サラリーマンや公務員の方でも、「マンション経営」を行うことはできるのでしょうか。
ほとんどの会社では就業規則により副業が禁止されているため、「マンション経営」は難しいとお考えの方が多いかもしれません。
しかし株式やFXによる投資は容認されていても、同じく投資の一種であるマンション経営はなぜ副業とみなされてしまうのでしょうか。
この記事では、サラリーマンや会社員はマンション投資を行っても問題がないかといったことや、マンション経営のメリットとデメリット、注意点などについて解説していきます。
ぜひ最後までお読みになり、サラリーマンや会社員の方がマンション経営を成功させるための参考にしてください。
目次
1、サラリーマンや会社員でもマンション経営は可能なのか
サラリーマンや会社員の方は就業規則で副業が禁止されているケースがほとんどですが、2018年に厚生労働省により就業規則のモデルが改訂され副業に関する規則が緩和されたため、勤務時間外においてサラリーマンや会社員が他の会社等の業務に従事することができるとされました。
しかし、以下に挙げる行為に該当するような副業は認められないとの裁判例があるので注意しましょう。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
このように副業を行うことは、厚生労働省のモデル就業規則において可能であるとされていますが、それでも会社の就業規則で副業が厳しく禁止されている場合には、マンション経営のための会社を設立し配偶者などを会社の代表とすることで、自分の名前を表に出さずにマンション経営を行うことができます。
2、公務員の場合は?マンション経営をする場合は「5棟10室」まで
副業を厳しく禁止されている公務員が、マンション経営を行うことは可能なのでしょうか。
公務員であってもある一定の規模までのマンション経営であれば、マンション経営は可能です。その一定の規模とは、「5棟10室」以内の範囲のことです。
戸建て物件であれば5戸以上、マンションであれば10室以上の物件を所有し不動産経営を行った場合に、税務上「事業」として取り扱われます。そのため「5棟10室」以内の範囲のマンション経営であれば「事業」ではなく「投資」の範囲であると解釈され、公務員であっても行うことができるのです。
なおマンションと戸建ての両方を所有する場合には、マンション2室を1戸として計算します。
また所有している物件数が「5棟10室」以内であっても、年間の家賃収入が500万円以上になる場合には副業として扱われてしまうため注意しましょう。
それ以外にも公務員がマンション経営を行う場合に物件の管理業務を自分で行った場合には、公務員という本業のほかに副業として管理業務を行っているとみなされてしまうため、すべての管理業務を管理会社に委託する必要があります。
参考1:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について (jinji.go.jp)
参考2:No.1373 事業としての不動産貸付けとその区分|国税庁 (nta.go.jp)
公務員の副業について詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。
下記動画にも解説しておりますので、ぜひ合せてチェックしてみてください。
3、サラリーマンや公務員がマンション経営を行う際のメリットとデメリット
サラリーマンや会社員がマンション経営を行う場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
以下にメリットとデメリットについて解説していきます。
(1)メリット
サラリーマンや会社員がマンション経営を行うメリットには、以下のようなものがあります。
①他人資本による資産形成が可能
株式やFXなどのマンション経営(不動産投資)以外の投資法では、他人資本を活用することはできず、資金のすべてを自分で用意する必要があります。
マンション経営には金融機関からの融資を受けることにより、他人資本を活用して資産形成を行うことができるという他の投資法にはないメリットがあります。
他人資本を活用することでレバレッジをきかせることができるため、自己資金のみで行う場合よりさらに規模の大きい投資を行うことができるのです。
②所得税と住民税を軽減することができる
マンション経営を行う際に赤字が出た場合には、本業の給与所得などから赤字分を差し引くことができます。そのため給与所得が低くなり、所得税と住民税を低く抑えることができます。
マンション経営で所得税と住民税を低く抑えるために一番のカギとなるのは、マンションの減価償却費です。
減価償却費とは、所有している不動産の価値は時間の経過により価値が下がってくるため、その下がった価値を一定の期間損益として計上できる仕組みのことを言います。
減価償却費を経費として計上することで、実際には利益が出ていても計算上は損益が出ていることになり、この損益を本業の給与所得から差し引くことで所得税と住民税の節税を行うことができます。
③経営にほとんど手間をかけず安定した収入を得ることができる
マンション経営を行う場合、マンションの管理を管理会社に任せることでほとんど手間をかけることなくマンション経営を行うことができます。
また、マンション経営はエリアを分散して物件を所有することから、空室リスクにも強く、多少の空室が出ても他の部屋からの家賃収入を得ることができるため、安定した家賃収入を継続的に得ることができます。
④場合によって早期リタリアができる
マンション経営が順調進み物件の買い増しができるようになり、投資規模がどんどん拡大することができます。
買い増しで物件を増やしていくと、それに伴って家賃収入も増えていくため本業を辞めて専業大家として生活していくこともできるようになる可能性があります。
このようにマンション経営を行うことで、場合によってはアーリーリタイヤすることが可能になることもあります。
(2)デメリット
次に、サラリーマンや会社員がマンション経営を行う際のデメリットを見てみましょう。
サラリーマンや会社員がマンション経営を行うデメリットには、以下のようなものがあります。
①金利上昇リスク
金利上昇リスクとは、今後金利が上昇した場合に毎月の返済金額も上昇し、利回りが低くなったりマイナスになったりしてしまうリスクのことを言います。今の日本は史上最低と言われているほど金利が非常に低いです。融資を返済している期間中に金利が上昇することは十分に考えられます。
この金利上昇リスクを回避するためには、ローンを組む際に「固定金利」を選択する方法と、繰り上げ返済を行い早く元金を減らしていく方法、それと5年1.25倍ルールのある融資商品を選ぶという3つの方法があります。
固定金利とは、ローン借り入れ後に金利が変動してもローンを借り入れた時の金利がローン返済時まで変わらずに適用されるというものなので、金利の相場に関わらず毎月の返済額は一定となります。そのため、金利変動リスクを回避することができます。
繰り上げ返済により元金をなるべく少なくしていく方法では、変動金利でローンの借り入れを行っている場合に有効な方法です。金利は元金に対してのみ適用されるため、元金が少なければ金利の相場が上昇した場合にも、その影響を最小限に抑えることができます。
また、5年1.25倍ルールというのは、例えば金利が上昇したとしても、5年以内は返済金額の変動なし、それから金利が上昇しても返済額は1.25倍までという融資商品のことを言います。すべての不動産投資ローン商品が適用されているわけではないので、事前に確認するようにしてください。
②空室が出ることにより収入が減少することもある
マンション経営を行う上で、空室リスクは常に付きまといます。所有しているマンションが常に満室であるとは限らず、空室が出た場合には収入が減少してしまいます。
回避策としては、物件購入の際に購入を予定している物件がある地域の人口動態を把握し、物件のターゲットとなる人口の増加が見込めることを確認する、利便性の良い立地にある物件を購入する、入居率が高い管理会社に管理を依頼するといったことがあります。
③自然災害リスク
自然災害リスクには、地震や水害、洪水や土砂崩れなどがあります。
このような自然災害リスクを低く抑える方法には、物件を選ぶ際に新耐震基準が適用されているか確認したり、自治体が発行しているハザードマップを確認し物件が自然災害に弱い場所に立っていないか確認したりする方法があります。
物件を購入した後に行うことができる自然災害対策には、耐震補強工事を行ったり火災保険や地震保険に加入したりすることで、自然災害リスクを低く抑えることができます。ここで注意して頂きたいのは、火災保険のみでは地震による被害はカバーされないという点です。そのため、地震保険にも必ず加入しておくようにしましょう。
不動産投資のリスク、そして回避策について詳しくは下記の記事を参考にしてみてください。
4、サラリーマンや公務員がマンション経営を始める際の注意点
サラリーマンや会社員がマンション経営を行う場合に、注意しなければならないのはどのような点でしょうか。
ここでは、サラリーマンや会社員がマンション経営を行う際の注意点について解説していきます。
(1)管理は管理会社に依頼する
サラリーマンや会社員がマンション経営を行う場合には、本業に支障をきたさないようマンションの管理は管理会社に依頼しましょう。
しかし管理のすべてを丸投げせずに、自分でもマンションに定期的に足を運んで管理状況を確認しておくことも重要です。
管理会社とは、長期間にわたり付き合いが続くため、自分と相性のいい担当者がいる管理会社を選び、密で良い関係を築いておくことも大切です。
(2)身の丈に合ったマンション経営を行う
マンション経営を始める際に、いきなり限度額いっぱいの融資を受けて規模の大きい経営を始めることは非常にハイリスクです。
まずは1部屋からスタートするなど、身の丈に合ったマンションを購入し経営を始め、マンション経営が軌道に乗ってきたら次の物件購入を考えるとよいでしょう。
(3)明確化した投資目標を設定する
投資を始める場合に、投資目標を明確に設定しておきましょう。
そしてその投資目標を達成するために必要な借入金額や自己資金、どのような物件を購入するべきかといった入念な計画を立てておくことで、安定したマンション経営を成功させることができます。
不動産投資の目標の設定方法などについて、詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。
(4)信頼できる担当者を見つける
マンション経営を行う場合にはほとんどの場合、不動産業者の担当者と二人三脚で行います。
不動産業者の担当者が信頼できなかったり、相性が悪かったりすると不動産投資の目標を達成するまでに余分な時間がかかることや、ときには目標を達成することができなくなってしまうことが予想されます。
そのため、十分な知識を持った相性のいい信頼できる不動産業者の担当者を見つけてマンション投資を行うようにしましょう。