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みなさん、不動産投資セミナーに参加されたことはありますか?

今では当たり前のように東京を中心に、全国主要都市で毎日のように開催されている不動産投資のセミナー。

たくさん選択肢があるのは良いことですが、セミナーサイトなどを見ていても、開催がありすぎて選択に困ったという体験はありませんか?

今回はそんな経験がある方、そしてこれからセミナーに参加してみようかと考えている方に向けた、セミナーを選ぶ基準についてお話します。最後までお付き合いください。

1、目的に合ったセミナーを探す

まず、セミナーサイトを見る前に自分がイメージする不動産投資を思い描きましょう。

  • 年金対策として考えているのか
  • 生命保険代わりに考えるのか
  • 節税効果を狙っているのか
  • 資産形成として考えているのか

など。

不動産投資には様々な種類がありますが、代表的なものは区分マンションによるマンション経営と、一棟アパートによるアパート経営になります。

その他、土地付きの太陽光発電投資や地方の駐車場経営、トランクルーム投資などもありますが、耐用年数が短く、節税効果も少なく長期運用に適さないことと、融資を使ったレバレッジを効かせた投資が出来ない為、初めて不動産投資をお考えの方はいったん頭から外した方が良いでしょう。

不動産投資における融資にも有担保ローンと無担保ローンがありますが、無担保ローンはリスクが高く、金利も高い為おススメは出来ません

従って、まずは購入した物件を担保に、団体信用生命保険にも入れるマンション経営かアパート経営に絞るのがベストではないでしょうか。

下記目的別のおススメを参考にして、自分の目的に合っているのはマンション経営か、アパート経営のセミナーか、どちらを聞きに行くと良いのかを、一緒に考えてみましょう。

(1)目的が年金対策の場合

ご自身の年齢にもよりますが、定年まであと何年あるのか逆算した時に、対策は早いに越したことはありません。20年、30年先に迎える方でしたらマンション経営がオススメです。

アパート経営は初めの内は借り手が付きやすく、家賃もそれなりにとれますが、築10年、20年になってくると厳しくなってきます。

というのもアパートはマンションに比べると、駅から遠い住居専用地域などの場合が多く、商業地域などに建設される駅近のマンションの方が、将来的にも安定的な家賃収入が見込めるので、年金対策には向いていると言えます。

(2)生命保険代わりに考えている場合

不動産投資を融資利用で考えた場合、多くの金融機関が貸出金利に内包で団体信用生命保険を付与しています。

契約者本人に万が一のことがあった場合、ローン残債は全額、保険で賄われる為、残された遺族の方に無借金の不動産と毎月の家賃収入もそのまま継承する形になりますので、生命保険代わりになるというメリットがあります

この効果につきましては、マンション経営もアパート経営も同じと言えますが、上限額を1億に設定している保険会社が多く、アパート経営に関しては1億を超える部分に生命保険が付いていない場合があり、元々団信が付いていない金融機関も存在するので、注意が必要です。

(3)節税効果を狙っている場合

節税効果とは、不動産収入を確定申告する際に、経費を計上した場合、家賃収入を経費が上回った場合に、元々の所得から不動産投資で発生したマイナス所得を差し引ける為、所得税と住民税が減額されるといった効果です。

この効果を期待する方は、多いかと思いますが、実はマンション経営とアパート経営では大きな違いがあります。

それは減価償却費の部分になります。

そもそもアパートとマンションでは構造が違います。木造と鉄筋コンクリートだと減価償却の期間も22年と47年と大きく違いますし、元となる金額(建物代金)が違う為、節税効果を期待するならマンション経営の方が良いです。

アパート経営の場合、初年度は諸経費を出した分、節税効果がありますが、基本的に2年目からは収入の方が上回る為、節税どころか納税になってしまう場合がありますので注意が必要です。

(4)資産形成として考えている場合

経済を勉強されている方の中には、インフレ対策の資産形成として不動産投資を考える方も多くいます

貯金をしていても物価が上昇してしまえば、現金の価値は目減りする一方です

下記グラフの通り、日本政府が目指す「物価が年2%上昇する時代」が来た場合、1,000万円の価値は、現在の価値の約半分程度になってしまいます。昔は100円で買えていた缶ジュースが130円になっているように、歴史的にも長い目で見ると物価は上昇し続けています

著者が物価上昇率を仮定して実質的価値を計算

そんな時に強いのが、時代の物価に合わせた家賃収入を得られる不動産投資です。

毎月貯金で資産形成できた時代は既に終わっており、こうした収入源となるような資産形成を用意していく時代になっております。

注意点としては、物価が上昇すればどんな不動産投資も家賃が上がるかというと、そういう訳ではありません。

やはり、家賃収入は需要があって初めて高くできるものなので、好立地で行う必要性があります。そういった意味では都心部の駅近で不動産投資を行う必要があるため、マンション経営がおススメです。

インフレにも強い不動産投資は、資産形成に適していると言えます。

さて、ここまで目的別で見てきましたが、マンションかアパート、どちらのセミナーに行くか決めたら、次は会社選びです。

2、会社をしっかり調べる

やりたい不動産投資の種類を決めても、開催業者が多すぎて、選べないのではないでしょうか。

セミナーのタイトルや内容で決めるのも良いですが、セミナーはあくまでも入口であって出口ではないので、その会社が紹介してくる物件を購入するところまでイメージすると、一番重要なのは、会社そのものとも言えます

その中でシンプルにその会社が信頼できるかどうかが判明しやすいのは、社歴です。

業界的に新興勢力も多く、出来立てで勢いのある会社は広告経費を使い、メディア露出を増やし、自社をアピールしますが、どこまで信用できるかは判断できません。

その点、社歴は会社が投資のパートナーとして信頼され続けていないと長くは続きません 

その会社が信用できるかどうかは社歴が証明してくれると考えても良いかと思います。

なお、基準となるのは20年としていいでしょう。

不動産投資は所有して、貸し出して、確定申告をするだけが全てではありません。

途中で空室が起きたり、修繕が発生したり、途中で売却をすることもあります。そういった時にも相談役としてお客様に寄り添い続けていかないと、悪い噂は広がります。

そういったお客様の口コミで潰れてきた会社は多数あります。

さすがに10年、20年とやると様々なトラブルを乗り越えてこなければならない為、会社としての経験値、トラブル対処のノウハウを持ち合わせているので、任せる側としても安心できます。その結果、顧客からの紹介や口コミで売り上げが安定しているということもあります。

では上場企業はどうなのか?

投資用不動産を扱う会社も上場している会社もあります。ただ上場企業は人件費や広告費が多く、販売価格に大きな利益を乗せないと会社が回りません

その為、資金力はありますが、その分割高な物件も多く扱いますので、投資家にとって良いかどうかは難しいところです。

また、上場企業は良くも悪くも注目されているため、ひとつの不祥事で倒産に追い込まれるケースが多く、最近でも大阪で、上場企業の社長が逮捕されたケースがありましたが、これにより大きな損害が顧客や投資家にも影響することが予想されます。

会社選びで大切なことは、派手さはなくても地道にコツコツと長年続けてきている会社かどうかが重要です。

見極めるポイントとしては下記を参考にしてみてください。

  • 社歴20年以上 【免許番号(5)以上の会社】
  • 派手な演出、派手なメディア露出のない会社 【広告費用が抑えられている】
  • 紹介・リピート購入率が高い会社 【目安は70%以上・正確なデータかを確認】
  • オーナー様の声がリアルか 【HP等で顔出しのお客様が多いこと】

実はこの4つをクリアする会社は数社しかなくなります。

特に、紹介が多い会社は広告費にお金をかけなくても、顧客が増えていくため、メディア露出が少なくなります。メディア掲載などは広告費を払えば掲載されるので一つの参考値として判断するといいでしょう。

サイトや雑誌、新聞にもよりますが、掲載するのには高額な広告費がかかります。掲載数やメディア露出が多すぎる会社は広告経費が高い為、物件価格に利益を乗せて販売しないと採算が取れません。

その為、割高な物件を販売していることも多いので注意が必要です。

さらに多くの会社が「オーナーズボイス」的なものを載せていますが、顔出し、対談的なリアルなものの方が信用できるのではないでしょうか。

よくある「Aさん 会社員 30歳」的なものは、その会社が作ったものかもしれませんので注意が必要です。

3、扱っている物件や金融機関を事前に把握する

さて「会社を絞ったらセミナーに参加!」というのも悪くはないですが、ここで重要なのが

「結局この会社はセミナーで集客して、いったいどんな物件をどんなやり方で売っているのか?」を把握しておくことです。 

言ってしまえば、セミナーというのは投資家と不動産会社が出会うきっかけにすぎません

こんな言い方をすると誤解を生んでしまうかもしれませんが、本当に良い不動産会社に出会わないと、本当に良い物件で不動産投資はできません。

ですから敢えて私は慎重に業者を選んで欲しいので、こういう言い方をしています。

出来ればセミナーに参加する前に、問い合わせと称して連絡をしてみて、どういう物件があるのか(例:どこの駅の物件で、頭金を10万円で考えた場合に金利はどのくらいで、毎月の収支はどんな感じなのか?など)を確認することで、その会社がどんな物件をどんな金融機関で紹介してくるのかが分かります。

その際、個人情報をある程度伝える必要性がありますが、会社名は伏せて、業種と年収程度に留めて確認することをおススメします。

この手のやりかたで、適当な対応をされた場合や、情報を提示してくれない業者の場合は物件に自信がない可能性も高くなりますし、長期的な付き合いには向かない対応と言えます。

また、ご年齢にもよりますが、30代40代の方で、物件の毎月の収支がマイナス1万円以上の場合は、参加を考え直しても良いかと思います。なぜならば、優良物件は40代の方がフルローンを組んでもプラス収支になるケースが多いからです。

不動産投資は節税効果があるので、年間でプラス収支にすることは出来ますが、収支がマイナス1万円以上ですと、万が一家賃が下落した時などは、もっとマイナスが出てしまい、節税効果の意味がなくなる可能性も出てきます 

4、こんな会社のセミナーにはご用心

よくあるのが、新築業者のセミナーですが、基本新築業者の物件は販売価格も高く、45年ローンなどの金融機関に頼った物件が多くみられます。

もちろん若い方でしたら、45年ローンを活用するのもありですが、45年ローンを組んで月々の収支がマイナス1万になるような物件も多数存在します。

せめて45年ローンを組んだ場合はマイナス収支にならないような物件でないと意味がありません

新築ならではの50年ローンを提案している会社もありますが、元本がほとんど減らずに、途中で売却を考えて場合も、ほとんど残債が残っていることになりますので注意が必要です

5、陥りがちなパターン事例

最後に、セミナー参加者が陥りがちなパターンをいくつかご紹介します。

  • とりあえず聞いてみようで、参加してしまい、なんとなく個別相談会にも残る
  • セミナーばかり参加して、勉強ばかりで不動産投資を自分事として検討していない
  • 良いと思う会社、物件を見つけても、もう少し様子を見てみようと思う
  • 同じようなセミナーに何度も参加してしまう

上記のようなパターンに陥りがちな方は注意が必要です。

なんとなく参加するのも悪いとは言いませんが、せっかく貴重な時間を2時間くらい時間を使うのですから、勉強だけで終わらせてしまうのは勿体ないと言えます。

とはいえ、即決をしなさいと言っているのではないです。即決は即決で後悔する可能性もあります。逆に即決しなかったことで、気に入った物件がなくなってしまうこともありますが(不動産は世界にひとつだけなので)。

重要なことは、セミナーに参加することを目的としないことです

良い会社に出会えたなら、良い物件に出会えたなら、それをやってみることがスタートです。

ただし、ご不安がある場合は、他のセミナーに参加するというよりは、同じような条件で出来る物件や会社があるのかを調べるようにします。

毎回セミナーに参加すると、業者からの営業を断るのも疲れます。

中にはしつこい業者も多いので、このあたりは手広く広げすぎないことが重要です。

何事も経験が重要です。勉強で終わらない為にも、事前の下調べと準備は必要です。

あなたにおすすめの専門家

木宮 瑛子(きのみや えいこ)

■ 所属会社
ベリーベスト法律事務所 大阪オフィス
■ 担当エリア
埼玉 千葉 東京 神奈川 静岡 京都 大阪 兵庫 奈良
■ 担当分野
司法書士

司法書士として、不動産の所有権・抵当権関係を登記、不動産投資での法人設立のお手伝いもさせて頂いています。

石田 渉(いしだ わたる)

■ 所属会社
株式会社Core Management
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栃木 埼玉 千葉 東京 神奈川 名古屋 大阪
■ 担当分野
保険商品

年間「300人」以上提案。お客様の資産背景、家族構成、投資目的など様々な条件から、保険、不動産投資など様々な投資商品と組み合わせたトータルコンサルティングをさせて頂いています。

高澤 啓(たかざわ けい)

■ 所属会社
株式会社SRコーポレーション
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■ 担当分野
国内不動産投資 投資全般のコンサルティング

不動産業界で15年以上の経験と、個人投資家として不動産から始め、ホテル、馬主など数々の投資経験を活かし、投資全般のご提案をさせて頂きます。

まとめ

せっかくセミナーに参加するのであれば、まずは参加する前に目的と業者をしっかり定めることから始めましょう。

事前準備を怠ってしまうと迷宮入り状態になってしまいます。

とはいえ、セミナー参加を重たく考える必要はありません。まずは行動してみるという感覚でも、何もしないよりかはよほど良いと言えます。

少しでも良いパートナーに出会える方が増えることを願っています。