- 「人口減少によって、不動産投資はどのような影響を受ける?」
- 「人口が増加する地域はある?」
不動産投資を実施、検討している方なら、このような疑問や不安を持っているのではないでしょうか。
昨今、日本では少子高齢化によって人口が減少し続けています。
そして、人口が減少することにより、ライフスタイルや経済などに多くの影響を与えているのが現状です。
では、この人口減少が不動産投資にどういった影響を与えているのでしょうか。
そこで、この記事では、人口減少の状況や不動産投資に与える影響、人口減少を見据えた不動産投資のポイントについて、詳しく解説をしていきたいと思います。
最後まで読んで、不動産投資の参考にしていただけると幸いです。
目次
1、日本の人口減少の状況
2020年1月1日の住民基本台帳にもとづく人口は1億2470万人で、10年連続で減少しています。
また、減少人数も約43万人と過去最高を記録している状況です。
このように、現在の日本の人口は2009年をピークに大きく減少しています。
出典:総務省統計局
人口減少の主な原因は以下の3つです。
- 少子化
- 高齢化
- 未婚率の増加
それぞれについて、解説していきます。
(1)少子化
人口減少の大きな原因のひとつが少子化です。
2019年に日本で生まれた子供の数は約86万人と過去最低を記録しました。生まれてくる子供の数が年々減少しています。
図1 出生数および合計特殊出生率の年次推移
出典:総務省統計局
女性の社会進出によりライフスタイルが変化し、少子化が加速したといわれています。
また、社会保障制度の問題など、子供を育てにくい環境があることも一因です。
このように、昔と比べてライフスタイルの変化したことによって、求められるニーズも変化しています。
(2)高齢化
高齢化も人口減少の主な原因の1つです。
出生率が低下したことにより、高齢者の人数が増えています。
特に、1970年代の第2次ベビーブームの人が高齢になったことで、日本の総人口に対する高齢者の比率が増加し続けている状況です。
出典:総務省統計局
2040年には、高齢比率が35.0%に迫ると予測されています。
このことから、今後も高齢者の人数の増加は加速していくと思われます。
(3)生涯未婚率の増加
生涯未婚率(50歳で結婚をしていない人の割合)の増加も人口減少の原因のひとつです。
この数値は、2015年時点で男性が23.4%、女性が14.1%となっています。
下の図からも1990年代から生涯未婚率は、急激に上昇しているのがわかります。
特に、男性の未婚率は女性よりも高く推移しており、生涯独身の人は今後も増えていく可能性が高いです。
ちなみに、生涯未婚率が増加している原因を1つに絞ることはできませんが、内閣府での調査では、経済的な理由が結婚に影響を与えている主な原因だと言われています。
出典:内閣府
2、人口減少が与える影響
人口が減少することによって、経済にどんな影響があるのでしょうか?
それは、以下の3つです。
- 労働人の減少
- 社会保障費の増大
- 年金制度が崩壊する可能性
それぞれについて、説明していきます。
(1)労働人口の減少
少子高齢化が進むことにより、最も問題視されているのが労働人口の減少になります。
なぜなら、労働人口の減少により、内需が縮小していっているからです。
働いている年代が消費を最もする年代なので、無理もありません。
この内需が縮小することにより、企業の国内内需に向けた投資が低下するため、経済成長率も低下します。
そして、経済成長率が低下すれば、税収も下がり、個人の税負担が増加していきます。
このように、労働人口が減少することはさまざまな経済的影響も与えてしまいます。
(2)社会保障費の増大
少子化高齢化によって人口が減少することにより、国民健康保険の費用や介護費などの社会保障費が増大していきます。
なぜなら、労働者が減少して税収が減少する一方、高齢者は病院に通院する回数も多いため、国民健康保険の費用は増加するからです。
このように、社会保障費が増加すると、財源が必要になります。
そのため、個人が負担する税金をあげることにより、税収を増やすことになると言われています。
(3)年金制度が崩壊する可能性
人口が減少することにより、年金制度が崩壊する可能性が高くなります。
なぜなら、このまま少子高齢化が進むと、年金をもらう人が増加するからです。
一方で、年金を納める人は減少してしまうので、今の制度を維持できません。
そのため、年金制度がなくなってしまう可能性すらあります。
また、年金制度をもし維持できたとしても、すでに受給年齢が75歳に引き上げられる法案が通っていますし、更に受給金額が減少する可能性も高いです。
実際に、昔の制度と比べると受給年齢も引き上げられ、受給金額も現象しています。
このように、将来的には一人あたりの税負担が増えて、満足いく年金がもらえなくなります。
そのため、不動産投資などの資産運用がより重要になると考えられています。
3、人口減少が不動産投資に与える影響
では、この人口減少が不動産投資に影響を与えるのでしょうか?
ライフスタイルの変化が影響することにより、ニーズが変化し、多数の影響を与えています。
それぞれについて、解説していきます。
(1)少子化による核家族化
少子化による核家族化によって、ファミリータイプの物件の需要が減少しています。
子供がいない夫婦だけの世帯や子供がいたとしても1人という世帯が増えてきているから当然といえば当然です。
もちろん、ファミリータイプの物件の需要が減少すると、不動産価値も減少します。
そのため、ファミリータイプの物件に投資をするのは、慎重に検討することをオススメします。
(2)未婚率の増加や高齢化による単身世帯の増加
生涯独身の人や高齢化によって単身世帯が増加しています。
その増加スピードは、2040年には、全世帯のうち約40%が単身世帯になるとの予測がされているほどです。
そのため、単身世帯向けのワンルーム賃貸の需要が増加しています。
ですから、物件の需要の変化により、単身向けのワンルーム賃貸の不動産価値があがる見方も可能です。
このように、人口減少による需要の変化を予測することで、より有利な不動産投資ができる可能性が高くなります。
(3)インバウンド需要の増加
人口が減少している一方で、訪日外国人は年々増えていました。
そして、こうした訪日外国人が、観光地の宿泊施設などを訪問することや外国人投資家が日本の不動産に投資することにより、不動産価値を押し上げてきたのです。
そのため、観光地にある旅館などには、今後も不動産価値の上昇が期待できる状況でした。
しかし、今回の新型コロナウイルスにより、旅館や店舗、オフィスなどの不動産は深刻なダメージを受けています。
そのため、安定した投資を検討するなら、住宅系の不動産投資が無難かもしれません。
(4)都心部への人口集中
高齢化社会によって、田舎に住んでいる高齢者は厳しい生活環境になってきています。
人口減少の影響でバスや鉄道などのインフラの廃線や商店の減少、町医者の減少などが現実に起きているからです。
車がなければ生活できない状態になっており、高齢者が田舎で暮らし続けるのが非常に難しくなっています。
そのため、徒歩圏内で生活に必要なものがまかなえる都市部への移住が増えてきているのです。
このような変化は今後も続き、田舎の物件需要は減少していく一方、都市部の物件需要は増えると予測されています。
4、人口増加のエリアもある?人口を見据えた不動産投資のポイント
ここまで、人口減少の影響について、解説してきました。
日本全体の人口が減少している中で人口が増加しているエリアもあります。
2019年の都道府県別人口推移を確認すると、人口が増加したのは東京、埼玉、神奈川、千葉、愛知、滋賀、沖縄の7都県です。 沖縄を除く6つは、東京や愛知といった大都市か、東京や大阪といった大都市圏のベットタウンとして機能している千葉や滋賀などの隣県になります。 ただし、2030年に人口が増加していると予測されているエリアは東京都と沖縄県だけです。
出典:総務省統計局
このように、人口が増加しているエリアは都市部がほとんどです。 では、こういった人口の増減の中で、不動産投資を行う場合のポイントはどういったものがあるのでしょうか?
それは以下の3つです。
- (1)立地の選び方
- (2)ニーズの変化をとらえる
- (3)出口戦略をたてる
それぞれについて、説明していきます。
(1)立地の選び方
不動産投資を成功させるために、立地の選定は非常に重要です。
更に、人口増減の予測をみると、東京都に絞ったほうが無難といえます。
しかし、東京都であれば、どこでもいいわけではありません。
東京都でも人口減少している地域もあるため、都市部に絞る必要があります。
そのため、23区内に投資をするのがおすすめです。
出典:東京都総務局
東京23区内は、徒歩圏内に高齢者のニーズが高い施設も多いので、今後高齢化がより進んでもニーズが低下する可能性は少ないと言えます。
ちなみに、東京23区以外では、人口減少率が低い大阪や愛知といった地方の大都市や神奈川や千葉といった東京周辺の都道府県がオススメです。
(2)ニーズの変化をとらえる
今後も人口減少が進んでいく中で、世の中のライフスタイルが劇的に変化していくことが考えられます。
例えば、今は単身世帯需要が高いですが、30年後は老人ホームのように共同生活の需要が増加しているかもしれません。
このように、ニーズの変化によって求められる物件が変わってくるため、ライフスタイルの変化を敏感にとらえるように注意しましょう。
(3)出口戦略をたてる
今後人口が減少することで、周辺環境や人口が変化していきます。
そのため、周辺環境の変化に合わせて、物件を売却することを考えておくことが重要です。
例えば、物件購入時は立地もよく人口が増加していた地域でも、20年たつと人口が減少し、入居率が低下してしまうかもしれません。
そのような場合には、損失を抑えるために物件をタイミングよく売却する必要があります。
このように、あらかじめ出口戦略をたてることで、周辺環境の変化に素早く気づき行動することが可能なのです。