年金2,000万円問題が取り上げられ、早1年が経過しましたが、将来に向けたお金の準備をしなければいけないと思っていても、具体的に始められた方は多くないのではないでしょうか。
日頃から様々な方にご紹介をいただき、コンサルティングをさせていただく中で、将来に向けてお金を準備する需要性を感じていても、実際に行動に移せていないのは、「何から始めていいのかわからなかったから…」という方がほとんどです。
日本銀行調査統計局が発表した「資金循環の日米欧比較」のデータによると、日本人の現金・預金の占める割合は約52%なのに対して、アメリカ人は約14%しかありません。反対に、投資信託と株式を合わせると日本人は約14%しかないのに対し、アメリカ人は約46%と大きな差があります。
そこで今回は生命保険の中でも、先ほどの2,000万円問題の一つの対策にもなりうる「個人年金保険」についてまとめさせていただきました。保険のプロである私がいくらの掛け金にしたらいいのか、個人年金保険のメリット・デメリット、自分に合った個人年金保険の選び方などについて知りたい方は、ぜひ最後までお読みくださいませ。
目次
1、個人年金保険の掛け金の相場は?知っておきたい個人年金保険の加入データ
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生命保険文化センターが行った、平成30年度の「生命保険に関する全国実態調査」によれば、
- 生命保険の世帯加入率は88.7%
- 世帯加入件数は3.9件
となっており、また個人年金保険の加入状況については、世帯加入率が「21.9%」で、1年間に払い込む個人年金保険の保険料の世帯合計は、平均で「20.1万円」となっています。
すなわち日本人の約9割が何らかの生命保険へ加入しており、約5世帯の内1世帯が個人年金保険を一部組み合わせている状況でかつ、個人年金保険には毎月約「1.7万円」の支払いをしているという結果になっています。
2、個人年金保険の特徴は?個人年金保険のメリット・デメリット
では、そんな現状にある個人年金保険のメリット・デメリットについて、それぞれについて見てみましょう。
(1)個人年金保険のメリット
まずは個人年金保険のメリットを見ていきます。
①個人年金保険料枠を用いた節税ができる
個人年金保険には、年末調整もしくは確定申告をする際に、「個人年金保険料控除」という控除枠を用いて節税ができるメリットがあります。個人年金保険料控除は、1年間に支払った生命保険料の総額に応じて所得税が軽減される生命保険料控除の一つです。
ただ下記の条件があるため、注意が必要となります。
- 年金の受取人が契約者またはその配偶者であること
- 年金の受取人が被保険者であること
- 生命保険料の払込期間が10年以上であること
- 年金の支払い開始が60歳以上で支払い期間が10年以上であること
保険料控除について詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。
②貯蓄の習慣を持つことができる
個人年金保険に限らず、定期預金や財形貯蓄にも言えることではありますが、個人年金保険に加入することによって、貯蓄の習慣を持つことができる可能性があります。
しかし、定期預金や財形貯蓄との大きな違いは、早期での解約をすることになった場合、それまでに支払った金額よりも返ってくる金額が少なくなる可能性が高いという点になります。そのため一度契約を交わしてしまえば、多くの方は解約をためらうこととなり、半ば強制的に貯蓄の習慣を持ち始めるという形になります。
これまでにご紹介をいただいた、個人年金保険に加入されていらっしゃる方の傾向として、「貯蓄しなきゃ…」という思いがありながらも、「銀行口座にお金があれば、あるだけ使ってしまう…」そんな方が多く加入されている印象があります。
③老後資金の足しになる
3つ目のメリットは老後資金の足しになることです。
例えば25歳の方が毎月2万円を65歳までの40年間積み立てを行った場合、960万円を貯めることになります。そこから生命保険の満期保険金が120%であった場合、支払った960万円は最終的に1,152万円になるわけです。
仮にこの金額を65歳から75歳までの10年間、年金として受け取ることを選択した場合、毎月9.6万円の年金の足しになるという計算にもなります。
まさにこれが、多くの方の個人年金保険の使われ方ではないでしょうか。
(2)個人年金保険のデメリット
続きまして、デメリットについて見ていきます。
①途中解約をした場合、大きな損になる
個人年金保険は銀行の定期預金や財形貯蓄と異なり、解約した場合には、支払った金額が解約返戻金となって戻ってきますが、基本的にはそれまでに支払った保険料の総額よりも下回ることになります。これを元本割れと言います。
加入後の経過年数にもよりますが、特に加入後3年以内の場合は、解約返戻率も低くなっていますので、積立金額や積立頻度は適切なのか、そもそも支払いを続ける覚悟が自分にあるのか、などの注意が必要です。
②インフレに弱い
インフレとは物価上昇、お金の価値が下がることを指しますが、実はここが大きな落とし穴になる可能性があります。担当者の方に詳しく聞かれることをお勧めいたします。
例えばデフレの申し子とも称される吉野家で考えた際に、2013年に一杯280円だった牛丼は2014年12月の消費税増税の後、現在の380円の価格にまで推移しています。
つまり2013年時の280円の価値と、2014年12月以降の280円の価値は異なってくるということです。すなわち、インフレが進めば必然的に円の価値は下がりますので、インフレを見越した金利での運用を、選択、設定していく必要があります。
そんな中で日本銀行、日銀は2013年1月に「物価安定の目標」を、消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現するという約束をしています。
つまり、物価を年間2%ずつ上げていくといった目標発表になるわけです。例えば1,000万円の貯金があったとした場合、物価が上がる、すなわちインフレが起これば円の価値は下がると説明をしましたが、どこまで価値が下落するかというと、2%ずつであれば30年後に742万に、1%ずつであっても552万円にまでその価値は下落していきます。お金という「物」に変わりはありませんが、「価値」で考えた場合ここまでの影響があるのです。
個人年金保険は、固定金利の商品となりますので、契約後は何十年と同じ金利で推移していくことになりかつ、現状としては30年間の積み立てであっても、もちろん商品にもよりますが、120%の返戻金が見込めれば良い方と言えるでしょう。
ですが仮に物価が1%ずつ上がった場合、134%の返戻率でイコールとなり、それ以下であればインフレに負けてしまうということです。
結論、今の金利を数十年間固定してしまうような金融商品はお勧めできません。
3、個人年金保険に加入する目的は?自分に合った個人年金の選び方
個人年金保険に加入する目的として多くの方が「貯蓄」や「年金準備」を挙げられるのですが、現状として多くの場合、先ほどのインフレの話や金利の話を長期的に考えるとお客様側が損をしてしまう可能性もありますので、あくまでも「貯蓄の習慣を持つこと」が大きな目的になるであろうと考えます。
また選び方として、保険会社、金利の状況、最終的な返戻率など、基準は多岐に渡りますので、ぜひ生命保険以外の金融商品の知識も持たれている担当者から話を聞き、金額や期間など、商品の選択も含めて細かな調整をされることをお勧めします。
4、損しないためには?個人年金保険以外の選択肢も把握する
結論をまとめると、損をしない為にはポイントが2つです。
- ①保険会社同士の比較をすること
- ②金融商品同士の比較をすること
保険会社は日本に約40社、保険種類で考えると約1,000種類が存在すると言われていますが、まずはきちんと保険会社同士で比較をし、その次に生命保険以外の金融商品での比較をされた上で、ご決断されることをお勧めいたします。
「いや、なかなか難しいでしょ…」
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