円安の波も収まりつつある昨今。
一時期は160円台に届くかと思わせた時期もありましたが、そこまではいかず、今は130円台で安定しているようです。
さて、この円安による不動産市況への影響はどうなのでしょうか。
よく頂くご質問をプロが分かりやすく説明させて頂きます。
1、円安は不動産価値に影響するのか?
(1)昨今大きく進んでいる円安とは
2022年3月から円安トレンドがどんどん強まっています。
今年の初めに1ドル115円台だった為替レートは一時1ドル150円を突破し、1990年8月以来、32年ぶりの円安水準となりました。
ではなぜ、このような円安が進んでいるのでしょうか。
その理由の一つとして日本とアメリカの政策金利の違いが挙げられます。
今年の3月以降、アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ対処のため、金利を0.25%から3.25%まで積極的に引き上げました。
一方日本では短期金利をマイナスにし、長期金利はゼロ%程度に抑える大規模な金融緩和策を維持すると決めました。
こうした政策の違いが今回のような円安を生み出しているのです。
(2)円安が不動産に与える影響
こういった円安は不動産にも影響を与えて不動産価格の上昇を引き起こしています。特に海外から輸入する建築資材や設備機器の価格が高騰しそれに伴い建築費も上昇します。
ただ、この円安は海外の投資家からすると、メリットが多くあります。
特に、海外と比べ、不動産価格が割安と呼ばれている日本の不動産会社には、問い合わせが増えたというニュースもありました。
引用元:Wagaya Japanより引用
円安が進むことによって、海外投資家にとっては金利の差から日本の不動産価格が割安に感じるのです。
実際に円安が進むと、海外からの旅行客によるインバウンド消費が増えるのと同じく、海外の投資家による東京の不動産投資も増加する傾向があります。
そうすると、国内外からの需要が高まり、東京の不動産価格も上昇傾向に進んでいきます。
これらの要因が重なり、円安になると一般的には不動産価格は上昇するという風に言われています。
2、世界から見た東京の不動産価値
まずはこちらのグラフを見て下さい。
引用元:「一般財団法人 日本不動産研究所」より引用
こちらのグラフは、東京の港区元麻布所在の高級住宅のマンション価格を100として見たときの、各国の価格水準と賃料水準の比較になります。
物価が高いと言われているニューヨークやロンドンだけではなく、同じアジア圈でも1.5倍から2倍以上の価格の差がでています。
ただ、東京の不動産価値が低いからといって東京自体に魅力がないわけではありません。
東京という都市は世界からも注目され、世界の都市総合ランキングでも3位にランクインしており、不動産についてはまだまだ発展途上なのです。
引用元:「一般財団法人 森記念財団 都市戦略研究所」より引用
実際に東京ではリニア新幹線や高輪ゲートウェイの再開発、東京タワーを超える高さになるオフィスビルの建設など、東京では再開発が盛んに行われており、今後のさらなる発展も期待されています。
そうなると、経済もより一層回り東京の不動産の需要が高まることで、東京の不動産価値自体も上昇し世界有数の不動産大国となるかもしれません。