不動産投資に興味があるものの、
- 自己資金あまりないからできないの?
- 自己資金ゼロ円でも本当に不動産投資できるの?
- 自己資金額と融資額の目安は?
- 自己資金はどのくらい必要なの?
など、自己資金に不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産投資における自己資金の考え方、自己資金と融資の関係について書いていきます。自己資金で悩まれている方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1、そもそも自己資金とは?自己資金と頭金の違い
(1)自己資金とは?頭金との違いは?
そもそも自己資金とはなんでしょう?
自己資金とはご自身が持っている資金のことを言います。例えば、銀行に500万円の貯金があるならそれは自己資金です。自分には現金は持ってないけど親から相続を受けて株や土地や色々持ってるなど、これも自己資金と言います。
自己資金を頭金と同じ認識をされている方もいますが、同じく自分の資金ではありますが、意味合いが異なってきます。
頭金は諸経費とは別で、物件の本体価格に対していくら出すかの意味です。例えば物件価格2,000万円に対して頭金200万円を出すのであれば、残りの1,800万円を融資利用することになります。
諸経費も頭金も自己資金に入りますが、自己資金は全て物件購入にあてる必要はありません。
(2)不動産購入する時の諸経費とは?
不動産を購入する時に、物件価格の他に下記のような諸経費と呼ばれている費用を現金にて支払う必要があります。
- 印紙税
- 仲介手数料(※売主から購入する場合かからない)
- 司法書士への報酬
- 融資する時の手数料
- 固定資産税などの清算金
- 管理費・修繕積立金の清算金
など。大体物件価格の8〜10%かかると言われています。
例えば、物件価格2,000万円の投資マンションを購入する場合、物件価格の他に約200万円前後の諸経費を支払う必要があります。
2、不動産投資はいくらから?年収に対する融資額の基準は?
では、実際に融資を受ける時に、いくらの融資枠があるのかについて知りたい方も多いでしょう。
金融機関が融資枠に対して、どのような基準を設けているかについてみてみましょう。
(1)区分マンション投資の場合は年収「500万円」が目安
区分マンション投資の場合、一般的にはご年収の7倍前後が一つの目安になっています。
例えば、ご年収が500万円の場合、3,500万円が一つの融資枠の目安になるでしょう。
自己資金が多くある方に対して、特に物件購入時に出す必要はないですが、金融機関は金融資産があるという判断をしますので、更に融資枠の上限を引き上げる可能性があります。また、頭金の割合に応じて、優遇金利を提示してくれる金融機関もあります。
なお、融資はご年収に対する返済率を計算していますので、区分マンション投資の場合、大体ご年収500万円から融資がおりると言われている一つのラインです。
(2)一棟投資物件の場合は年収「700万円」が目安
一方、一棟投資物件に関しては、大きく分けると、物件の積算価格で融資枠を算定する金融機関と、ご年収の○倍で融資枠を基準にする金融機関があります。
ご年収を基準にする場合、大体ご年収700万円以上が一つの基準にしていますが、中にはご年収1,000万円と基準にしている金融機関もあります。つまり、年収が高ければ高いほど融資枠も上がり、より有利な条件で融資を受けることができます。
(3)金融機関から見る自己資金の判断基準
金融機関は融資を審査する時に様々な基準を設けています。そのうちの一つは「負債と資産のバランス」です。担保にする物件の資産価値と、ご自身が持っている自己資金などの金融資産は、融資額つまり負債より上回るべきと判断する金融機関が多いので、つまり、自己資金が多ければ多いほど有利な条件で融資を受けることができるのです。
3、不動産投資の融資が厳しくなった?最新の融資事情
2016年のマイナス金利実施により、不動産投資ローンは史上最低と言われるほどの金利になり、非常に有利な条件で融資を受けることができました。しかし、昨年の金融機関の不祥事を受け、金融庁の介入により一棟投資物件の融資がかなり厳しくなりました。
(1)一棟投資物件は積算評価がでる物件に限る
一棟投資物件に関しては、基本的には積算評価が出ない物件は融資が出ない状況になりました。また、積算評価が出た物件でも、自己資金、頭金として物件価格の1〜3割を出さなければいけない金融機関がほとんどです。
つまり、1億円の一棟投資物件を購入したい場合、頭金として1,000〜3,000万円を用意する必要にあります。
(2)区分マンション投資の融資は順調
一方、区分マンション投資に関しては、評価がでる物件であれば、フルローンがおりている状況です。
一棟投資物件の融資が厳しくなった金融機関は、区分マンション投資に積極的な姿勢を見せています。きちんと評価が出る物件であれば、フルローンでの利用は可能と言えますが、中には1割の頭金が必要となるケースも出てきています。
なお、不動産投資ローンで45年ローンの商品を出された金融機関もありますので、今まで月々手出しをしていた新築物件でも、少しキャッシュフローを残すことができるようになり、物件の持ち方もカスタマイズできると言えるでしょう。
45年ローンについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
45年不動産投資ローンとは?知っておきたい3つのメリットと3つのデメリット
4、頭金ゼロ円フルローンでも不動産投資できる?オーバーローンとの違い
「自己資金ゼロ円でも不動産投資できますよ」という営業トークを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
果たして、本当に自己資金ゼロ円でも不動産投資できるのでしょうか?
結論から申し上げますと、オーバーローンを利用できれば自己資金ゼロ円でも不動産投資をスタートできますが、非常に難しいです。
(1)そもそもオーバーローンとは?
オーバーローンとは、上記「1、そもそも自己資金とは?自己資金と諸経費の違い」で書いた不動産を購入する時に現金で支払う諸経費と、不動産の本体価格をあわせて、全て融資を利用することを「オーバーローン」と言います。
例えば、物件の本体価格が2,000万円で、諸経費が200万円の場合、その合計額の2,200万円を全て融資するのがオーバーローンです。
一方、我々がよく耳にするフルローンは、あくまでも不動産の本体価格2,000万円を指します。
(2)オーバーローンを利用する条件は?
- 不動産投資の実績がある
- 本業もきちんと収入がある
- カードローンなど他の借金がない
など、自己資金があるという強い武器で、オーバーローン交渉の見込みはあるかと思いますが、不動産投資の初心者はいきまりオーバーローンを狙うのは、非常にハードルが高いと言えます。
中には、自宅ローンの見せ方でオーバーローンをススメてくる業社もいますが、オーバーローン自体は違法ではないですが、投資物件なのに自宅ローンとして申請することは違法なので、注意しておきましょう。
オーバーローンについて詳しく知りたい方は下記記事をお読みください。
不動産投資のオーバーローンは違法なの?フルローンとの違いは?
一方、頭金なしでは本当に不動産投資ができるのかについて、詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。
頭金なしの不動産投資!資金計画の考え方と融資事情を併せてご紹介
5、自己資金ないのにムリして不動産投資すべきではない?
不動産投資は融資を活用すれば、少ない自己資金でもスタートすることができますが、本当に自己資金がないのに不動産投資を始めた方も多くいます。
実際に始めてみたのはいいものの、空室や部屋の設備が壊れたなど突発的な出費で、費用を出すことができず自己破産まで追い込まれた方も少なくありません。
つまり、不動産投資は融資を活用して「他人資本」で資産形成することができる投資商品ではありますが、上記のような突発的な出費が必要な時は、やはり自己資金として必要になりますので、本当に自己資金がない方は避けるべきでしょう。
突発的な出費でも備えることができる自己資金ができてから、その次のステップとして、不動産投資を活用して資産形成を検討するといいでしょう。突発的な出費に関しましては、また次回の記事にさせてください。