日本の年功序列(年齢と共に給与が上がる)と終身雇用(定年まで雇用される)という雇用制度が崩壊し、働き方や生き方もどんどん変わってきました。そんな社会情勢の中、共働きは今や当たり前の時代です。中には、「家計の収入を補う」ために共働きを選択している方もいらっしゃるでしょう。
実は、「保険を見直す」ことは家計の収入や支出を見直す方法の1つでもあります。
共働きともなるとお互いに忙しく、なかなか保険について考える時間や話し合う時間がないという方も多いでしょう。今回はそんな共働きの方に向けて共働きの保険見直しのポイントをまとめさせていただきました。最後まで読んでみてください。
目次
1、お互いの会社の保険保障内容を確認する
(1)お互いにどんな保障を持っているのかを確認する
共働きの保険見直しの1つ目のポイントは、お互いにどんな保障を持っているのかを確認することです。
その理由は、保険が身近な家族のために入るものだからです。例えば、共働きでお子さんがいる家庭の場合は、旦那さんは奥さんとお子さんを守るための保障を持ち、奥さんは旦那さんとお子さんを守るための保障を持つ必要があります。
(2)勤務先の保険内容
2つ目のポイントは、勤務先の会社で保険に加入していないか確認することです。これは「団体定期保険」通称グループ保険と言われるもので、主に2つの種類があります。
①総合福祉団体定期保険(Aグループ保険)
「総合福祉団体定期保険(Aグループ保険)」は、会社が全従業員を対象として加入する保険です。
会社がお金を出しているため、従業員の方はお金を払わずして保障を持つことができます。会社によっては手厚く保障がついている場合があるので、事前にきちんと確認することが大切です。
②Bグループ保険
「Bグループ保険」は、企業と保険会社が団体契約を結び全従業員に向けて特別に準備している保険で、任意で加入するものになっています。毎月の保険料は、加入した従業員の給与から天引きされる仕組みです。
このBグループ保険ですが、民間の保険と比べて3つメリットがあります。
- 保険料が安い
- 簡単な告知で加入できる
- 従業員の家族も一緒に割安で加入できる
Bグループ保険の最も大きな魅力は「保険料が安い」という点です。また、従業員本人だけでなくその家族もまた割安で保障を持つことができます。そして、保険加入の際に必要な告知が民間の保険会社に比べると大きく緩和されています。
しかしながら、デメリットもあります。
- 掛け捨て型
- 5年更新で保険料が上がる
- 退職すると保障がなくなる
「掛け捨て型」では、保険会社に払ったお金が将来的に返還されません。また、5年更新で保険料が上がっていくという特徴があります。そして、3つ目の「退職すると保障がなくなる」はAグループ保険、Bグループ保険の共通したデメリットとなります。
転職や定年で会社を退職した後保障がなくなってしまうというものが、実はグループ保険の一番のリスクでもあります。理由としては、退職した後新規で民間の保険に加入しようとしても、体況によっては加入が難しくなったり、年齢が上がっているため保険料が割高になったりということがあるからです。
なお、定年退職後にグループ保険の契約を更新することもできますが、70歳までと期限が設けられてしまいます。人生100年時代に備えた保障を持つことは難しいでしょう。
2、会社保障で足りない保障を整理する
Aグループ保険は、会社が代わりに保険料を払ってくれていますので、金銭部分の実質的な負担はありません。また、Bグループ保険については割安とは言え自己負担になりますが、保障内容は自分で決めることができます。
先ほど挙げたグループ保険のメリット・デメリットを考慮した上で、会社の保険で賄える部分と足りない部分を洗い出す必要があります。
考える基準としては、以下4項目あります。
- (1)死亡・高度障害
- (2)働けない状態(障害状態・介護状態)
- (3)三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)
- (4)入院・手術
会社の保険では足りない保障を民間の保険を組み入れることによって、漏れなく「家族を守る保障」を持つことができます。
3、共働きのタイプに合わせて保険を見直しする
実は、夫婦お互いの雇用形態によっても保険、いわゆる家族を守る保障はベストな選択が変わってきます。その理由は雇用形態(「正社員」なのか「パート」なのか)の違いで、社会保険が変わってくるからです。次に詳しく見ていきましょう。
(1)夫婦とも正社員の家庭
正社員の方の社会保険には「健康保険」「厚生年金」の大きく2つがあります。正社員ならば必ず加入するもので、社会保険料という形で半額は会社、半額は実費という形で国に納めています。この制度の中でも「健康保険」には3つポイントがあります。
①病院の診察や治療が3割負担で受けられる
「病院での診察や治療が3割負担」というのは、本来なら全額払わないといけないところを、国が7割負担してくれるというものです。
②傷病手当金
「傷病手当金」は業務以外の病気やケガで4日以上会社を休むと国から支給されます。
③高額療養費制度
「高額療養費制度」では、入院・手術にかかった費用の自己負担額が軽減される制度です。
また「厚生年金」を支払っているため、夫または妻が死亡した場合、残された家族には「遺族基礎年金+遺族厚生年金」、夫または妻が所定の障害状態なり、受給条件を満たした場合に残された家族には「障害基礎年金+障害厚生年金」が国から支給されます。
(2)妻がパートの家庭
妻がパート(パート年収130万以下)の場合、妻のみ「国民健康保険」「国民年金」となります。正社員の場合、社会保険料は会社と折半でしたが、パートの場合は全額自己負担です。また、正社員に比べると国からの保障が小さくなってしまいます。
例えば、「国民健康保険」では「健康保険」のような「傷病手当金」がなく、「高額療養費制度」の自己負担額も少し高くなります。また、「国民年金」では妻が死亡した場合には「遺族基礎年金」のみの支給です。そして、妻が所定の障害状態なり、受給条件を満たした場合には残された家族に「障害基礎年金」のみが支給されます。
このように妻と夫の雇用形態で国の社会保障が変わってきますので、それぞれに万が一何かあった場合に、お互いの生活が守れるように一度確認してみてくだい。
4、保険料をムダにしないことが大切
共働きの保険の見直しのポイントを3つにまとめます。
- 「お互いの保障内容を確認する」
- 「足りない保障を確認する」
- 「社会保障を確認する」
この3つを確認することが、共働きの保険を見直しする上で必要になっていきます。また、保険を見直すことは、月々の保険料を見直すことにもなりますので、
- 家族を守る保障を持ちながら毎月の出費をもっと抑えることができないか?
- 現段階の保険料は安いけれども、将来的に保険を継続することができるのか?
などということも念頭に置くと、ムダな出費を抑えるきっかけにもなります。