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前回、不動産投資における自己資金と頭金の違いをお話させて頂きましたが、今回は不動産投資を始めてから、発生する可能性のある出費についてお話させて頂きます。

私のところによくあるご相談なのですが、どうしても不動産投資を始める前は、イニシャルコスト(頭金)のことばかり考えがちで、「頭金0円」で始められるといった謳い文句に乗っかってしまい、不動産投資をしてから「こんなに出費がかかると思ってなかった」といったご相談をお受けすることが多くあります。

こういったご相談があるのは、販売した業者側の説明不足もあるかとは思いますが、まずは自分自身の知識として、皆さんにも知っておいて頂く必要もあるかと思います。今回は不動産投資における突発的な出費についてお話させて頂きます。 

1、頭金以外にかかる初期コストとは?

(1)ローン支払い編

はじめに、購入後すぐのお話をさせて頂きます。 

通常融資を利用して不動産投資を始めた場合は、家賃の受け取り方によっても異なりますが、家賃入金より先にローンの支払いが発生する場合もあります 

これはいつのタイミングで所有権が移転したかによって変わるケースも多く、家賃の振込日がいつ締めでいつ入金なのか、そしてローンの初回の支払日がいつなのか、このあたりにタイムラグが発生することが多く、不動産投資を始めてすぐにお金の流れが掴めないでいる投資家の方が多くいます。 

金融機関や物件引渡タイミングによっては日割り計算の結果、シミュレーションで提示された支払い金額よりも多く引き落としされることもあります

そして、口座に残金があれば良いのですが、万が一口座にローン支払い分が足りなかった場合は、ローンが引き落としされずに、個人信用情報に傷がついてしまう可能性もあります。

こんなことが起きてしまっては、少し大げさな表現かもしれませんが、資産形成どころか、個人信用情報に傷をつけかねない状況になってしまいます。 

そうならない為の対策をまとめてみました。

対策

  • 投資用不動産を契約する前に、物件引き渡し後のお金の流れを事前に確認すること
  • ローン支払い用の口座には多めにお金を入れておくこと(目安としては家賃2か月分)

(2)税金編

つづいては、購入後半年から請求がくる「不動産取得税」です。 

これは不動産投資が流れに乗り始めて、皆さんが忘れたころにやってくる為、注意が必要です。 

「不動産取得税」とはどういった税なのか。文字通り「不動産を取得した方にかかる税金」のことです。これは売買で購入した方だけではなく、相続や贈与で不動産を取得した方にも発生します。さらに言うと、すぐに転売して手放したとしても発生します。登記した以上は、必ず発生しますので、覚えておきましょう。

不動産取得税については細かい計算式や軽減措置などがございますので、ここでは細かい部分は省かせて頂きますが、原則としては下記計算式にて算出することができます。

《原則の基本式》固定資産税評価額×税率(通常4%)=不動産取得税

2021331日までは税率は3% 

今回のテーマとしてはこの税金を納税するタイミングについて注目します。 

厄介なのが、不動産取得税は地方税なのです。つまり地域によってルールが異なる場合があります。 

地域によって違いますので、都道府県税事務所の処理の速度にもよりますが、おおよそ半年後くらいに納付書が届くと覚えておくと良いでしょう。

さらに毎年かかる税金として、「固定資産税」というものも存在します。こちらも地方税の為、管轄によって多少異なりますが、毎年3月頃に納付書が届き、分割なら4月・7月・12月・2月に分納することが出来ます。

こちらも対策を覚えておいてください。

対策

  • 投資用不動産を契約前に、どのくらいの不動産取得税がいつ頃支払うのかを確認すること
  • 投資用不動産を契約する前に、固定資産税がいくらくらいかかるのか確認すること
  • 納付書が届いたら早めに支払いましょう(コンビニ払いが可能なケースもあります)

2、空室時にかかるコストについて

つづいては賃貸経営中に起こるコストの代表格として「空室」の話をします。

空室とは、入居者が退去してしまい、家賃が入ってこない状況のことですが、家賃が入ってこなくてもローンの支払いは発生します。

また、空室の間でも区分マンションの場合は『管理費』『修繕積立金』は発生します。 

余談ですが、よく「管理費って入居者が払うものじゃないのですか?」と質問を受けますが、

よく間違えられる、オーナー様が支払う「建物管理費」と入居者が支払う「管理費(共益費)」は大きな違いがあります。

入居者が支払う管理費は、あくまでも家賃の一部であり、家賃を安く見せる意味でも使える管理費(共益費)と呼ばれるものです。

例えば、A家賃72,000円(管理費0円)の部屋と、B家賃69,000円(管理費3,000円)の部屋が同時に募集していた場合、Bの部屋の方がネットで賃貸検索する際に家賃6万円台からヒットしやすくなるため、こういった手法を使う賃貸会社は多く存在します。

トータルの支払いは変わらないのに、Bの方がお得に感じますし、多くの方の目に触れます。賃貸募集のテクニックの一つですが、実際には、敷金礼金などはこの管理費を含めない為、入居者にとってもBの方がありがたい話になるでしょう。

すこし話が逸れましたが、ここでいう「管理費」は建物管理費のことで、管理組合に支払うものなので、空室であっても、入居者がいても支払う必要性があります。

「ローンの支払い+管理費・修繕積立金」が空室時には発生するので覚えておきましょう。

対策

  • 空室の起きやすい物件を買わない(駅から10分以上、内装設備が古すぎる物件など)
  • 空室時の保証がある会社を選び、空室になっても耐えうる資金を準備(目安は半年分) 

3、設備関係でかかるコスト

最後に室内設備や、共有設備などにかかるコストの話をします。 

(1)室内設備編

まず室内設備に関しては、入居者に過失のある破損以外は、基本的にはオーナー負担であることを覚えておきましょう。 

では具体的にどんなものが交換の必要があるのでしょうか。

設備名交換期間目安交換費用目安(工事費含む)
①   エアコン13.64万円~(性能や広さによって変わります)
②   ガスコンロ15~206万円~(性能によって変わります)
③   ウォシュレット10年前後3万円~(本体全体交換は15万~)
④   フローリング15年~201㎡あたり3,000円~(広さや素材による)
⑤   クロス(壁紙)10年程度1㎡あたり800円~(素材な間取りによる)
⑥   浴室乾燥機10年~153万円~(性能や広さによって変わります)
⑦   モニター付インターホン155万円~(商品により異なります)
⑧   給湯器8107万円~(大きさによります)
⑨   換気扇10年~153万円~(場所によっては10万円位になる)

20197月現在の相場目安であり、正確な数字ではございません。

その他、キッチン本体や、ユニットバス全体、トイレ、カーテンレール、室外機、浴室の鏡や、蛇口など、挙げればきりがないほどございますが、本体系は意外と長持ちするので、ここでは触れていません。 

また、壁紙などは気になる汚れがあるか、大きな傷があるかなどでも寿命は変わってきますし、修理で直るものもあります。

なお、上記の表はあくまでも目安なので、ご参考までにお願いします。 

ここで重要なことは、おおよそ15年前後でほとんどの設備が寿命を迎えるという事です。

中古物件を購入される方は、こういった設備の部分も確認しておく必要があります。ワンルーム1部屋あたり40万円~50万円くらいで見ておくのが無難でしょう。 

また区分ではなく一棟マンション、一棟アパートを所有される方は、これが同時に何部屋も起こりうる費用であることを念頭に置かないといけません。総戸数10戸以上の場合は交換費用や修繕費用が数百万円になる場合もあるということです。

(2)共有設備編

次は共有設備についてですが、これは区分所有マンションの場合は管理組合に修繕積立金を支払っているから大丈夫と思い込んでいる方もいるのではないでしょうか。 

修繕計画通りいけば、ある程度突発的な出費は避けられますが、急な修繕積立金の増額もありうる話ですので、注意しましょう

ここでは一棟アパートや一棟マンションにおける共有設備に対する出費をお話します。 

まずどういったものがあるのでしょうか。 

設備名修繕期間目安修繕費用目安(工事費含む)
①   階段101階単価5万~(塗装費用以外にもかかる可能性大)
②   廊下101㎡2,500円~(素材や塗装方法によって変わります)
③   ポスト1515,000円~(性能や依頼業者によります)
④   外灯102万円~
⑤   屋上(屋根)10年~15ウレタン防水で1㎡4,000円~7,000円程
⑥   外壁塗装等151㎡2万円~(素材や工期により異なる)
⑦   エレベーター※12年周期700万円~(準撤去の目安・全撤去は1,200万円以上)
⑧   エントランスオートロック※15200万円~(規模や、性能によって異なります)
⑨   貯水タンク※15年~255万円~(規模などにより異なります)

※はRC造のマンションになります。またこちらの数字は20197月現在の相場目安となります。

もちろん上記の表以外にも突発的な出費は予想できますが、大きなものだけを取り上げましたが、いかがでしょうか。 

廊下や階段はむき出しのアパートの方が修繕期間目安は早くなる可能性もあります。 

共有設備の交換コストを見て頂いても分かりますが、おおよそ15年前後で寿命が来るものが多くあります。

新築の場合は、すぐには出費が発生しないので安心ではありません。

1棟オーナーの方は特に、15年後を見据えて、最初から準備をしておく必要があります。設備に関しても、区分マンションの何倍もコストがかかる場合が想定できますので、注意して下さい。

では中古市場に出る物件はどうでしょうか。

15年を目前に控えたオーナー様は売るときにどう考えるのでしょうか。以下の2パターンが想定されます。

  • リフォームをして綺麗にしてから売ろう
  • リフォーム代がかかる前に売ってしまおう

前者はリフォームをしたからには、その分の費用も乗せて販売したいと思いますし、後者は次の所有者が結局近いうちに設備交換をすることが予想されます。 

どちらが良いかは、次に買われる方の考え方次第ではありますが、リフォームもされておらず、価格が相場以上の物件はまず避けた方が良いということが分かります。

売買利益にさらにリフォーム代の利益を乗っけている業者もいますので、お考え中の物件が相場に対して適正価格かどうかの相談にも乗りますので、いつでもご相談下さいませ。

まとめ

日ごろから多くの投資家から様々なご相談を受けておりますが、このコスト関係に関するご相談は多く、実はここで書いたことは、私が15年以上不動産投資に携わり、さらに自らも不動産投資をしているからこそ皆さんにお伝えしたい内容になります。

不安になるようなことも書きましたが、まずは様々な突発的なコストを知り、想定をして準備を怠らないことが重要であり、備えあれば患いなしということです。

ここでは書ききれないお話もたくさんありますので、ご興味がある方はご相談承ります。