Pocket
LINEで送る

いきなりですが、みなさんマンションの寿命ってどのくらいだと思いますか?

なんと適切なタイミングでの修繕工事やメンテナンスが行き届いていれば、100年以上建物を維持することが可能と言われています。

国土交通省によるとRC造(鉄筋コンクリート)で造られた建物の平均寿命は68年ですが、最長の寿命は120年程度で、外装仕上げによってさらに150年程度に延命されると報告されています。

実際に不動産運用に取り組もうとマンションを購入する際に心配になってくるのが、数十年後の資産価値や流動性です。

この心配を最小限に抑えるためにも、適切なタイミングで修繕工事を行いマンションの寿命を延ばすことが重要になるといえます。

実際に築年数が経過している物件は流通されていますし、最近ではリノベーションしてご所有される方も増えております。

築年数が経過している=流動性がないというわけではありません

今回は法制審議会が2023年6月8日にとりまとめた、分譲マンションの修繕など、住人が決議する際の要件緩和について触れながら、マンションの資産価値を保つための方法をお話していこうと思います。

1、現状の決議について

マンションを購入され、そのお部屋のオーナー様になるとその物件の管理組合の一員になります。

管理組合とは、その名の通りマンションを管理するための団体をさします。

マンションの管理について定めている区分所有法と呼ばれる法律には「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し~ (第3条の冒頭)」という文言があり、区分所有者全員がその資産価値を保つ為に活動します。

年に1回以上開かれる「組合総会」では、マンションの資産価値を保つためや、住民がより過ごしやすくなるような様々な議題が上がります。

その議題を実際に採用するかしないかを、区分所有者の賛成によって決めていきます。

2、決議の種類

(1)普通決議

マンションの場合、日常の管理や運営に関することについての決議です。

①議案の主な内容

  • 前年の管理組合の活動報告
  • 管理費や修繕積立金の改定
  • 次の役員の選任

議決権総数の1/2の以上の出席で総会が成立します。

その後、出席者の賛成が過半数以上であれば可決されます。

例えば議決権総数が100人の場合だと50人以上の出席で総会が成立し、出席者の賛成が25人以上であれば可決されます。

(2)特別議決

所有者の生活に大きな影響を与える事項についての決議です

①議案の主な内容

  • 管理組合法人の設立および解散
  • 建物の建て替え
  • 専有部分の使用禁止の請求

建物の建て替え以外は組合員総数の3/4以上の出席かつ議決権総数の3/4以上の賛成で可決されます。

建物の建て替えの議決だけは、組合員総数4/5以上の出席かつ議決権総数の4/5以上の賛成が必要になります。

例えば、組合員総数が100人の場合だと75人以上の出席かつ議決権の3/4以上の賛成で、

建物の建て替えの議決は80人の出席かつ議決権の3/4以上の賛成で可決されることになります。

このように決議の内容によって可決される割合が異なります。

数字の部分を見ていただけるとわかるように、組合員全員が協力しないと、決議案の賛否がとれない状況も発生します。

こうした背景をきっかけに、法律の一部改正案が出てきたのです。

参考:法務省建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律案要綱建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

【法制審中間試案での変更点】

図1:法務省「法制審議会区分所有法制部会第9回会議」を参考に筆者が作成

上記のような変更点があります。

例えば普通決議だと議決権総数が100人で出席者が30人だった場合でも総会が成立し、15人以上の賛成であれば可決されるようになります。

決議を出席者の過半数などに変更することによって、マンションの管理や修繕、建て替えを今まで以上に円滑に進めやすく出来ることが考えられます。

マンションの修繕などは資産価値を保つ為に必要な作業になりますので、マンションのオーナー様にとっても今回の試案は非常に重要な内容となっております。

3、不動産の流動性、資産価値を保つために

不動産の流動性を高める要素、マンションの価値を保つためには修繕工事は必須となってきます。

そんな修繕工事はどれくらいのタイミングで行われるものなのでしょうか?

マンションの修繕工事は、12年に1度の周期で行うのが目安となっています。

その理由の一つに、国土交通省のガイドラインで、「外壁塗装などの「建物」に関する工事は12年目を目安に行う」としていることがあります。

その他に、建物を保護する塗料の寿命が関係しており、塗料の効果が持続するのは平均すると8年、長持ちして12年が目安となっております。

4、修繕工事に関するQ&A

Q1. 修繕工事の費用はどこから出されている?

A. 月々各オーナー様が建物管理会社にお支払いになられている「修繕積立金」から出されています。

※修繕積立金とは、建物の診断や修繕工事を行うために充てられる費用のことを指します。

Q2. 修繕積立金の決め方は?

A. 修繕積立金はマンションの管理組合が作成する「長期修繕計画」によって決められるのが一般的です。

マンションの規模や設備によっても修繕積立金の金額は異なるため一概にいくらとは言えません。

※長期修繕計画とは将来予想される修繕工事等を計画し必要な費用を算出して、月々の修繕積立金を設定するために作成される計画書を

指します。

長期修繕計画は、マンションの定期的な点検・修繕を通してマンションの寿命の延長・快適な居住環境の確保、流動性を保つ、そしてオーナー様の資産であるマンションの資産価値を維持することを目的としています。

上記のように長期修繕計画に沿って修繕工事を行うことで、流動性を高められ、結果として資産価値を保つことが可能になります。

いかがでしたでしょうか。

記事冒頭でも取り上げたように、適切な修繕を行えばマンションの寿命を延ばし100年以上維持することも可能です。

中長期的な運用と言われている不動産運用では修繕はその価値を保つために必要不可欠ですので、参考にしてみてください。

あなたにおすすめの専門家

鈴木 優平(すずき ゆうへい)

■ 所属会社
株式会社アップルハウス
■ 担当エリア
埼玉 千葉 東京 神奈川 名古屋 大阪 福岡
■ 担当分野
国内不動産投資

お金のパーソナルトレーナーとして、1,000件以上の家計をコンサルした経験を活かし、お客様の希望する未来に寄り添ったライフデザインをさせて頂いています。

高澤 啓(たかざわ けい)

■ 所属会社
株式会社SRコーポレーション
■ 担当エリア
全国
■ 担当分野
国内不動産投資 投資全般のコンサルティング

不動産業界で15年以上の経験と、個人投資家として不動産から始め、ホテル、馬主など数々の投資経験を活かし、投資全般のご提案をさせて頂きます。

中山 隆弘(なかやま たかひろ)

■ 所属会社
新百合ヶ丘総合法律事務所
■ 担当エリア
全国
■ 担当分野
弁護士

新司法試験に全国最年少で一発合格。不動産案件・相続案件をメインに、法律相談、交渉、裁判を問わずスピーディーかつ適切な対応させて頂いています。