不動産を取得すると、「登記」をしなければいけないことをみなさんご存じでしょうか?
対象不動産の所在地を管轄する法務局に対し、その不動産の権利変動について、登記申請手続きを行うこと
登記簿には、簡単に言えば、その不動産は今までだれが所有していたのか、抵当権がついているのかどうか等の記録が記載されています。
目次
1、なぜ不動産登記が必要?
土地と建物は目に見えますが、不動産の権利は目に見えません。ですので、
「私がこの物件の所有者です」
「私がこの物件の権利者です」
ということを明らかにする方法として、不動産登記制度があります。
登記をすることで、第三者に対し、その不動産に対する自分の法的権利を主張することができるようになります。これを登記の「対抗力」と呼びます。
つまり、第三者に対して自分が、この不動産についての権利があることを主張するには登記が必要となります。これを不動産の「対抗要件」と呼びます。
したがって、不動産を購入したら登記をすることになります。
2、新築物件を購入した時の登記に必要な書類
新築物件を購入した時に、所有権保存登記で必要となる書類としては、以下のいずれかの住所を証明できる書類が挙げられます。
- 住民票
- 戸籍の附票
- (法人の場合)登記事項証明書(発行後1ヶ月以内)
3、中古物件を購入した時の登記で必要な書類
中古物件を購入する時は所有権移転の登記申請を行ないます。
(1)買主が用意する書類
買主としては以下の書類を用意する必要があります。
- 対象物件の「売買契約書」
- 以下のいずれかの買主の住所を証明できる書類(住民票、戸籍の附票)、(法人の場合)登記事項証明書(発行後1ヶ月以内)
(2)売主に用意してもらう書類
中古不動産の場合、所有権移転の登記をするには売主から以下の書類を用意してもらう必要があります。
- 対象物件の登記識別情報(登記済証)
- 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
- 売買年度の評価証明書(固定資産税納税通知課税明細書)
4、相続により不動産を取得した時の登記は?
売買ではなく、相続により不動産を取得する場合もあるでしょう。
相続の場合、大きく3つのパータンがあります。
(1) 法定相続(一人相続)により不動産登記する場合
(2) 遺言書により相続して不動産登記する場合
(3) 遺産分割協議により相続して不動産登記する場合
では、それぞれについてみてみましょう。
(1)法定相続(一人相続)により不動産登記する場合
遺言書もなく遺産分割協議書もなく、法定相続分どおりに相続する、もしくは自分だけが相続人だった場合、以下の書類を用意する必要があります。
①被相続人(亡くなった方)について
被相続人(亡くなった方)の以下の書類を用意しましょう。
- 住民票の除票
- 出生から死亡までの戸籍謄本(改製原戸籍・除籍)
②相続人
相続人は、以下の書類を用意しましょう。
- 戸籍謄本
- 住民票
- 今年度の評価証明書(固定資産税納税通知課税明細書)
(2)遺言書により不動産登記する場合
遺言書が何で作成されているかで取るべき手続きが変わります。
また、遺言書に基づく登記申請手続きは、遺言書で遺言執行者が選任されている場合は遺言執行者ですが、遺言執行者が選任されていない場合は遺言書で対象不動産を相続すると指定された相続人が手続きを行ないます。
①公正証書で遺言書が作成されている場合
- 公正証書遺言
- 被相続人の戸籍謄本、除票・遺言書で対象不動産を相続すると指定された相続人の戸籍謄本、住民票
- 今年度の評価証明書(固定資産税納税通知課税明細書)
②遺言書が公正証書以外の形式で書かれていた場合
まず、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、遺言書の検認申立てを行ないます。
家庭裁判所の遺言書の検認とは、相続人の立会いのもと、遺言書を開封することで遺言書の形状、日付、署名を確認するものです。
- 検認済みの遺言書
- 被相続人の戸籍謄本、除票
- 遺言書で対象不動産を相続すると指定された相続人の戸籍謄本、住民票
- 今年度の評価証明書(固定資産税納税通知課税明細書)
(3)遺産分割協議により不動産登記する場合
被相続人の不動産をどの相続人が取得するかを、相続人全員で話し合いの上決定します。
その結果を遺産分割協議書に記載し、相続人全員で実印で捺印し、印鑑証明書を用意します。
その他の書類は、「(1)法定相続(一人相続)により不動産登記する場合」を参考にしてみてください。
5、登記は自分でもできる!それでも専門家に依頼すべき4つのメリット
不動産の登記は、ご自身でも行うことができます。
しかし、報酬を払っても、我々専門家である司法書士に依頼するメリットをご紹介します。
(1)中立の立場の専門家
不動産の登記は、売買の手続きが完了してから行います。
売主として、買主に登記を任せたら、買主から物件代金を全額受領する前に、登記識別情報通知(登記済証)や印鑑証明書を開示するのは不安でしょう。
買主として、売主に登記を任せたら、本当に自分に間違いなく所有権の登記名義を移転してくれるかが不安でしょう。
その点、司法書士は、中立の立場の専門家として不動産取引の安全を守ります。
(2)正確に、期日に、登記申請手続きを行なう
不動産業者との売買だったり、銀行等の融資が絡む場合、期日どおり確実に、手続きが行なわれる必要があります。
このような場合、登記を買主自身・相続人自身任せにするではなく、司法書士に必ず依頼することになるでしょう。
(3)トラブルを未然に防ぐ
もちろん、買主や相続人ご自身にて対応することもできますが、売主に書類を用意してもらったり、被相続人の書類を用意したりなど一人で簡単に完結できるモノではありません。
例えば、売買契約を締結し手付金を支払い、残金を払うまでの間に、売主に登記に必要な書類を用意してもらう約束だったのに、残金決済日までに正しい書類を用意できないかもしれません。
また、相続人は自分だけだと思っていたら、古い戸籍を取得したところ、法定相続人が他にもいることがわかって、遺産分割協議を行なう必要が出てくるかもしれません。
司法書士であれば、専門的知識を用い紛争を予防することができます。
(4)専門知識によって得するアドバイスをもらうことができる
司法書士に依頼すると、報酬がかかるというデメリットがあると思われている方もいると思いますが、実は、プロに依頼することによって、専門知識があることから、様々な得するアドバイスをもらうことができます。
例えば、マイホームとして不動産を購入する場合には、減税措置を受けられるケースがあります。要件をチェックし、減税措置を受けるために必要な住宅用家屋証明書を市区町村役場で取得するなどのアドバイスをすることができます。
司法書士であれば、豊富な経験から、そのようなポイントを指摘することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
不動産の登記は、一見書類を出せばと簡単にみえますが、融資を活用した場合、決済の前に対象不動産の抵当権抹消の手続きが発生したり、相続の結果取得する方法によって、更に手続きが複雑になるケースがあるのです。
その時は、ムリしてご自身でやるのではなく、トラブルを回避する意味で、プロである我々司法書士に相談するといいでしょう。