「頭金なしでも不動産投資できるの?」
と疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
「頭金ゼロ円で不動産投資できるよ!」とウリ文句にしている会社も多いのですが、実際に本当にできるのでしょうか。
そこで今回は、年間12億円の融資を通している私が、物件購入時の頭金についての考え方を書いていきますので、これから
- 不動産投資を検討されている
- 融資を受けられる予定がある
などの方々には、ぜひ参考にして頂けると嬉しいです。
目次
1、そもそも頭金とは?不動産購入時の資金計画の考え方
最初に、頭金について説明したいと思います。
(1)そもそも頭金とは?
不動産を購入するときに、一般的には物件代金の1割以上を現金で支払う際の資金を頭金と言います。
1割を頭金として現金でお支払いして、不動産を担保に、残った9割の物件代金を銀行からの融資を利用することによって、不動産を購入することができます。
(2)不動産を購入する時に必要な費用は?
一般的には、諸経費は現金にて支払う必要がありますが、金融機関によって物件代金と合算して、融資を受けられるケースもあります。
2、フルローンを利用できる人は?融資の審査基準
2016年のマイナス金利実施により、住宅ローンの金利が下がっただけではなく、不動産投資ローンの金利も史上最低と言われるほど下がりました。金利が下がったのと同時に、審査基準のハードルも下がりました。
一棟物件投資の融資が厳しくなったと言われている中で、今でもフルローンを利用できる人は多くいらっしゃいます。
頭金なしでフルローンを利用できる条件としては、
- (1)高利回り物件
- (2)土地はすでに所有していて建物分のみを借り入れする
などが挙げられます。
(1)高利回り物件
そもそも、銀行は頭金を入れてもらうことで、物件のキャッシュフローを改善してほしいというのが目的ですが、元から高利回り物件であれば、頭金を入れる必要がないという判断になります。
(2)土地はすでに所有していて建物分のみを借り入れする
一方、「土地はすでに所有」というのは、以前からフルローンを受けることができるというやり方です。
考え方としては、地主さんに対して土地を担保に事業性融資を行う方法です。
業者に買われて分譲地となった土地は、業者は利益を出すため、細かく、複雑に分割されるのに対して、地主さんが所有している土地は、面積は広く、形も整形地など、同じ土地でも担保価値の高いものが多いのが特徴として挙げられます。
つまり、頭金の代わりに金融機関に土地を差し出すことで融資を受けるのです。
また、土地をそのままで所有してプラス資産の状態で相続をするより、融資、つまり借金をして、負債で相続された方が、相続税が安くなりますので、相続税対策としても活用できます。
相続税対策に有効とは言え、賃貸ニーズもないエリアに無理やり賃貸物件を立てて、返済が出来なくなって、失敗された方もいらっしゃいますので、きちんとプランニングをするようにしましょう。
3、融資が厳しくなった?最新の不動産投資の融資事情
結論から申し上げますと、融資は厳しくなりました。
昨年、「不動産投資といえばフルローン」という時代が終わりました。
私も不動産投資はフルローンでという風に教えられ、それが不動産投資ならではの最大のメリットであり、頭金を入れるなんてありえないと思っていた時期もありました。
(1)一概に頭金なしがいいというわけでもない
頭金の有無に関しては、
- 不動産投資をする方の資産状況
- 他の投資とのバランス
- 不動産はキャッシュフローメインなのか
- 将来のための資産なのか
など、ご自身の属性、投資する目的によって、考え方も投資方法も異なります。
キャッシュフローをメインで考えている方は、もちろん、頭金を多めにいれることが肝になります。
また、銀行がアパートローンではなく、事業性融資として融資を行う場合、キャッシュフローをよくするため、頭金を多く入れることを求められることもあります。
現金の振り分け先として、定期預金0.02%に預けるよりも、頭金として不動産で運用した方が、高い利回りが得られるという考え方もあるでしょう。
つまり、一概に頭金なしがいいというわけではありません。
(2)「頭金を支払わなくていい=自己資金がいらない」というわけではない
頭金を支払わなくてもいいとなると、全く自己資金がいらないと考えてしまう方がいるようですが、上記「1−(2)不動産を購入する時に必要な費用は?」で紹介した不動産を購入する時に現金で支払う諸経費の他に、万が一物件の設備が壊れたなど突発的な出費も考えられますので、手元に全く自己資金がない状況での不動産投資は失敗する可能性が高いので、くれぐれも注意するようにしましょう。
不動産投資は資金がない人はすべきではない?費用とタイミングについて
4、頭金なしのデメリットは?その回避策について
「頭金なし」のデメリットが、最も大きいのはキャッシュフローが弱くなることです。
返済額が大きければ大きいほど、月々の返済額が大きくなるという計算です。
では、頭金を入れるべきかどうかはどのように考えたらよろしいでしょうか?
我々は、拠出した費用を何年で回収できるかを考えます。
もちろん、修繕費用なども考慮する必要がありますが、現在の手持ち資金でたとえば1,000万円があるとして、年間キャッシュフローとして「250万円」を手元に残すことができれば、頭金に1,000万円を入れても4年で回収できる計算ができます。
4年間で1,000万円を使う予定があるのであれば、その頭金を不動産に使うことは避けたほうがいいでしょう。
しかし、突発的な修繕が発生したり、部屋の退去が重なったりなど、突発的な出費も十分考えられますので、無理して頭金に入れるのではなく、手元にある程度資金を残しておいた方がいいという考え方も必要です。