「プロが教える!初めて不動産投資をする前に読む話(前編)」に続き、後編では具体的に自分に合った投資タイプの選び方をご紹介します。
目次
1、マンション投資、アパート経営、旅館業、あなたはどれが向いている?
では、どれが自分に向いているのでしょうか?
それぞれの良さはあるので、ここでは自分に合った投資商品の選び方について書いていきます。
(1)マンション投資に向いている方
マンション投資には、下記のような方が向いていると言えるでしょう。
①年収400万円以上の公務員・サラリーマンの方
理由:融資審査の関係上、自営業よりお勤めの方は審査が通りやすい
②初めての不動産投資の方
理由:価格帯が1,000万円台からあり、金額に対する抵抗感が少ない
③自己資金が少ない方
理由:満額融資をしてくれる金融機関が多くある為、自己資金が少なくても始めることができる
④他の借り入れが少ない方(自宅や車やカードなど)
理由:融資枠が大きくなるので、複数物件に投資できる可能性が高まる
⑤20代~40代の方(35年以上のローンが組める方)
理由:月々の収支が-になるケースが多く、ローン年数が長く組めない年代の方には不向き
⑥利益より安定性や安全性を重視したい方
理由:前述の通り、都心部が多く、利回りは必然的に低いが、賃貸需要は高い為、安定感はあるが、インカムゲイン(収益)で儲かることはあまりない 長期的な運用で元を取ることは可能
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(2)アパート経営に向いている方
マンション投資には、下記のような方が向いていると言えるでしょう。
①年収700万円以上の公務員・サラリーマンの方
理由:500万円~でも可能だが、売買金額が大きいため年収が高い方向き
②学園エリアの駅前の土地を所有している地主さん
理由:土地から買うアパート経営もあるが、都心部などの土地代金が高いエリアだと利回りが悪くなる
③自己資金が潤沢な方
理由:自己資金が無くても出来るアパート経営はあるが、将来的な修繕がマンション投資に比べると一時的にまとまった資金が必要になり、出費が大きくなるケースが多い為
④建物や土地の活用を思いのままにしたい方
理由:大手管理だと出来ないことも多いが、他の所有者がいない為、自身の意見を取り入れた注文住宅のように、自由度が高く、オリジナリティを出すことも可能
⑤年金対策よりも、毎月の即収入を求めている方
理由:マンション投資に比べると、利回りが高いことが多く、融資の条件によっては、毎月+の収支になり、即収入として受け取れるケースが多い
なお、木造アパートなどは特に家賃下落を考慮する必要がありますので、長期的という考え方よりは短期的な収入源という考え方をされている方に向いております。
(3)旅館業経営に向いている方
旅館業経営には、下記のような方が向いていると言えるでしょう。
①年収が低くても、年収が高くてもできる
理由:自分が住んでいた家や、空き家などを活用することもでき、自己所有の物件でも旅館業は始められますケースもありますし、新規で購入する物件でも始められるケースがある為
②ある程度の自己資金がある方
理由:宿泊者の為に、ベッドや、テレビなどの家具や設備(200万円程度)を先に設置する必要などがあるため
③マンション投資よりもアパート経営よりも収益を望む方
理由:稼働率の高いエリアだと、マンション投資の2~3倍の収益を生み出します
④空室でお困りのオーナー様
理由:自己所有の物件を旅館業経営に変更することが出来ることで、収益の改善を図れる為
⑤旅館業の申請業務や宿泊者管理の知識がない、初心者の方
理由:専門的な知識や対応力(語学力)なども重要になるが、専門業者に任せることが出来る為、初心者の方でも旅館業経営は可能です。
他にも様々な理由がありますが、細かい部分は個別にご相談して頂ければ幸いです。
2、バランス投資の考え方
不動産投資の考え方のひとつに「バランス投資」という考え方があります。
上記にて書いたように、それぞれ向いている方、出来る方などが限られていたりもしますが、あてはまるものが多い方はどうするのが良いのか?と考えた時に私がよくお話するのが、様々な種類の不動産投資を組み合わせるやり方です。
どのような考え方があるのかをみていきたいと思います。
(1)長期的視点と短期的視点の融合
①長期的視点
長期的視点で見た場合、比較的マンション投資が向いております。RC造(鉄筋コンクリート造)であるため、耐久力的に見ても、今の新築マンションでしたら100年は持つと言われております。そのような観点から金融機関によっては「45年ローン」という商品が生まれたりしているくらいです。
また、こういった金融機関はローン年数が長く使えるため、月々の返済が安くなるため、収支は良くなります。
しかし、こういった金融機関と提携のある会社は限られておりますので、検討時の参考にして頂ければと思います。
②短期的視点
短期的視点では二つの考え方があります。
短期的に収益を得る方法と短期的に所有して、築浅のうちに売却益を狙う方法です。
短期的に収益を得るものとしては、新築アパート経営と旅館業が適しているかと思います。その理由として、前述したようにアパートは立地がマンションより駅から遠いケースが多く、新築の内は賃料もよく、借手も多く存在しますが、古くなってくると、メンテナンスがかかることや、賃料の下落、売却の厳しさ(特に融資が付きにくくなる)などの理由から、そもそも長期的運用に向いていない点です。
旅館業に関しては、オリンピック効果を中心に都心部は特に需要が旺盛で、今後も収益が見込めるとは思いますが、毎日のように宿泊者が変わることから賃貸経営よりも綺麗に保つことが重要で、将来的な修繕などを考えていくと、長期的というよりは短期的な利益を取ることに向いております。
このようにマンション投資やアパート経営、旅館業のように、目的が違うものを組み合わせていくことで、短期的な投資の利益で、長期的な投資の物件を繰り上げ返済していくことで、長期的な投資すらも、早くから収入源に変えていくやり方が存在します。
そういった意味では立地の良い物件を購入して、短期的に売却益を狙うというのも地価が極端に上昇しているエリアでは有効です。
ただし、こうしたバランス投資は購入していく順番を間違えてしまうと、融資審査の都合で出来なくなってしまう場合や、利益を生み出さない場合がございますので、専門的なアドバイスが必要になります。ぜひ、専門家にご相談ください。
(2)良いとこ取りが成功する!?
どのような順番が理想的なのか?
良いところ取りをするために一番重要なのは始める順番ということになります。意外と思われるかもしれませんが、理想は誰にでも始めることができる旅館業を一番に始めることです。
ここで時代の流れに乗った収益を得て、それを元手にマンション投資かアパート投資を始めることで、マンション投資やアパート経営のような年収水準に届いていない方でも、頭金を用意できるようになれば、こうした投資も可能になるケースがございます。
もちろん最初からマンション投資やアパート経営が出来るご属性の方でしたら、旅館業は後からでも出来ますので、まずは一部屋からという考え方も良いと思います。
理想の順番の例を記しておきます。
- 旅館業の検討→可能なら旅館業を始めてから自己資金を作る
- マンション経営に頭金を多く入れて始める(収支が良くなる為)
- さらに自己資金を貯めて、一棟マンションかビルを建設する
- 旅館業の物件か、マンション投資の物件を売却して、その売却益で一棟マンションの繰り上げ返済をする OR もう一棟購入を検討する
これは一例ではありますが、フルローンは厳しい時代ですが、頭金を作ればこういった投資方法も可能となります。
(3)他の資産(投資)とのバランスも重要
今まで、様々な不動産投資の特徴などをお伝えして参りましたが、不動産投資は、あくまでも資産運用の手法のひとつであり、他の投資を全くしなくて良いというものではありません。
ご自身の現在の資産のポートフォリオ(資産構成)をまずは明確にして、将来的なポートフォリオをどうしていきたいのか、計画を立て、実行していくことが重要です。
他の資産という点では、大きく分けて「貨幣性資産」「流動的資産」「固定資産」の3つに分けることが出来ます。
①貨幣性資産
貨幣性資産とは現金や預金のように、現金などの貨幣そのものや、回収できる額が決まっているような資産のことを言い、いわゆる「現金」等になります。こちらは無いと生きていけない資本主義国家では、当然必要になります。
②流動的資産
流動的資産というものは株やFXなど、日々流動性が激しく、大きく増えることもあれば大きく減ることもあるような流動的な資産を指します。
③固定資産
固定資産とは、土地や建物のようなもので、長期間保有して使用することや、投資を目的として人やテナントに貸すなどの不動産投資のような商品を指します。
特に日本人は預金主義の国民性からか、これらを均等に分散投資することを苦手とされている方が多くいらっしゃいます。ただ、物価の高騰や消費増税などの影響で、現金の貨幣価値は目減りしていく可能性がございますので、現金だけに頼る資産形成はリスクを伴います。
とはいえ日々、皆様と面談させて頂いておりますと、実際FXや不動産投資ばかりして、手元に現金がなくなってしまっている方も多くみられます。
何事もやりすぎは良くありません。ローンの枠があるからといって、パンパンになるまで、融資を引っ張るやり方も余裕がなく、非常に危険と言えます。
とは言え、不動産投資には不祥事が続いている中で、不動産投資は怖い投資商品だと思われている方がいらっしゃるでしょう。そのように思われている方々には、下記記事を合わせて読んでみてください。