Pocket
LINEで送る

不動産投資を軌道に乗せて、早期退職したいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。

ここ1年以上続いているコロナ禍の影響で収入が減少していることから、今後の収入に対する不安をお持ちの方や、早期退職が推奨されているオリエンタルランドのような例がこれからも増えていくのではと、心配されている方も少なくないでしょう。

早期退職を目指して不動産投資を行う方は、今後増えてくることが予想されますが、成功させるには把握しておく注意点も多くあります。この記事では、不動産投資で早期退職を目指すために知っておきたいポイントをまとめました。

これから早期退職を目指している方は、ぜひ最後までお読みください。

1、早期退職した際に必要となる老後資金はいくら?

まずは早期退職した場合に、実際にどの程度の生活資金が必要になるかを把握しておく必要があります。ここでは、実際に早期退職した場合のお金にまつわる問題について解説していきます。

(1)早期退職したら老後資金いくら必要?

55歳で早期退職し、その後の生活を貯蓄と65歳から支給される年金のみで送ると仮定して考えてみましょう。

家計調査報告の調査データによると、高齢夫婦無職世帯の消費支出の平均は、「24万円」です。そのため、年金が支給されない55歳から64歳までの期間に生活のために必要な資金は、「約24万円×12か月×10年=約2,880万円」となります。なお、この期間も国民年金保険料は払い続けなければなりません。

そして65歳から90歳まで生きると仮定して、55歳で早期退職した場合に支給される年金の金額は、平均で約12.5万円となるため月々に必要な生活費は「約24万円−約12.5万円=約11.5万円」となります。この金額が90歳まで生きると仮定して25年間にわたり毎月必要になるので、その総額は「約11.5万円×12か月×25年=約3,450万円」となります。

この2つを合計すると「約6,330万円」となり、この金額が55歳で早期退職ために最低限必要な資金となります。

参考:家計調査報告(家計収支編)2019年(令和元年)平均結果の概要 (stat.go.jp)

参考:民間給与実態統計調査|国税庁 (nta.go.jp)

(2)早期退職したらどれくらいの年金がもらえるの?

早期退職した場合、それまでの年収に応じて納めてきた厚生年金保険料と年齢により支給される年金額は異なりますが、それぞれの年齢で退職した場合に支給される金額の平均は、

  • 45歳で退職した場合は:約9万円
  • 50歳で退職した場合は:約2万円
  • 55歳で退職した場合は:約5万円

となります。

参考:民間給与実態統計調査|国税庁 (nta.go.jp)

(3)早期退職までにいくら貯金できていればいい?

早期退職をする場合に最低限必要な費用を計算する場合には、

  • 年金支給開始前までに必要な資金
  • 年金受給開始後に必要な資金

に分けて考える必要があります。

  • 年金支給開始前に必要な資金:1か月の生活費×12か月×65現在の年齢)
  • 年金支給開始後に必要な資金:(1か月の生活費-支給される年金額)×12か月×90歳(仮)-年金受給開始金額)

この2つを足した金額が、早期退職までに必要になる金額です。

2、不動産投資でいくらの収入があれば生活ができる?

では、貯蓄のみでなく不動産投資で生活費を補う場合、どの程度の収入があれば早期退職をすることができるのでしょうか。ここでは、55歳で早期退職すると仮定して、不動産投資を行う物件のタイプごとに東京の家賃相場を例にとって解説していきます。

ここでは、高齢夫婦無職世帯の消費支出の平均である、「24万円×12か月分=288万円」を毎年得るために必要な投資規模をシミュレーションしていきます。

(1)区分マンション投資の場合

まずは区分マンション投資をした場合のシミュレーションをしてみましょう。

前提条件

  • 物件価格:2,000万円
  • 家賃収入:10万円×12か月=1,200,000
  • 月々のローン返済額:53,000円×12か月=636,000
  • (借入金額1,600万円、借入期間35年、金利2%として計算・頭金400万円と諸費用は自己資金より支出)
  • 管理費等:7,000円×12か月=84,000
  • 修繕積立金:900円×12か月=10,800
  • 固定資産税:(2,000万円×0.7)×1.4%=196,000円
  • 都市計画税:(2,000万円×0.7)×0.3%=42,000円
  • その他年間経費:年間40,000

こちらの物件の場合、年間のキャッシュフローは

1,200,000円636,000+84,000+10,800+196,000+42,000+40,000円)

の計算で求められ、「191,200円」となります。

そのため年に288万円の収入を得るためには、この規模の区分マンションを15戸以上所有する必要があります。

(2)一棟物件投資の場合

続きまして、一棟投資物件を見てみましょう。現状、一棟投資物件の融資が非常に厳しくなっているため、自己資金がないとなかなかスタートが切れない状況です。

また、管理など賃貸経営のノウハウが必要なため、初心者はあまり適していないと言えます。

  • 物件価格:2億円
  • 家賃収入:10万円×10室×12か月=12,000,000
  • 月々のローン返済額:596,273円×12か月=7,155,276
  • (借入金額18,000万円、借入期間35年、金利2%として計算・頭金2,000万円と諸費用は自己資金より支出)
  • 管理費等:50,000円×12か月=600,000
  • 修繕積立金:90,000円×12か月=1,080,000
  • 固定資産税:(1億円×7)×1.4%=980,000円
  • 都市計画税:(1億円×7)×0.3%=210,000円
  • その他年間経費:年間400,000

こちらの物件の場合、年間のキャッシュフローは

12,000,000円7,155,276+60,000+1,080,000+980,000+210,000+400,000円)

の計算で求められ、「2,114,724円」となります。

そのため年に288万円の収入を得るためには、この規模の一棟マンションを2戸以上所有する必要があります。

(3)戸建て投資の場合

最後に戸建て投資を見てみましょう。戸建てのレベルは区分マンション投資と一棟投資物件の中間に位置づけします。

  • 物件価格:3,000万円
  • 家賃収入:15万円×12か月=1,800,000
  • 月々のローン返済額:89,440円×12か月=1,073,280
  • (借入金額2,700万円、借入期間35年、金利2%として計算・頭金300万円と諸費用は自己資金より支出)
  • 管理費等:10,000円×12か月=12,000
  • 修繕積立金:2,000円×12か月=24,000
  • 固定資産税:(3,000万円×7)×1.4%=294,000円
  • 都市計画税:(3,000万円×7)×0.3%=63,000円
  • その他年間経費:年間80,000

こちらの物件の場合、年間のキャッシュフローは

1,800,000円1,073,280+12,000+24,000+294,000+63,000+80,000円)

の計算で求められ、「253,720円」となります。

そのため年に288万円の収入を得るためには、この規模の戸建て物件を12戸以上所有する必要があります。

物件の選び方について下記動画にてポイントを分かりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

(4)自分に合ったプランニングをする事が重要

上記のように、投資を行う物件の種類によって早期退職しても生活していくことができる年収を得るためには、投資の規模が異なります。

一棟マンション投資の場合には2棟以上所有していれば生活費を賄うことができますが、多額の初期費用を準備する必要があります。

区分マンション投資や戸建て投資の場合には、多くの物件を抱える必要があるため管理などの手間がかかりますが、自分の資金状況に合ったタイミングで物件数を増やしていくことができるといったメリットもあります。

どの程度の自己資金を準備できるかといったことや、どこまで物件の管理に手間をかけることができるかなどといった自分の状態にあった投資プランを練っておくことが重要です。

3、早期退職後、不動産投資のみで生活するデメリット

一方、不動産投資にはデメリットもあります。不動産投資のみで生活していく時のデメリットについて解説していきます。

(1)収入が不安定になる可能性がある

空室リスクにより、家賃収入が下がり収入が不安定になることが考えられます。

このようなリスクを回避するためには、客付けに強い管理会社と契約する、入居者に長く住んでもらえるように物件のメンテナンスやリフォームを定期的に行うようにするといった点が重要です。

(2)自然災害による急な収入ストップがありえる

自然災害リスクにより、物件が壊滅的なダメージを受け急に家賃収入が途絶えてしまう可能性もあります。

このような事態を避けるためにも、火災保険と地震保険には必ず加入しておきましょう。

(3)金利が上昇すると収入が減る

金利上昇リスクにより、金利が上昇して毎月のローン返済額が上がり収入が減ってしまうことも考えられます。

この金利上昇リスクはローン借入時に変動金利を選択している場合に発生するリスクなので、繰り上げ返済、固定金利に借り換えするなどリスクを回避することができます。

不動産投資のデメリットについて、下記の記事にて詳しく書いていますので、回避策も合わせてチェックしてみてください。

不動産投資で対策すべきリスクとリスクヘッジの方法について解説

また、下記動画にも分かりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

4、不動産投資で早期退職ができるよう今からできることは?

早期退職を行うためにまず一番にしておかなければいけないことは、退職後に生活に困らないよう仕組みを作っておくことです。例えば、在職中にできる限り融資を最大限に活用し、ある程度不動産投資を軌道に乗せておくことが大切です。

次に大切なのが、家族の理解です。家族の理解を得ないまま早期退職してしまうと、家族、特に夫婦間の関係に亀裂が入ることが予想されるため、特に配偶者の理解を得ておくようにしましょう。

また、不動産投資で生計を立てていくためには、頼りになる相談相手を確保しておく必要があります。一般的には不動産会社の担当者がそれにあたりますが、この担当者も自分と相性がいい相手を見つけておき、何かあったらすぐに相談できるようにしておくとよいでしょう。相性が合う担当者であれば相談もしやすく、親身になって相談に乗ってくれます。

将来不動産投資を行うことで早期退職を目指しているのであれば、上記のような準備をしておかなければなりません。

あなたにおすすめの専門家

野村 元輝(のむら げんき)

■ 所属会社
海外投資協会
■ 担当エリア
全国
■ 担当分野
保険商品

国内生保の代理店営業時代は個人を中心に400世帯余り、証券枚数1300件ほどの契約をあげてきました。海外投資アドバイザーとしては、おかげさまで日々国内外の方から海外投資の相談を頂いております。

石田 渉(いしだ わたる)

■ 所属会社
株式会社Core Management
■ 担当エリア
栃木 埼玉 千葉 東京 神奈川 名古屋 大阪
■ 担当分野
保険商品

年間「300人」以上提案。お客様の資産背景、家族構成、投資目的など様々な条件から、保険、不動産投資など様々な投資商品と組み合わせたトータルコンサルティングをさせて頂いています。

湯藤 善行(ゆとう よしゆき)

■ 所属会社
株式会社SYLA
■ 担当エリア
埼玉 千葉 東京 神奈川
■ 担当分野
国内不動産投資

十余年の不動産業界在籍の経験に加え、10,000戸以上のマンション開発を通して得た経験と、徹底したリサーチによるデータから導き出された確実性の高い資産形成を提案しています。

まとめ

ここまで、早期退職するために必要な資金と、不動産投資によりその資金を調達するために必要な不動産投資の規模、早期退職後に不動産投資のみで生活していくデメリットや早期退職のために今からできることについて解説してきました。

早期退職は多くのサラリーマンの夢ですが、きちんと注意点をおさえつつ、不動産投資を行うことによってその夢をかなえることも不可能ではありません。

この記事を、不動産投資を利用した早期退職をお考えの方にご参考にしていただき、お役に立てていただければ幸いです。