一棟物件投資について、みなさんどのようなイメージをお持ちでしょうか?
- キャッシュフローが得られる
- 建物の評価がなくても、土地を得ることができる
と良いイメージを持たれた方もいれば、
- 物件価格が高い
- 管理が大変
- いい物件が見つからない
- エリアの選び方が分からない
など、一棟物件投資に難しいというイメージを持たれた方が多いのではないでしょうか。
正直に申し上げますと、投資である以上簡単な商品はありません。
しかし、ちゃんと優秀なプロ(エージェント)のフォローがあり、身の丈に合った投資プランであれば、成功に一歩大きく近づくことができるでしょう。
一棟不動産を購入するにあたり、私のお客様は物件選びで常に以下3つの条件で迷われています。
- 「都心」VS「地方」
- 「中古」VS「新築」
- 「R C」VS「木造」
それぞれにメリットとデメリットがあり、それをきちんと知ることが最も大切なことですので、その3つの条件を3回を分けて、みなさんにお伝えしていきたいと思います。
今回は、「都心」VS「地方」について書いていきますので、エリア選びで迷われている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
1、都心エリアの物件のメリットとデメリット
まず最初に、都心エリアにある物件のメリットとデメリットを知っておきましょう。
(1)メリット
都心エリアの物件を選ぶことによって、以下5つのメリットが挙げられます。
①中核都市の中心部は土地の値段が崩れず、いまだに上昇傾向にある
東京、横浜、名古屋などの中核都市のエリアであれば、土地の値段が崩れず、未だに上昇傾向があります。
土地代データが公表した2018年の全国の地価のデータを参考にしてみてください。
出典:土地代データ
②札幌、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡などの中核都市の人口は未だに上昇傾向にある
不動産投資には安定した家賃収入を得ることが大切です。そのため、人口が増える中核都市を選ぶことが必要です。
③1部屋辺りの賃料が高い
一棟物件は複数の部屋があるため、キャッシュフローが得られることになりますが、また、1部屋辺りの賃料も高く取れます。
全国賃貸管理ビジネス協会の2018年10月の全国家賃調査データを見ていただければ分かりますが、中核都市の家賃相場が高いことが分かります。
出典:全国賃貸管理ビジネス協会
※一部抜粋
④人口が多い為空室期間が短くすむ可能性がある
人口が多いエリアは、賃貸に対する需要も高まります。
従って、人口が多いエリアでは、たとえ空室になったとしても、空室期間が短くなる可能性が高いと言えるでしょう。
⑤出口戦略が取りやすい
地価が高く資産価値の高く、入居率も高い物件はみんなが欲しがります。
一棟物件は物件価格が高いため、購入できる人は少なくなり、流動性が悪いと言われていますが、いい立地にある物件は比較的に短期間での売却が可能になります。
(2)デメリット
続いて、デメリットをみてみましょう。
①利回りが低い
立地のいい物件は、地価が高いため、基本的には利回りが低くなっています。
一般的には、狭小物件や築古など、建物の評価があまりでない物件じゃないと、利回りが期待できないでしょう。
②路線価は高いが土地面積が小さくなる為、積算価格は低くなる
都心エリアだと、なかなか広い土地の取得が難しいため、路線価は高いですが、土地の面積が小さいため、積算価格は低くなります。
積算価格は、簡単に計算すると現状の評価として「土地価格+建物価格」になります。建物は、築年数が古くなるにつれ評価がどんどん下がることによって、土地の評価が非常に重要になってきます。
③購入時に競合し買い上げされるケースが多々ある
いい物件はみんな欲しがります。また、本当の掘り出し物件はインターネットなどに掲載される前に、既に完売されているケースがほとんどです。
そのため、随時あなたに物件情報を提供してくれる優秀なエージェントがいることが非常に大切と言えます。
④賃貸物件の供給も多い為、加熱市場になりやすい
メリットで、人口が多いエリアであるため、空室になりにくいと書きましたが、一方、人口が集まるエリアに、物件も集まります。
供給が多くなりすぎて、借り手市場になりがちです。
そのため、近くのエリアにある物件と差別化をすることが必要になります。
2、地方エリアの物件のメリットとデメリット
都心エリアと比較して、地方エリアの物件のメリットとデメリットも把握しておきましょう。
(1)メリット
地方エリアの一棟物件投資をする時の4つのメリットをご紹介します。
①築浅でも高利回りが狙える
地方エリアの物件は、地価が安いため、築浅の物件でも高利回りを狙うことができます。
②路線価は安いが、土地面積を大きく取れる為、積算価格が高い
こちらは都心エリアの一棟物件のデメリットに当たりますが、地方エリアの物件は土地の面積を広く取ることができることから、多少地価が安くても、面積で稼ぐことができるので、積算価格が高く取れます。
③1部屋辺りの面積を広く取れる
都心の物件は、狭い土地でできる限り部屋数を作らないといけないので、1部屋の面積あまり広くないです。エリアによって決まりが違いますが、ひとり暮らしの物件だと平均20〜25平米が1つの目安になります。
一方、地方の物件は土地面積が広いため、1部屋辺りの面積も広く、30平米前後の物件が多いです。
④転勤が少ない為、入居者の入居年数が長い
都内勤務の方は、転勤族が多くおります。転勤によって、部屋の入れ替わりも多く、多少の空室期間が出やすくなります。
一方、地方勤務の方は、転勤族が少ないため、一回の入居年数が長く、安定した家賃収入を得られます。
(2)デメリット
一方、デメリットとしては以下3つが挙げられます。
①人口減少のリスクがある
中核都市だと経済発展しているため、稼ぐために地方から都心へと人口が流れやすいです。
流出人口が多いと賃貸に対するニーズも減りますので、対象物件があるエリアの人口流動について注意する必要があります。
総務省統計局にて定期的に人口移動のデータを発表していますので、確認するようにしましょう。
②1部屋辺りの賃料が安い
都心エリアと比較して、地方エリアの家賃相場は安くなります。
しかし、地方エリアでも交通の便がいいエリアであれば、多少家賃を高く取れるケースもありますので、きちんと調べましょう。
③建物の管理が管理会社任せになりがち
都心エリアに住んでいても、地方エリアの物件を購入されるオーナーも少なくありません。
物件が近くにあれば、定期的に見に行くことができますが、地方エリアだとなかなか見に行けず、管理会社に任せっきりになりがちです。
たとえ、物件見に行けなくても、定期的に担当者と会話したりなど物件の状況を把握するようにしましょう。
3、どっちのエリアの物件を選ぶべき?あなたの属性で判断することが大切
上記にて都心エリアと地方エリアの一棟物件投資のメリットとデメリットについて書きましたが、さて、どちらがいいのかと聞かれると、やはり決まった回答がないのは正直です。
なぜならば、お客さまの属性や資産背景によって、購入できる物件が大きく異なるからです。
以下にて、違う条件を持ったお客さまのケースを2つご紹介しますので、ご自身の属性や投資目的に合わせて、参考にしてみてください。
(1)極力自己資金を使わずに融資を活用したい方
極力自己資金を使わずに融資を活用したい方は、「地方エリアの一棟物件」をお勧めします。
なぜならば、銀行はある程度、エリアや立地を判断材料にしますが、審査過程で重きを置くのは
- 収益能力、積算価格
- 残存法定耐用年数、経済的耐用年数
- 現在の稼働状況
といった、物件のスペック面で担保価値を決めるからです。
この場合、融資ありきでの物件選定になりますので、銀行が評価する収益能力の高い物件を選ぶことを心掛けた方がいいでしょう。
☆注意すべきポイント☆
地方エリアの一棟物件を選ぶ時に、以下のポイントを注意しながら、物件探ししましょう。
①近隣に競合物件を調べる
需要>供給を意識しながら、近隣に競合物件が少ないことを必ず確認し、競合が少なければ独占市場になる可能性があります。
②稼働率は安定するかどうか
安定した稼働率があるのかどうかをしっかり調査する必要があります。
1つの目安としては賃貸マンションを探してる人の総数や、持ち家比率などを参考するといいでしょう。
③エリアの賃貸ニーズに合っているかどうか
購入する物件の間取り、スペックはエリアの賃貸需要に合致してることが重要です。
近隣に大学や工場などの単身者需要が無いのに利回り重視で単身物件を買うのは危険です。
ファミリー層が多いエリアであればファミリー物件を、単身が多いエリアであれば単身物件を購入しましょう
なお、売却するであろう時期(5年~10年後)の残債利回りをしっかりシュミレートし、何%の利回りなら売れるのか意識することも重要です。
(2)ある程度自己資金を入れて購入したい方
ある程度自己資金を入れて購入したい方は、「都心エリアの一棟物件」をお勧めします。
なぜならば、自己資金を出せる方は、金融機関から低金利で融資を受けられる可能性が高いからです。
都心エリアの物件は、利回りが低いため、融資の額が伸びづらいので、物件の利回りよりもキャッシュフロー率と残債利回りを意識してください。
ある程度キャッシュフローが得られる水準まで、自己資金を投入した方が健全な運営になるでしょう。
☆注意すべきポイント☆
なお、物件選定には以下の点を注意するようにしましょう。
①出口戦略を重視する
出口戦略を考慮し、極力に価値の高いエリアの物件を購入しましょう。
将来、売却するときに買ってくれそうな買主の層を一般の投資家だけではなく、企業や不動産会社にまで広げられるようなエリアにした方がより安全であり、キャピタルゲインが狙える可能性が高まります。
②需要と供給のバランスを意識する
都心部は人口が多く、賃貸ニーズに対する需要が高い反面、競合物件も多く、新築物件もどんどん建てられます。そのため、需要と供給のバランスを意識することは重要です。
③間取りの選定が必要
間取りを選定する必要があります。
都市部は賃貸マンションの選択肢が多いため、入居者がわがままになりがちです。ニーズに合致してないと立地が良くても入居付に苦戦する可能性があります。
以上の点を踏まえながら、購入を検討する物件に競争力があるかは地元の管理会社に判断を仰ぐといいでしょう。