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こちらの記事をご覧になっている方の中で、1,000万円の自己資金を活用して資産運用を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とはいえ、初心者の方は何から手をつけて良いのかがわからない、何に投資して良いのかがわからないなど不安に思うことも多いのではないでしょうか。

初心者の方が絶対にやってはいけないことは、銀行や証券会社などに行き「現在、使う予定のない1,000万円があります。何かオススメの運用はありますか?」と聞いてしまうことです。

なぜならば、その場合はあなたに合った投資商品を提案するのではなく、取り扱っている商品からあなたがお持ちの金額に合せて提案されることになるからです。

私は仕事柄、友人から「オススメの運用商品は何?」と聞かれることがよくありますが、いつも「人によるからわからないよ!」と答えます。その人の属性、投資目的、実際に投資に回せる金額によって投資プランが異なるからです。

つまり、資産運用はあなた自身に合ったプランを作ることが大切です。今回は日頃から数多くの資産形成のプランニングを提案させて頂いているが、自分のノウハウを踏まえて、1,000万円の投資額がある際の資産形成に対する考え方、プランニングする時のポイントなどについて伝えていきます。

これから資産形成を検討されている方、初めての資産運用で失敗したくない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

1、貯金では資産が増えない!資産運用の重要性

今から30年前の1990年、銀行の郵便局の定額貯金は年6%も金利が付いていました。例えば100万円を預けると12年後に2倍の200万円になる数字です。それを肌で感じてきた親世代、祖父母世代は私たちに貯金しなさいと言い続けてきました。

それが今はどうでしょう。 

大手銀行や地方銀行は2020年4月から定期預金の金利を0.01%から0.002%に下げられ、100万円を預けて、受け取れる利息はたったの年20円(税金引かれて手取りは約16円)にしかなりません。 

つまり、日本人が大好きな貯金だと今ではお金が増えない時代になり、一昔前は資産運用は一部のお金持ちがやるものでしたが、今はお金を増やすには資産運用することが必須になったと言えるでしょう。

とは言え、貯金する必要もあります。貯金に対する考え方は下記の動画にて分かりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

2、1,000万円があったら、どのように資産運用すべき?

仮に1,000万円の運用資金があった場合、どのように資産運用するでしょう。

(1)分散投資は鉄則

投資は分散投資が鉄則だと言われています。それは万が一一つの投資商品が失敗したとしても、他の投資商品でリカバリーすることができるようにする必要があるからです。 

しかし、初心者がやりがちなミスは1つのものや、値動きが同じものに一括で投資してしまうことです。 

実際に私たちFPがお客様に資産運用のアドバイスをする際、いきなり投資商品の話をすることはまずありません。まずはアセットアロケーションと言って、運用する資金を国内外の株式や債券、不動産などどのような割合で投資するのかを決めることを決めるところからスタートします。 

一般的には投資商品における資産分散の基本としては、現金・証券(金融商品)・不動産と言われています。 

(2)ご自身のポートフォリオを決める

それぞれの商品の仕組みについてご理解頂いたあと、具体的にどの投資商品をいくらにするか、ご自身のポートフォリオを決めて実行に移していきます。

とは言え、人には得意と不得意があります。ここで一つ注意していただきたいのは、分散投資は重要ですが、無理して不得意の商品に投資する必要はありません 

これは1,000万円で投資する際に限った話ではなく、100万円でも300万円でも一気に投資するのではなく、時間分散するため毎月5万円を5年かけて投資するなど、ドルコスト平均法を活用した投資方法もあります。

なお、ドルコスト平均法とは株価など変動する金融商品を常に一定の金額で、かつ時間を分散して定期的に買い続ける手法です。

この手法を使うと、価格が低い時の購入量は多くなり、価格が高い時の購入量は少なくなるため、平均単価を下げる効果があります。 

3、自己資本で資産運用する金融商品

資産運用をする際に、ご自身が持っている自己資本を使って投資する金融商品と、金融機関の融資を活用して他人資本を活用した不動産投資と大きく2つに分かれることができます。 

この章ではご自身が持っている自己資本を活用した場合の投資商品について紹介していきます。 

(1)株式投資




投資と言ったら、株式投資は王道の投資商品と言えるでしょう。

当社のお客様でも株式投資で生活をしている方がいますが、AIの台頭や日銀の金融緩和により以前より利益が出にくくなったと言う方が多いです。

また、今回のコロナウイルス経済の影響で大幅に損をしてしまった方もいるでしょう。

まずはメリット、デメリット理解して、ご自身の資産形成に取り入れるかどうか判断していきましょう。 

①株式投資のメリット

株式投資の最も大きなメリットは、短期間で大きな利益を目指せることです。

投資信託や積立型の保険、不動産投資ではそれは難しいため、短期で資産を増やしたい方は株式投資を取り入れると良いでしょう。

②株式投資のデメリット

短期間で大きな利益を目指せるということは、逆に言えばリスクが大きいでことも理解しておかなければなりません。

10年前にJALが破綻すること、東京電力の株価が原発事故により大幅に下落することを誰も予想していなかったでしょう。

そのような可能性も頭に入れながら投資する必要があります。

株式投資にビギナーズラックは長く続きません。安定的に利益を出していきたいのであれば、メディアなど始め、最近はオンラインスクール等もありますので、株式投資で資産を増やしていきたい方は、事前にしっかり勉強して知識を得てからスタートすることをオススメします。 

(2)投資信託 




株式投資をいきなり始めることは難しいという方もいらっしゃるでしょう。その場合はオススメしたいのは投資信託です。

株式投資と違い、少額の資金で国内外の株式・債券・不動産・金などに分散投資できるのも投資信託のメリットです。 

一方、デメリットとしては株式投資と同じように、投資信託もペーパー投資なので、万が一投資先が倒産してしまった場合は、全額損失してしまうリスクがあります。 

また、中長期の投資にはコストが非常に重要になりますので、ネット証券を活用してコストの低い商品(主に指数に連動するインデックスファンド)から始めるのが良いでしょう。

投資信託について詳しく知りたい方は、下記の記事を参照にしてみてください。

投資信託とは?初心者が始める前に知っておくべき8つのこと

(3)米国小口不動産

外貨投資兼現物不動産としてのオススメは米国の小口不動産投資(通称ランドバンキング)です。 

小口不動産商品は、1口1万ドル〜始めることができ、ここ最近の案件でも投資期間8年で、想定される年利は8〜12%と高い利回りが見込まれます。 

米国小口不動産のメリットは少額(1口1万ドル)で米国の現物不動産に投資できるということです。

少額から投資ができ、大手土地開発会社に委託するため知識も必要ないので、加えて保険や投資信託等よりも高い利回りも目指せるメリットがあります。

一方、デメリット(リスク)は「必ず決められた年数で償還される」という期間の保証がないことです。 

期間8年での償還予定となっていても、不動産事情・経済事情などによって期間が延びる可能性もあります。

そのため、絶対に○年後に使う予定があるといった資金は投資しないようにしましょう。 

こちらの投資商品の流動性は低いですが、知識も要らず時間も取られない投資のため投資初心者としては資産分散の1つとして取り入れておいても良いでしょう。

米国小口不動産について詳しく知りたい方は、下記の記事を参照にしてみてください。 

アメリカ不動産投資とは?小口化商品のメリット・デメリット

4、他人資本で資産運用する不動産投資

どんなに有名な企業への株式投資でも銀行が投資資金を貸してくれることはありません。 

それに対して、現物不動産投資は銀行融資(他人資本)が受けられるのが特徴です。 

「融資=借金」と感じてしまう方もいらっしゃいますが、銀行は価値のないものにお金は貸しません。

銀行はバブルの頃に痛い目に遭いましたので、現在はその物件からいくらの収益が上がっているか、という視点からその物件の評価(融資額)を決めているのです。 

逆に言えば、銀行が融資を出す物件であればきちんと評価が出て、資産価値のある物件と言えます。一方、銀行が融資出さない物件であれば、購入を取りやめするといいでしょう 

不動産投資のメリットは、やはり家賃という副収入が物価に連動して入ってくる(インフレリスクの回避)ということでしょう。 

私たち現役世代の老後は年金がいつから、いくらもらえるかも不透明であり、自助努力が欠かせません。 

もちろん長く働いて収入を得ることも必要ですが、60歳、70歳の時に元気で働き続けられる健康状態かどうかはわかりません。 

そんな時に自分の代わりに働いて、家賃という収入を生み出してくれることは貴重な存在となるでしょう。 

また、現金・保険はインフレに対応できませんが、不動産の家賃は物価に合わせて上昇していくため、しっかりとお金の価値を守ることが出来るでしょう。 

一方、デメリットは米国小口不動産と同様に流動性が低いということ、短期での利益は見込みづらいことです。

もちろんすごく掘り出し物物件であれば5年程度で売却益が得られるということもありますが、売却益が得られるまで一般的には1015年はかかります。

また、売りたいと思ってからも3〜6ヶ月はかかるケースが多いため注意が必要です。不動産価格も上下しますが2〜3年かけて緩やかに変化します。5年後に使う資金を作るため不動産投資というのは向かないため、その場合は株式投資をオススメします。 

不動産投資に合せて、自己資本投資も並行して行うことができるというのも大きなメリットです。

ただし、不動産投資は融資が受けられる方しか検討できない投資になりますので、気になる方は不動産の専門家に相談しましょう。 

八木チエの「不動産投資の女神チャンネル」にて、不動産投資の仕組みを分かりやすく動画にて解説していますので、ぜひ合わせご覧ください。

下記の記事も参照にしてみてください。

プロが教える!初めて不動産投資をする前に読む話(前篇)

プロが教える!初めて不動産投資をする前に読む話(後編)

5、実際に1,000万円の投資ポートフォリオを作ってみる

では、実際に1,000万円の投資ポートフォリオを作って見ましょう。 

(1)他人資本の現物不動産投資が可能な方

不動産投資を購入することができる方なら、1,000万円の資金で下記のようなポートフォリオを作ってみました。 

  • 国内不動産:100万円(融資を活用して初期費用として使う)
  • 米国小口不動産:200万円
  • 米国株式インデックスファンド:300万円(投資信託)
  • 先進国株式インデックスファンド:200万円(投資信託)
  • 日本株インデックスファンド:200万円(投資信託) 

(2)他人資本での融資が難しい方

一方、融資を受けることが難しく、完全に自己資金の1,000万円で投資をする場合、下記のようなポートフォリオを作ってみました。 

  • 米国小口不動産:200万円
  • REIT(不動産投資信託):200万円
  • 米国株式インデックスファンド:300万円(投資信託)
  • 先進国株式インデックスファンド:100万円(投資信託)
  • 日本株インデックスファンド:200万円(投資信託)

こちらは一例として挙げましたが、あなた自身の年齢・投資目的・期待リターン等によっても配分は変わります。 

初心者の方はしっかりと資産運用に強いFP等に相談してから進めましょう。

まとめ

1,000万円の投資資金での運用ポートフォリオの組み方を書きましたが、これはあくまでも一例として参考にして頂ければと思っています。

なぜなら、私たちFPは前項でもお伝えしてようにお客様のご年齢、余剰資金、家族構成や仕事などのライフプラン、リスク許容度等をしっかりヒアリングしてからアセットアロケーション、ポートフォリオをご提案するからです。

つまり、そのようなヒアリングがない中で「この商品オススメですよ!」と提案してくるような方はあなたではなく、自分(営業)のことしか考えていないのでしょう。 

昨今、資産運用をすることは切っても切り離せなくなっていますが、誰もが多額の資金を運用できるわけではありません。

失敗しないために、まずは資産運用に詳しい専門家に相談するなど基礎知識をつけていきましょう。