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不動産所得がある方必見!確定申告の方法と計上できる経費の範囲(前篇)」に続き、後篇編では不動産所得として計上できる経費と、実際に確定申告をする時の手順について紹介していきます。

ぜひ、参考にしてみてください。

1、必要経費計上の方法

不動産所得で計上できる必要経費というのは、事務経費だけでなく、自宅家賃の一部や交通費、交際費、家族への給料など、一つ一つが経費として認められる範囲がかなり広く、経費の線引きは結構ゆるいです

(1)不動産投資に関連付けができれば計上できる

原則として、必要経費に該当するかどうかは納税者自身が判断し、明確に不動産所得に関係ないときに限って税務署は否認できます。税務署が否認を出来るのはその支出が明確に関係ないと掴んだときのみです。

つまり、どんな支出でも不動産投資に関連付けることが出来れば必要経費になるということになります

自宅の一部を不動産取得を要するための事務作業や管理をするための場所としていると納税者が主張すれば、不必要に広い面積を計上しなければ税務署が明確に否定する根拠はありません。

事業的規模にもよりますが、規模や申告内容によって家族に給料を支払うことにより所得の分散を図ることが出来ます。不動産所得を得るための事務作業中にお茶を入れてくれる、部屋や机の周りを片付けてくれるというのも立派な仕事です

法人の場合、交際費は一定の制限がありますが、不動産所得との関連付けが出来れば交際費はいくらでも使うことが出来ます。

(2)備品の計上について

備品を買う時の注意点として、10万円未満のものを買えば買ったその年に全額を経費に計上することができます。しかし10万円を超えた場合は、全額を経費に一括計上することができません。

白色申告をしている場合人は、取得価額が10万円以上で20万円未満の固定資産を「一括償却資産」として、3年間で均等償却することができます

例えば、18万円のパソコンを購入した場合は、毎年6万円ずつ減価償却することができます。

なお、セットで使うものはセットで10万円以上になったら、全額経費に一括計上することはできません。

例えば、ソファとテーブルの単品では10万円未満であっても、セットで10万円以上であれば、全額をその年の経費に計上することはできません。

青色申告をしている人は、事業に関係する30万円未満の資産を購入した場合には、年間の合計購入金額が300万円になるまで、全額をその年の経費にすることができます

(3)利息の計上について

不動産をローンで購入しているときは、その支払利子を全額経費計上することができます。ただ不動産所得が赤字になってしまった場合、その赤字のうち土地部分を要するために支払った利息は必要経費に算入することはできません

分譲マンション等のように土地と建物を同一の者から取得して、土地部分と建物部分を明確に区分できないときは、その借入金はまず建物の取得に充てられたものとして取り扱うことになっています。

(4)減価償却費の計上について

不動産投資において、建物部分が古くなり価値が減っていくものをバーチャルに認めてくれるもので、税法上減価償却費として認められ、実際にはキャッシュは出ていきません。

「不動産所得」においては、この減価償却費を有効活用することが税金面では非常に大切になります

①建物の減価償却費計上

不動産は通常「土地」部分と「建物」部分に区分できます。これはマンション等の区分所有物件でも同様です。

時の経過により価値が減少していく部分なので、「土地」部分には減価償却費は適用になりません。不動産投資の初期において節税を図るのであれば「建物」部分の比率が多い方が有利となります

またその「建物」も建物そのものの「建物(躯体)」部分と「建物付属設備」などに区分して計上します。区分計上せずに減価償却費を算出できるのは木造、合成樹脂造又は木骨モルタル造の建物に限定されています

②設備の減価償却費計上

建物部分は「建物(躯体)」と「建物付属設備」「器具及び備品」に区分できるのですが、下記の表のように「建物」と「建物付属設備」や「器具及び備品」では耐用年数に相当の差があります。なるべく耐用年数が短いものに減価償却資産を細分化する方が、その年度の減価償却費を多く計上することができるので節税効果も高まります

平成28年4月1日以後に新規に取得した建物付属設備に関しては償却方法が定額法に一本化されましたが、「器具及び備品」に関しては耐用年数初期に多額の減価償却費が計上できる定率法を選択することも出来ます。

特に賃貸住宅を建てた時などは建築費を契約書や注文書を参考にそれぞれの種類ごとに区分し易いので積極的に活用すべきです

また、売買などで不動産を手にいれた時は「土地」と「建物」の区分は契約書の消費税額から求めることが通常(「土地」部分に消費税はかからないため)ですが、契約書等に消費税額の記載がない場合は固定資産税評価額の土地部分と建物部分で按分して計算する(按分法)か、相続税路線価などで土地部分を求め購入額からその部分を差し引いて建物部分を求める(差引法)で計算します。

「建物」部分の「建物付属設備」や「器具及び備品」の区分方法については工事請負契約書や積算資料から求める方法や、売買で不動産を取得した場合には市区町村の固定資産税課にある再建築費評点数算出表(建物の固定資産税の計算表)から求める方法があります。

法人税における減価償却と違って、所得税における減価償却は強制償却なので税務上ムダが出ないように計上することもポイントの一つです

所得税における減価償却

2、不動産所得は損益通算することができる

所得税法69条1項により、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除することができます。

不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得を計算してマイナスが出た場合は、他の所得から差し引いてよいという「損益通算」制度です

不動産所得が赤字になればなるほど、例えばサラリーマン大家の場合、毎月の給料やボーナスから引かれている所得税を、そのマイナス分だけ税金を計算し直して還付してくれるというものになります。

この損益通算は上記4つの所得に認められていますが、山林所得が適用になる人はめったにいないでしょう。譲渡所得のうち株式や不動産の譲渡では損益通算は認められていないので、不動産所得と事業所得で節税を図る事が多いと思います

話題のビットコインを代表とする仮想通貨は「雑所得」に分類されるため、仮想通貨の売買で損失が出たとしても給与所得などと損益通算することは出来ません。

週末だけ副業をしているサラリーマンが副業部分で赤字になれば、本業のサラリーマン部分の利益から補填できるということになります

3、確定申告について

毎年2月16日から3月15日までが確定申告書の提出期間です。

確定申告書の提出期間

(1)そもそも確定申告とは

確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に所得のあった人が、所得税を「申告納税」する、また所得税を納め過ぎている場合は「還付申告」することです

(2)所得税とは

所得税という税金は、1年間が終わってみないと確定しません。サラリーマンが年末や年始でもらう給料で年末調整をするのは年の最後の給料で収入が確定するからです。

会社がやってくれる年末調整は、法律で決められている最低限度のことしかやってくれません。会社が関与しないことは自分自身や税理士が別途確定申告をしなければいけません

(3)申告書AとBの違い

申告書AとBの違い

図の左にある申告書Aが簡易版で右の申告書Bが完全版です。

不動産所得の申告は申告書Bでしかできないので、不動産投資家は申告書Bを使います。

(4)申告書記入の流れ

申告書の記入の流れは下記図を参考にしてみてください。

申告書記入の流れ

(5)申告をしなかったらどうなる?

申告の必要がある人が申告をしなかったら「脱税」です

①確定申告が必要な人

申告の必要がある人は以下のような人です。

申告の必要がある人

②確定申告が必要ない人

1年間の給与合計額が103万円以下の場合は所得控除(基礎控除、給与所得控除)を引くと所得がゼロになるので確定申告をする必要がありません

初めての申請で申請書の記入方法が分からない方、本業が忙しくご自身で申請するのは難しい方は、ぜひ我々専門家に任せてください。

(6)申告をしなかった時のペナルティは?

納税は日本国民の義務であるため、それを怠ったり虚偽の申告をすると当然のようにペナルティがあります。

①「無申告加算税」が追加徴収される

申告の必要がある人が申告をしなかった場合に適用になるのが「無申告加算税」です。

無申告加算税

また、特に悪質であると税務当局に判断されると「重加算税」が課されます。

重加算税

さらに、実際に納付するまで延滞税(年2.6%~8.9%)も課されます。

逋税犯として逮捕されることもある

さらにさらに、お金だけでなく「逋税犯(ほぜいはん)」になってしまうと刑事事件になり、お金だけでは済まされず「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金(情状により脱税額以下の額)又はこれらの併科」、最悪の場合懲役刑となってしまいます

4、税務調査に来ない4つのパターン

「申告をしなかったとしてもバレなきゃいいんでしょ。」

と考える方もいると思いますが、「税務調査が来なければバレない」と単純にはいきません。

税務調査に来ない可能性としては以下の4パターンが考えられます。

税務調査に来ない可能性

この中で、最も怖いのは2番目の泳がされているパターンです。

バレてないと考え数年間確定申告を無視し続けて、数年後に税務調査が入り、過去分も含めてまとめて課税となると無申告加算税や重加算税にさらに延滞税まで課され、とんでもないことになってしまいます

脱税額が何円以上であれば「逋税犯(脱税犯)」として起訴するという明確な基準はないので、確定申告をしないことは相当なリスクです。

なお、税理士に確定申告を依頼すれば、税務署からの追求はまず税理士に来ますので、不安な場合は税理士に頼んでおく方が良いでしょう

まとめ

後篇では、具体的に不動産所得を確定申告する時の手順などについて紹介しましたが、参考になりましたでしょうか。

記事の中にも書かせていただきましたが、適当に計上してバレないでしょうと気楽な考えをお持ちの方はぜひやめましょう。

税務署の方々はプロです。わざわざ泳がせるパターンもありますので、いつか税務調査が来るじゃないかとハラハラするのは決して得策ではありません。きちんと正しく計上するようにしましょう。

ご自身で確定申告するのが心配な方は、ぜひ専門家に問合せしてみて下さい。