたなら、それは間違いなく大成功していると言えるでしょうが、実際に入居、賃貸管理で苦労されている方も少なくないでしょう。
不動産投資で成功されている方の共通点は、以下の4つのポイントをおさえているのではないかと思います。
- いい物件を買う
- 入居率を高く保つ
- 無駄な出費を抑える
- 高く売る
1、3、4においては、人によって良し悪しの基準が変わりますが、「2、入居率を高く保つ」だけは、文字通りの意味で、人によって基準は変わることはありません。
では、入居率を高く保つにはどうしたらいいでしょうか。
それはしっかりと管理することに限ります。
具体的に挙げてみると、
- 毎月毎週掃除をして物件を綺麗に保つ
- 入居者が出ていかないようにクレーム対応や設備のメンテナンスや追加を行う
- 退去が出たら過不足なくリフォームして収入を下げないように、
すぐ次の入居者がつくように募集条件の設定をする
など、様々な工夫をしたり、時代に即してLINEで入居希望者とやりとりしたり、特別なことをするわけではないですが、大切なことは、何年も何年も同じことを、当たり前のように繰り返すことです。
「冒頭のような入居率99%の管理会社に自分の不動産を任せたい!」と思いますが、果たしてこんなすごい管理会社が自分の不動産を管理してくれるのでしょうかと、自分の物件に合った管理会社の選び方がわからない方も少なくないでしょう。
今回は購入不動産選びと同じくらい大切である管理会社選びの方法と、実際にあった9個のトラブルや失敗例と合わせて解説していきます。
こちらの記事を読み終わったら、すぐにでも不動産を買って実践してみたくなるかもしれません。
1、区分所有と一棟所有では管理会社選びが異なる
物件のタイプによって選ぶ管理会社の基準が異なります。「区分マンション」と「一棟物件」を大きく2つに分けて説明していきます。
(1)区分マンション
冒頭の「入居率99%」を達成している管理会社は、立地を限定した区分マンションの管理会社が一般的です。
元々、物件を管理をする上ではBM管理とPM管理が必要です。
①BM管理とは
BM管理とは、Building Management 建物管理、清掃、修繕など建物そのもの管理です。タテカンと呼ばれています。
区分マンションのBMに関しては、マンションごとにマンション管理組合というものがあり、各部屋の所有者の方々が組合員となり、みんなで修繕の時期・費用を決めます。なので、物件購入前に、すでに管理会社が決まっています。
管理費修繕積立金は、このマンション組合が全体の費用を決め、所有する部屋の大きさに準じて分割した費用をそれぞれが支払います。
②PM管理とは
一方、PMとはProperty Management の略で、賃貸募集や、集金代行など収入面と、契約事項に関する管理です。建物ではなく、入居関係の賃貸等に関する内容を管理することです。
PM管理は基本的に販売した不動産業者が行います。集金代行業務とも言います。
PMの管理費用は大体家賃の2〜3%(消費税)が一般的です。最近では各1部屋1,000円(消費税)でやります!という管理会社さんも最近ではよく目にするようになり、もう少し管理費が安くなった傾向があります。
PM管理を行なっている管理会社が、退去後の募集を行います。
③管理会社選びより立地選びの方が大事?
地価上昇により、マンションの価格もかなり上昇している関係で、区分マンション投資では毎月の収支が大体±0の物件がかなり増えました。つまり、入居率100%でないと赤字が出てしまうオーナーが多いです。
従って、区分マンション投資においては、都内人気駅5分圏内などの必ず1ヶ月以上空室にはならないような「立地」選びの方が管理会社選びよりも重要と言えるのではないでしょうか。
(2)一棟マンション・一棟アパート
続いて、一棟投資物件の管理についてみてみましょう。
一棟物件において、BM管理もPM管理も基本的には同じ管理会社が行います。しかし、区分マンション管理と大きく違うのは、一棟物件はマンション管理組合などはなく、すべての管理をオーナーが一人で決めることができるということでしょう。言い換えれば、管理について全てオーナーがやることになります。
「自主管理」という言葉を耳にすることもあると思いますが、これは基本的に、清掃やクレーム処理などのBM管理は主にオーナー自身が行い、賃貸募集や契約事項は不動産業者さんの力を借りるという管理方法です。
賃貸契約時に、宅地建物取引士による重要事項説明する必要があるため、業社の力が必要になります。業者に依頼すると、SUMMOなどのポータルサイトに情報を載せたり、広く募集をかけられるというメリットを享受することができます。
①管理会社よりも担当者との相性が大事?
実は、一棟物件の管理会社を選ぶ際、その管理会社の担当者はあなたの性格とあっているかどうかが非常に重要です。
もちろん、将来担当が変わったときのことも考えると、その会社の雰囲気を自分自身が嫌ではないことも大切です。
とはいえ、おつきあいを始めてみてわかることもたくさんあるので、合わなければその時管理会社を変えられることも認識しておきましょう。ちなみに、管理委託契約時、3ヶ月前に通知すれば契約解除できるというところがほとんどです。
②5年の付き合いを1つの目安に
不動産を売却する際に、購入時より利益が出た場合、譲渡所得税を支払う必要があります。その税率は物件購入後5年を境に40%→20%にとほぼ半分になります。
上記の理由から、今までお会いしてきた多くの方が「買った不動産は5年以上は持つ」というお考えの方がほとんどです。
つまりは、一般的には管理会社とは5年以上つきあわなければいけないということです。要望を伝えられなかったり、伝えても行動してくれなかったり、最悪の場合話すことも億劫になってしまうような会社では、1年と関係は続きません。
不動産投資は購入後がスタートなので、オーナーにとって、成功の鍵を握っているのはパートーナーである管理会社といっても過言ではありません。
管理会社に連絡を取られるときは、以下のポイントを目安にしてみて下さい。
- 自分の不動産投資に関する考え方を理解してくれるのか
- スピード感にズレはないか
- 5年もしくはそれ以上いい関係を続けられるか
など。
2、あなたに合う管理会社はどっち?大手管理会社or地場の管理会社
管理会社と言っても、大手と言われている大規模の会社もあれば、地場にあるような小規模な会社もあります。
以下にてそれぞれの会社のメリットとデメリットについて書いていきますので、ご自身の物件の管理会社を選ぶ時の参考にしてみてください。
(1)大手管理会社
大手管理会社というのは、ア◯マン、◯イブル、ミニミ◯など、CMでもおなじみの管理会社です。
①メリット
大手管理会社のメリットと言えば、社内規定がしっかりしていて、報連相の徹底がされています。
また賃貸募集を行う場合でも全国加盟店のネットワークの力で広く賃貸募集を行ってくれるところが魅力的ですね。
ご自身は「きっちりと報告がないと許せない!」というタイプであれば、大手の管理会社を選ばれることをお勧めします。
②デメリット
大手ということもあり柔軟性がかけてしまう点がデメリットと言えるでしょう。
以前管理依頼した際に、管理条件についてすり合わせを電話行っていた時、私はその場ですべての事項を決めていました。相手はすべての決め事について、「一度社内稟議にあげます。住本さんはなぜ即決できるの?社内で協議しなくていいのか」とかなり驚いていらっしゃいました。この点は安心できるからいいという意見の方と、そこまで確認するのか?という意見の方で別れるポイントであると思います。
全国展開だと、担当者が転勤してしまうのもデメリットとして挙げられます。
(2)地場管理会社
一方、地場の管理会社は昔から地域でやっている会社です。
①メリット
地場の管理会社は、長年そのエリアで不動産業に従事していて、相場感や業者同士の繋がりが強いという点が最大のメリットでしょう。
独自のネットワークで入居者を見つけてくれたり、修繕でもとても安い業者を知っていたり、オーナー目線で不動産を管理してくれるイメージです。
力を入れて管理を行うことで、オーナーが物件を売却するときに仲介できる可能性もあるので地場の管理会社さんにとっても、メリットがあります。
②デメリット
オーダーメイドのようにオーナー目線でしっかりと管理してくれる管理会社さんがほとんどですが、柔軟すぎるでしょ!と思うことも多々あります。
ある程度管理会社さんの裁量に任せるよという感覚の方はこちらの管理会社さんを選んでみるのもありかもしれません。
3、これを知っとけば賃貸管理で失敗しない!賃貸管理でよくあるトラブル9例
最後に、賃貸管理で失敗しないように、事前に知っておくべきよくあるトラブル9例をご紹介します。
対処方法もきちんと把握しておきましょう。
(1)軽微な修繕を勝手に行われてしまった
管理会社との代表的なトラブルです。管理委託契約の際、「軽微な修繕であれば管理会社の判断で行います」という文言が必ず入っています。
鍵交換や、水漏れなど急を要するものに関してなどですが、契約書に書いてあるからということで家賃送金時に勝手に清算されていることが多々あります。
このような修繕はすぐに行わないと入居者が困りますから、ある程度許容してあげることで、入居者の満足度をあげることもできます。金額を3万円くらいに縛っておくことと、修繕前と後の写真付きの報告を修繕後すぐに行うことを徹底してもらいましょう。
(2)会社に連絡しても担当が不在でなかなか連絡がつかない
代表番号だけではなく、ちゃんと携帯を教えてくれる担当を見つけましょう。
何か問題があった時、気軽にすぐにやり取りができないと自分自身もストレスフルになりますし、何よりも入居者に対する最大限のフォローを怠らないためでもあります。
(3)送金明細にミスあり
この問題を防ぐためには、毎月自分で入金金額にズレがないか確認することしかないです。
見つけたことを報告すると基本的には申し訳なさそうにすぐ対応してくれます。
(4)修繕の内容に不満が残った
わかりやすい例としては、ある物件で給水ポンプが壊れてしまい、簡易的な修繕とレンタル仕様のポンプが取り付けられました。費用はなんと全部で80万円です!更にレンタル費用はなんと1日3万円もかかるそうです。
その2週間後に通常修繕があり、その費用がなんと「120万円!!!」です。
全世帯の水道に影響が出たのはわかりますが、仮設ポンプなんかつけずにはじめから120万円の提案をしてくれよと揉めたのはいうまでもなく。
結局は支払いに応じましたが、修繕費用は最小限で最大の効果をもたらす内容にしたいものです。
(5)空室募集要綱に関してお互いに確認不足
空室が出た時のため、募集条件を決めます。基本的には管理会社が提案してくれた内容をオーナーが承諾する形式をとります。
その際にたまにお互いの確認不足によるところでトラブルが発生することがあるのですが、一番多い原因はオーナーが許容できる「費用負担額」について話し合いがなされていなことです。
管理会社は「広告費は地域の相場から家賃の◯ヶ月分で募集してあげよう」「内装の修繕費用はこれくらいで抑えないといけないから、本当は独立洗面台をつけたらいいのに」などオーナーが負担することになる費用を少なくしようと考えています。
しかし、意外にオーナーが数万円の負担を追加してくれるだけで家賃を上げられたり、入居づけが圧倒的に有利になり、結果的にオーナー負担は少なくてすんだということも多くあります。またオーナーから費用負担の提案をしてあげることで管理会社のモチベーションも上がります。
オーナーからも管理会社さんに色々と要望を伝えることが大切だったりします。
(6)滞納に対して対処していなかった
これは大手も地場の会社さんでもおきたことがあります。
毎月決まった家賃の振込日に必ず入金があるかどうかを確認し、管理会社に確認を取る必要があります。
(7)管理費用◯%と思って契約したら、その外に色々と費用がかかった
稀に発生してしまいます。
管理内容が多い大手の管理会社に発生しやすいので、契約前にかかる費用全ての提示を求めましょう。
(8)修繕を自社以外ではやらせないと言われてしまう
こちらも大手管理会社では起きがちです。
こちらは修繕項目の単価をネットで調べてみましょう。地域ごとに違いがありますので一概にいくらが正しいというのはありませんが、地域相場とあまり相違がなければ管理会社に任せた方がいいかもしれません。
(9)契約解除を告げた後の業者引きつぎをしてくれない
私が担当している物件の中で、当時の管理会社は不備が多く、以前から付き合いのあった管理会社へ変更しようとして、契約解除を申し出ましたら、なかなか情報を引き継いでくれず、新しい管理会社のおかげで、なんとか対応できました。
管理会社が変わると、入居者への通知や各業者への連絡、名義変更を行う必要があります。中でも、入居者が保証会社を利用している場合、管理会社同士でしっかりと引き継ぎをしなければいけません。
きちんと引き継ぎをしないと、保証会社との契約が切れてしまうなど様々な契約が無効になるリスクも考えられますので、手続きの漏れがないか、オーナーもちゃんと確認するようにしましょう!