「新築マンション・中古マンション、どちらが良いのか?」
都心でマンション経営をしてみようと考えた時、新築マンションを買った方が良いのか、中古マンションを買うべきかで悩む方は多いのではないでしょうか。
新築マンションを建てて販売をしている業者は「新築がおススメです」と言うし、書店には中古マンション投資が良いという書籍が多かったりもします。
今回はこの記事を読んで頂ければ、新築マンション、中古マンション選びでお悩みの方にはその答えを分かって頂けるのではないかと思います。
最後までお付き合いください。
目次
1、そもそも新築と中古の違いとは?
(1)ほとんどのマンションは中古扱い
まず新築の定義ですが、国土交通省の資料によると「新築住宅とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く)」と記載されています。
つまり、新築として扱えるのは、過去未入居で建築後1年未満の物件ということです。
ということは、世の中に存在しているほとんどのマンションが中古マンションということです。
つまり中古マンションにも築1年から築数十年と開きがあり、なかなかひとくくりにはしづらい話です。
なお、「築浅」という言葉もありますが、実は明確な定義はありません。
「築が浅い」と感じれば「築浅」だそうです。
ちなみに賃貸検索サイトのSUUMOのアンケートによると、90%以上の方が「築10年以下」を築浅の基準にしているようです。
出典:SUUMOアンケート
世の中のほとんどのマンションが中古マンションである以上、築浅マンションが新しくて綺麗な感じがして良いと感じる方が多いのも頷けます。
ところが、過去の歴史を振り返ると、バブル期やITバブル期には多くのワンルームや1Kマンションが建設されてきましたが、近年では東京都23区でも区ごとの建築条例が厳しくなり、全盛期に比べると建設されるワンルームマンションの数は激減しています。
つまり「築浅」に住める方も数が限られているということです。
「家探しは妥協の連続」と言われていますが、築年数よりも予算や駅距離や利便性、間取りなどで選ぶようになっていきます。
つまり立地が良くて相場より少しでも安い賃料の部屋は常に満室になるのが、都心のマンション経営の特徴でもあります。
(2)「新築か中古か」よりも「安くて良い物件かどうか」が賃貸需要
「新築か中古か」よりも「安くて良い物件かどうか」が、入居者目線による賃貸需要と言えます。
不動産投資をお考えであれば、自分が住むわけではないので、相場より少し安い賃料で貸している好立地の物件であることが重要ということです。
2、築何年くらいが狙い目なのか?
マンション経営をする上で築年数よりも立地や需要が重要という話をしましたが、築30年でも築40年でも良いのかというと、一概に「良い」とは言えません。
(1)築年数が古すぎる物件のデメリット
理由は二つあります。
①融資条件が悪くなる
まず一つ目は「融資条件」です。
投資用マンションをローン利用して購入を考えている方は特にですが、古すぎると融資が付かなかったり、希望の年数でローンを組むことが出来ません。
つまり、融資を利用することができないと購入することが困難になるのです。
②需要が低くなる
そして2つ目は「需要の問題」です。
今から30年~40年前の1Kマンションは風呂・トイレが一体型のユニットバスが多く、今の若者や一人暮し層のニーズに合わないのです。
風呂トイレが一緒の為、広さも15㎡前後の物件も多く、改装するにしても居室が狭くなりすぎる為、風呂トイレを別にすることが出来ず、結果としてそのまま使用している為、好立地でも入居者からは敬遠され、賃料が下落します。
こうした理由からあまりにも古すぎる物件はおススメではありません。
(2)融資期間から築年数を計算する?
では一体築何年くらいまでが狙い目なのでしょうか。
前述の理由1の観点から説明します。
投資用の中古マンションに融資をしてくれる代表的な金融機関の考え方でいうと、よくある計算式が存在します。
「55年―築年数」=融資可能年数
という考え方です。
35年ローンを組もうと考えていれば築20年以内となりますし、築25年の物件を購入しようとするとローン年数は最長で30年になるということです。
ここから先は個人個人で状況も違うので、正解はありませんが、若い方なら築浅に近い方が良いと言えますし、40代50代の方は築25年くらいでも良いということになります。
またある程度古い物件の方が、建物の減価償却年数が短くなっている為、経費に出来る数字が大きく、節税効果を期待することも出来ます。
もちろん以前お話したように消費税を多く納めている売主業者から購入することが前提です。
そして理由2にも繋がりますが、築年数よりもとにかく立地と需要を考えるようにするのが正解と言えます。
3、建て替えになったらどうなるの?
築20年の物件を購入したとして、節税も10年~15年しっかりとしたとしても、その後その中古マンションをどうするのか?という疑問も浮かぶことでしょう。
マンションは早ければ下記の新聞記事のように築40年弱で建て替えするケースもあります。
ただ理論上は築100年持つと言われている為、40年で建て替えは多少早いケースと言えます。
出典:7月13日週刊住宅より
こちらの記事を読んでみて気づいた方もいらっしゃると思いますが、1979年の新築時は14階建てで、ワンルームばかりで総戸数323戸と記載されています。ところが新しく東京建物が建てる計画(2023年9月竣工予定)は32階建て全420戸に生まれ変わります。
つまり、延べ床面積は建て替え前の2.6倍にもなるようです。
記事記載の通り、ワンルーム中心のマンションの為、このマンションを購入していた方は7割以上が投資目的で購入したワンルームマンションオーナーです。
地権者として2倍以上の面積の所有権を有し、売却して大きな現金を得た方や、等価交換により、より広いマンションに変貌した為、住まいとして住む地権者もいることでしょう。
ここでポイントになるのが、30年以上前では今とは建築技術も違い、容積率なども天空率の適用などで変わった為、1979年当時よりも2.6倍もの延べ床面積になり、実は古いマンションにはこういった建て替え時の資産倍増話はつきものです。
今後も一極集中で東京都心部に人も企業も集まってきた時、2002年の天空率導入のように、さらなる建物規制の緩和が行われた場合に、多くのマンションはこの記事の「イトーピア浜離宮」のようにバリューアップするでしょう。
つまり新築マンションとは違って、40年以上先まで大化けはしない可能性がありますが、築古マンションは近い将来、大化けする可能性を秘めていると言えます。
ただし、今から築30~40年といった築古物件を買ってしまうと、いきなり建て替え話が来た場合に、多くのローンが残っていて、建て替えによるうま味が無い可能性もあるので、やはり築10~20年位の物件を今のうちに所有して、2033年の400万戸建て替えラッシュ以降に備えるのが良いかもしれません。
4、出口戦略の重要性
最後に出口戦略の重要性について話します。
マンション投資は入口と出口が非常に重要です。
入口の重要性は以前もお話しましたが、付き合う不動産業者、購入する物件、使用する金融機関になりますが、出口までしっかりと付き合っていける物件と業者であるかどうかという部分は非常に重要です。
最近では不動産業者ではない会社が「セカンドオピニオン」と称して不動産投資を斡旋していますが、不動産会社出身者の為、不動産業者の裏側を知っているかもしれませんが、果たして責任がある提案が出来るのかどうかという疑問が残ります。
それは何故かと言うと、売主責任が無いコンサル業者は、コンサル料と称して売主業者側からお金を貰っています。セカンドオピニオンと称してそこを薦めているだけですので、ご注意ください。
そしてどんなに良い物件を紹介していても売却実績や建て替え実績がない不動産会社は多く存在します。
売却を専門としているような業者に相談をしてしまうと、買い叩かれて安くなるのがオチです。
中古マンション投資で失敗しない為には、売主責任もあり、売却実績や建て替え経験もある不動産業者から築10年~20年くらいの好立地で需要の高い物件を購入することをお薦めします。