不動産投資で利益が出て、税理士のアドバイスから法人設立を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産投資について分かっていても、初めての法人設立で分からないことだらけで、何を準備すればいいのか、法人設立をするとどうなるのかと気になる方も少なくないでしょう。
そこで今回は、私が司法書士の立場から、手順やサラリーマンの方が陥りやすい注意点についてまとめましたので、法人設立を検討されている方は、ぜひ読んでみて下さい。
目次
1、法人設立の手順
株式会社の設立は、以前に比べかなり簡単になりました。
大きく以下の手順で設立することができます。
(1)発起人を決める
発起人は法人の最初の株主で、最低限1名は必要です。
(2)役員を決める
最低限代表取締役たる取締役1名は必要です。
(3)定款を作成する
定款は、株式会社の憲法です。
ご自身で作成される場合は、法務省のホームページの商業・法人登記の様式の設立の中を参照されるのがよいでしょう。
【5分で分かる】司法書士が教える法人設立時の定款を作る時の6つのポイント
(4)公証役場にて定款の認証を受ける
作成した定款に、公証役場に出頭して認証を受けます。
(5)資本金を口座に振り込む
(1)、(3)で決めたとおり、株式会社の資本金となる額を発起人名義の口座に振り込みます。
(6)法務局にて申請手続きを行う
株式会社の本店所在地を管轄する法務局に、設立登記申請書と添付書類一式を持ち込み、申請手続きを行います。
設立の登記申請日が株式会社設立の日となりますが、祝日や休日は登記申請ができないので、平日で設定する必要があるので注意しましょう。
2、法人設立時に必要な書類
続いて、「1、法人設立の手順」の各過程で準備が必要な書類をご紹介します。
(1)「1−(4)」公証役場にて定款の認証を受ける
公証役場で定款認証を受ける際に、発起人の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)を準備する必要があります。
(2)「1−(5)」資本金を口座に振り込む
資本金の払い込みを受けるために、発起人の名義の銀行口座の通帳を準備する必要があります。
(3)「1−(6)」法務局にて申請手続きを行う
登記申請の真正担保のために、役員の印鑑証明書、株式会社の実印にするつもりの印鑑が最低限必要となります。
そのため、事前に会社の実印を作っておく必要があります。
一般的には、銀行印と合わせた3点セットが多く売られておりますので、インターネットから購入することができます。
3、法人設立は自分でもできる?法人設立にかかる費用
結果から申し上げますと、法人設立はご自身ですることができます。
(1)ご自身で設立する場合
ご自身でされる場合は、上記で紹介した手順と書類を用意して、申請することができます。
設立にかかる費用は、以下の通りです。
- 公証役場費用:5万1000円(定款の頁数・通数により若干増加します)
- 定款印紙代:4万円
- 登録免許税(印紙代):最低税額15万円
なお、ご自身で既にe-tax等をされていて、公的個人認証サービスを使用されている方は、定款認証の際、オンライン申請(法務省の電磁的記録の認証(定款を含む私書証書の認証)の嘱託)からダウンロードを使用すれば定款の印紙代4万円が上記より減らすことが可能です。
(2)司法書士に依頼する場合
一方、本業が忙しく、定款の作成方法が分からないなど書類の準備に不安な方は、専門家である司法書士に設立依頼をされる方も多くいらっしゃいます。
メリットとしては、書類の漏れなく、ご希望される設立日に問題なく会社を設立することができます。
デメリットとしては、司法書士に依頼する場合、報酬が発生します。
少し費用はかかりますが、
- 書類準備に不安な方
- 本業が忙しい方
- ご希望される日に確実に会社を設立したい方
などの方は、ぜひ一度我々専門家に相談することオススメします。
4、サラリーマンが法人設立する際の2つの注意点
不動産投資をされている方の中で、サラリーマンの方も少なくないでしょう。
サラリーマンの方が、法人設立する際には、以下の2点を注意するようにしましょう。
(1)会社は副業禁止をされていないかを確認する
副業というより投資の一環としての法人化だとは思いますが、念のため、お勤め先の就業規則や社内規則で、「他の会社の役員となること」が禁止されていないかどうか、見てみましょう。
(2)法人にする必要性の再確認
法人をひとつ新たに設立すると、手間や管理コストは間違いなく増えます。
例えば、設立したら、本店所在地を管轄する税務署への届出・市区町村への届出の最低2箇所への届出が必要です。
また、事業年度末が来たら、決算をして、(今までの個人の確定申告とは別に)株式会社の確定申告も必要になります。
たとえ赤字決算でも、最低7万の法人税がかかります。
なお、設立より株式会社の解散清算のほうが簡単ではありません。
今一度、かけるコストと見合うかどうかを検討しましょう。