2,000万円問題など年金問題によって、現在、注目を集めているのが、私設年金です。
今後、減少することがほぼ確実な年金の受給額を考えると、公的年金だけで老後生活に必要な資金を確保するのは不可能と思って間違いないでしょう。
平均寿命が年々伸びていることを考えても、公的年金とは別に自分で老後資金を作ることの必要性は、どんどん高まっています。
そんな中、現在、会社員をはじめ本業がある人の私設年金作りとして人気があるのが、不動産投資です。
今回は、私設年金作りにおける不動産投資をテーマにその魅力(メリット)や投資を始める際のリスク(デメリット)について解説します。
目次
1、私設年金とは?私設年金の必要性
まず、私設年金とは何なのか、その必要性も合わせて知っておきましょう。
(1)私設年金とは?
私設年金とは、公的年金以外の自分で作り上げる老後資金を言います。
簡単に言うと、老後の為に自分で用意するお金のことであり、自助努力で賄う必要があります。
(2)なぜ私設年金が必要
少子高齢化による現役世代の減少と高齢者の増加により今後、受け取れる公的年金額の減少は、もはや確実な状況です。
以前に、老後2,000万円問題が話題になりましたが、これは、金融庁が出した報告書の中で、「老後30年間でおおよそ2,000万円が不足する」と解釈される内容があったことで日本中に影響を与えました。
要は公的年金だけでは、老後30年生きると仮定すると2,000万円が足りなくなると言うことであり、これだけで私設年金を作る必要性が十分理解できます。
2、なぜ不動産投資は私設年金対策になる?不動産投資の仕組み
不動産投資は、なぜ私設年金対策として人気なのか、不動産投資の仕組みと合わせて解説します。
(1)家賃収入による不労所得を得ることができる
不動産投資は、所有している不動産を他の誰かに賃貸することで家賃収入を得る投資です。
株式や外貨のような金融投資とは違い、値動きに左右されることはなく、入居者がいれば、毎月安定した家賃収入が入ってきます。
オーナーの業務は、管理会社に委託出来ますので老後に身体が弱ってきたとしても投資を続けることが出来ます。
家賃収入は、物件を所有し、入居者を確保できれば永久的に入ってきますので、私設年金作りにとても適した投資と言えます。
(2)長期に渡り資産形成に適している
不動産投資は、長期的に資産形成が出来る点も私設年金対策に適している理由です。
物件の購入には、銀行融資を受けることがほとんどですが、毎月の融資の返済は、その物件が本当の意味で自分の資産になっていることを意味しています。
将来的に融資をすべて完済してしまえば、その物件は、完全に自分だけの資産になり、家賃収入もそのまま手元に残る為、老後資金を作る上で、非常に適しています。
(3)他人資本で資産を作ることができる
老後資金を積立保険で作る人もいますが、保険商品は、自分の財布から捻出する必要があり、資金効率は、あまり良いとは言えません。
不動産投資であれば、毎月の融資の返済を家賃収入で賄えるので、自分の財布から出す必要がなく、資金効率にとても優れています。
家賃収入のような自己資本でないお金のことを他人資本と言いますが、保険商品のような自己資本ではなく、他人資本で資産を作れる点も私設年金対策に向いています。
3、不動産投資ならではのメリット
ここでは、不動産投資のメリットについてご紹介します。
(1)他人資本で資産形成が出来る
株式や外貨などの金融商品は、自己資金の範囲でしか運用することが出来ない為、自己資金が少ない人は、大きな資産を作ることが出来ません。
不動産投資は、銀行融資を受けることが出来、且つ融資の返済も家賃収入で賄うことが出来る為、自己資金を最小限に抑えて効率よく資産形成が出来ます。
銀行融資と家賃収入と言う二つの他人資本で資産形成が出来る点は、不動産投資における最大の強みです。
(2)生命保険効果がある
マイホームの購入と同様、不動産投資においても物件の購入時には、多くの場合、銀行融資を受ける際に団体信用生命保険に加入します。
よく団体信用生命保険(団信 だんしん)と呼ばれますが、保険加入者である投資家にもしもの事態(死亡、もしくは高度障害)が起こった際には、保険で融資の残債がゼロになると言う保険です。
よって、家庭がある投資家であれば、もしもの際には、無借金の物件と月々の家賃収入が遺族に残る形となります。
保険料は、融資の金利に組み込まれる為、家賃収入から支払いが出来るので、他の生命保険よりも優秀です。
投資家によっては、不動産投資を始めた段階で、他の保険はすべて解約するという人もいます。
(3)本業が忙しい人でもできる
不動産投資は、自分が働かなくても物件に入居者がいる限り、家賃収入という不労所得が、入ってきますので、本業が忙しい人でも問題なく始めることが出来ます。
オーナー業務は、大半が物件の管理業務になりますが、入居者のサポート含め、管理会社に委託出来ますので、オーナーがすることは、ほとんどありません。
金融商品のように常に値動きを気にしなくてはならない投資でもないので、会社員をはじめ本業がある人にも安心しておすすめ出来る投資です。
(4)インフレ対策になる
景気は、良い時も悪い時もありますが、長期的な視点で見ると、日本は、少しずつインフレを続けている国です。
インフレになると貨幣価値が下がり、物件が上昇しますが、不動産は、現物資産である為、インフレになった際には、資産価値が上がる為、売却のチャンスにもなります。
インフレに強い点も不動産投資の大きな魅力です。
不動産投資のメリットについて詳しく知りたい方は、下記の記事をあわせてお読みください。
なお、下記動画にも分かりやすく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
4、不動産投資のデメリット(リスク)
次に不動産投資のデメリットを把握しておきましょう。
投資をする上でリスクに当たるデメリットを知ることは重要ですので、よく確認してください。
(1)空室リスク
不動産投資において、最も大切なことは、物件の稼働率であり、出来るだけ空室を少なくすることです。
空室が起こると次に入居者が入るまでは家賃収入が入ってこない為、キャッシュフローが悪くなりリスクになります。
空室を起こさない、物件の稼働率を上げる為には、物件を選ぶ際の立地選定や周辺の賃貸ニーズを含めたマーケティング努力をすることで大幅に改善出来ます。
不動産投資を成功させる為には、とにかく物件の稼働率を上げることを意識しましょう。
(2)金利上昇のリスク
銀行融資を受けている場合には、もちろん金利上昇のリスクもあります。
マイナス金利、ゼロ金利と言われる今の日本経済で、金利が上がることが当分考えづらいですが、逆に金利を上げるタイミングは、ほぼ確実にインフレになっている為、物件を売却するチャンスでもあります。
よって、今の日本において金利上昇は、逆にチャンスと思った方が良いでしょう。
(3)修繕リスク
物件も古くなってくると修繕が必要になりますが、中古物件を購入した場合には、購入して間もなく多額の修繕費が必要になるリスクもあります。
中古物件の場合は、購入前に売り主に修繕内容を確認することやホームインスペクションに依頼して物件の状態を見てもらうなど、必ずチェックしましょう。
築浅物件の場合は、修繕のタイミングに向けて計画的に修繕費の積み立てをするようにして下さい。
(4)家賃滞納リスク
日本の法律では、入居者は手厚く保護される為、オーナー不利になるケースが多いです。
家賃滞納は、入居審査の際に職業や勤め先を必ずチェックし、滞納リスクの低い入居者を選ぶことが大切です。
または、家賃の保証会社を付ける、身内の連帯保証人を付けるなどで出来る限り防止することが出来ます。
不動産投資のデメリット、回避策などについて詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。
なお、下記動画にも分かりやすく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
5、サラリーマンは副業しても大丈夫?
サラリーマンの副業は、日本の法律上は禁止されていない為、会社が定める社内規定によって規制されているケースがほとんどです。
この副業禁止をどう捉えるかは、議論が分かれるところですが、不動産投資は、投資である為、アルバイトのような副業とは違い、禁止されていない会社が多いです。
公務員の場合には、副業禁止規定により、「5棟10室」までの範囲内でしか、事業を拡大できないなどのルールがあるので、注意が必要になります。
個々の会社の社内規定については、違いがありますので、不動産投資を始める際には、事前にしっかり確認してみましょう。
副業などについて詳しくは下記の記事をチェックしてみてください。
6、不動産投資に適している人?
不動産投資は、短期的な投資ではなく、解説したように長期的な資産形成をする投資なので、短期的に大きな儲けを出したいと言う人には向いていません。
物件にもよりますが、特に銀行からの融資を完済するまでは、月々のキャッシュフローは、そこまで多くは有りません。
もちろん、メガ大家さんのような、大規模に事業を拡大しているような専業大家もいます。
しかし、サラリーマンが副業を兼ねて私設年金対策として始めるのであれば、長期的に安定した資産形成が出来る、堅実な人が不動産投資には適しています。
不動産投資に向いていない人の特徴は下記動画にて分かりやすく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。